誰が本や映画や音楽や演劇やアートを見たり、聴いたり、読んだりするのか
大前研一さんのコラム「日本でも若者の失業が深刻な社会問題になる」によれば、「安定的な就業をしている若者は「2人に1人以下」」であるという。これは、かなり深刻な事態になっていることを表している。
とーとつな話で恐縮であるが、本や映画や音楽や演劇やアートを見たり、聴いたり、読んだりするのは、やはり若者層が多いと考えるのが一般的だろう。結婚して自分の家族を持つと、なかなかそうしたことにお金と時間をかけることができない。しかしながら、その若者層が安定した職業に就き、安定した収入を得ていないとなると、そうしたことにまわすカネと時間がないということになる。
ようするに、今の世の中で、本や映画や音楽や演劇やアートを見たり、聴いたり、読んだりするのは、どのような顧客なのであろうかということだ。これまでの世の中であるのならば、そうした顧客は学生、若者がメインであると思うことができた。しかし、今の時代は、もはや学生、若者は関心的にも、また経済的、時間的にも、そうしたことに費やすことができない、しないようになってきたのならば、誰がそうしたことをやっていくのかということだ。
もちろん、大ざっぱに「本や映画や音楽や演劇やアートを見たり、聴いたり、読んだりする顧客」という区分け自体がもはや成り立たない。もっと細かく子細に見ていく必要がある。経営戦略を考える時、三つのC、カスタマー(顧客)、コンペティター(競争相手)、カンパニー(自分の会社)を考えなくてはならない。そういうわけで、今、どのような人が「本や映画や音楽や演劇やアートを見たり、聴いたり、読んだりする顧客」なのだろうかと漠然と考えている。
そして、日本国内を相手にしていくのならば、少子化で子供が減り、若者が安定した就業ができない、しない世の中になっていくということは、「本や映画や音楽や演劇やアート」の顧客層は増えることはせず、減っていく一方になるということになる。なにをいまさら、こんなことは誰でもわかっていることなのだけど。
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