企業の賃金を上げるよりも消費税の減税である
12月10日の日経の記事によると
「自民党の宮沢洋一税制調査会長は10日の記者会見で賃上げ税制について21年度に比べて1000億円台後半の減収になると説明した。22年度の税制改正全体に伴う増減税規模は「測るのが難しい」と述べた。
首相が最もこだわったのが賃上げ税制の拡充だ。全体の給与総額をベースにみた賃上げ率などに応じ、大企業は最大で30%、中小企業は同40%の税額控除とする。従来は大企業が最大20%、中小が同25%だった。19年度の利用実績は13万件程度だ。
黒字の大企業にはペナルティーといえる措置も導入する。継続して働く人の給与総額の伸びが小さく国内設備投資も少なければ、研究開発に関する投資減税の対象から外す。
賃上げ税制の実効性は見通せない。13年度の導入以来、見直しを重ねて継続してきた。厚生労働省の毎月勤労統計によると同年以降、現金給与総額の上昇率は最大1%台前半にとどまる。」
という。
国が企業に賃金を上げろというのは理解し難い。賃金は当然のことながらその企業の利益に基づくものであり、国がどうこうできるものではない。例えば、生産性が上がらなければ収益は上がらない。収益が上がらなければ、賃金を上げることはできない。これで企業が賃上げをできると思っているのならば大間違いである。コロナ禍で収益が赤字になっている企業では、賃金を上げることなどできない。この制度を利用して賃金を上げることができるのは、その収益がある企業であり、その意味ではこの制度によって企業格差がさらに広がるだろう。
むしろ個人の購買力を高めたいのならば、立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組などが言っていたように、消費税の減税をする方が確実に意味がある。個人所得や法人所得はグローバル化で海外に移転させることは容易であるが、消費は国民全員が行う。消費税は高齢者を含め国民全員が負担する。だから消費税を下げるわけにはいかないという意見があるが、なにもこの先ずっと消費税を減税すべきというのではない(共産党はそう言っているが)。消費税の減税は今の危機的状況への対策であって、通常の状態の経常的な話ではない。国民の消費を高め、景気を上げるための対策である。経済が好調になれば税率を戻せば良いのだ。
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