2020年を振り返る
2020年を振り返ると、やはりというか新型コロナによるパンデミックであろう。2020年は歴史に残る年になった。
厚生労働省が行ったLINEによる「第1-4回「新型コロナ対策のための全国調査」からわかったこと」によれば、
「「収入・雇用に不安を感じている」に「はい」と回答された方は、全体の31.1%でした。回答結果は職業種で大きな偏りがあり、タクシードライバー(82.1%)、理容・美容・エステ関連(73.0%)、宿泊業・レジャー関連(71.2%)、飲食(飲食店含む)関連(62.2%)の方が、過半数以上「はい」と回答されました。また、職業種によっては、従業員規模が小さいほど、より多くの方が「はい」と回答する傾向がありました。」であるという。
また、精神的な面では学生への影響が最も高い。
「一方で、学生は職業種の中で、「人間関係について不安を感じている」、「毎日のように、ほとんど 1 日中ずっと憂うつであったり沈んだ気持ちでいる」、および「ほとんどのことに興味がなくなっていたり、 大抵いつもなら楽しめていたことが楽しめなくなっている」に、「はい」を回答する割合が最も高い結果でした。それぞれ12.9%、14.4%、13.0%でした(回答者全体では9.3%、8.7%、8.3%)。」であるという。
大学のオンライン教育についていえば、今回の出来事は大学からすれば降ってわいた災難であり、大学教育でオンライン教育はどのようにあるべきかという準備があって行ったわけではない。学生を教室という場所に集めることができなくなったので、代替処置としてやっているだけのことである。その程度のことでしかないので、学生側からすれば満足のいくものではないのは当然のことであろう。本来、オンライン教育とは、教室で教師がしゃべっている動画をただネットで流せば良いというものではない。この点については、根本的な作り直しが必要であろう。
疫病は高齢者に重症化や死亡リスクをもたらしている。もともと、パンデミックが発生する以前から若者、高齢者、女性は社会的弱者になっていたが、パンデミック後はさらにそれが進んだ。
必要なことは、当面の課題としてこうした社会の弱い部分に対する援助や保障であるのだが、消費減税をすることはなく、全員一律給付は一度行っただけとするなど政府はこれをやる気はない。よくわからないのは、生産性が低いのは淘汰されて当然だとする考えがあることだ。今起きていることは平時ではない緊急時である。生産性が低いから淘汰云々、失業するのは当然だみたいな考えは今の状況では成り立たない。雇用者において所得減、失業などといったことは起きてはいけない、起こさせないためにはどうしたよいであろうかとするのがむしろ当然の対応なのである。
救済が必要な人々をどう選別するかは困難なことではあるが、困難だからできません、やりませんが通る話ではない。なんために国民は税金を払っているのかということになる。雇用については非正規労働者、特に非正規労働者の8割を占める女性にしわ寄せがかかっている。
その意味で、現状の政党の中ではれいわ新選組がいっていることが妥当である。れいわ新選組は以下のような政策を主張している。
消費税は廃止。
奨学金の借金をチャラに。
教育は完全無償化。
一人あたり月3万円を給付。インフレ率2%に到達した際には給付金は終了、次にデフレ期に入った際にまた再開する。
1人あたり20万円の現金給付
れいわ新選組がこの先どうなっていくのか注目したい。
311の時、政府とマスコミは無能だったのは、まだ原発村や原発利権があるからと思えたが、今回の新型コロナが明らかにしたのはこの国の政府は全般としてことごとく使えないというものである。
4月、5月から政府は一体なにをしてきたのであろうか。厚生労働省のホームページには新型コロナウイルス感染症対策本部決定の8月の「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」や12月に行われた「新型コロナウイルス感染症対策本部(第 50 回)」の議事次第が公開されているが、その内容はいかにも役所が作った総花的内容であり、これらの中でなにに重点を置くのか、なにを優先するのかということがさっぱりわからない。GOTOトラベルには1兆円を超える予算が投入されているが、今は医療機関に重点的に予算を投入せずして、いつ投入するのであろうか。本日時点では東京都の感染者数が1300人を超えた。
憲法を改正して軍隊を持とうという声があるが、日本の再軍備の是非はどうであるのかという以前に、そもそもこんな国民を見捨てる政府に軍隊を正しく運用することなどまずできない。ようするに何においてもことごとく、この国では政府を信信用することができないのである。こんな政府が憲法を変えたり、本格的な軍隊を持たせるのは危険である。何度も書いているが、今のこの国は、仮にパンデミックが収束したとしても、他にやるべきことが山のようにあり、そんなことをやっている場合ではない。
今年は長く続いた安倍政権が終わりを告げたが、もうこの国は国民全員を守り、国民全体を栄えさせるということは不可能なのであろう。限られたパイを巡って、国民に対して区別や線引きがされている。それが明確に表面化してきたというのがこの一年であった。
国際社会に目を向けてみると、今年のアメリカの大統領選挙のポイントはバイデンの勝利ではなく、トランプ支持者が7300万人もいるということだ。共和党はもはやトランプ頼み一色になっている。トランプ的なるものは消えたわけではなく、ますます大きくなってきている。変わりゆく共和党と、その一方で、バーニー・サンダースのラディカル右派の運動はますます盛んになっている。政治がまともに対処できていないことでは日本と同じなのであるが、アメリカではそれに対する市民の側からの抗議や主張がある。アメリカの政治状況は今後も見逃すことはできない。
パンデミックが蔓延する国際社会で、その地位を大きく上げているのが中国である。中国は崩壊する的な話はタワゴトだと思って良い。中国は、アメリカと並ぶ世界覇権国である。経済の側面においても、中国の経済は世界の最先端を走っているといっても良い。
今年、大陸中国は香港を完全に併合した。香港の若者たちは抵抗を続けているが、中流階級以上の富裕層は国家安全維持法を支持している。大陸中国と対立関係になり多国籍企業や外国資本が香港から撤退してしまうと、自分たちのビジネスに不利益であったり不動産の資産価値が下がることを望んでいないからである。
よくも悪くもパンデミックが世界を変えた1年であった。そして、この変化は来年はさらに本格的に進むのである。
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