2021年を振り返る
今年も昨年に続き依然として新型コロナウイルスで明け暮れた一年であった。
日経新聞によると「東京都は29日、新型コロナウイルスの感染者が新たに76人確認されたと発表した。50人を超えるのは10月16日(65人)以来。直近1週間平均の新規感染者は約44人、前週(約28人)比で157.0%だった。」であるという。いわゆる「オミクロン型」の新型コロナウイルスは世界中で猛威を振るっているが、日本でもこれから増え始める可能性は高い。つまりは、この先もコロナ禍は続くということである。
今年もコロナ禍で外国どころか国内の旅行もままならない一年であった。もう何年も前から韓国への旅を考えているのであるが、とてもではないが行ける状況ではない。次回、外国を旅する日はいつになるのかまったくわからない。この国は列島の上にある。この列島の上で営まれている社会とは、違う社会がこの世の中にはあって、そこで行われていることは、この列島の上の社会に直接的にせよ間接的にせよ関わっている。ところが、この列島に住んでいる人々はともすればその事実を忘れる。忘れるというか、そもそも意識すらしない人々が大半を占めるのがこの列島の住人である。それでいい場合と、それではすまない場合がある。
今年、斉藤幸平さんの『人新世の資本論』(集英社新書)を読み、最も感じたことは気候変動はここでまで危機的な段階にきているのかということだった。思えば1970年代の頃から、このままでは環境破壊が進み世界の文明は崩壊するという話が繰り返し述べられてきた。述べられてはきたが、どこか遠い先の話として受け止められてきた。環境問題は、ごく一部のそうしたことに関心がある者たちだけがいっていることであった。しかしながら、21世紀も5分の一が終わった今日、もはや本当に逃れようもない現実になった。ごく一部の関心がある者たちだけがいっていることではなく、誰の前にもある危機になった。エネルギーをどうするのいうことは、かなり大きな枠組みで考える必要がある。これは文明の根本的な問題である。
11月、イギリスのグラスゴーで開催されたCOP26では、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えることを世界の共通目標とすることになった。だが、1.5度の目標を達成するためには2050年までに世界の二酸化炭素排出量を実質ゼロにしなくてはならない。これが現実として可能なのかどうかという懸念があるが、世界経済はグリーン・エコノミーに大きく舵を切り始めている。これに対してこの国は化石燃料を使う火力発電を温存することを示している。日本は太陽光パネルや風力発電で世界の企業から大きく後れを取っている。何においても、この国は未来の展望がまったくない。
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