アメリカ社会の分断は続く
日本では安倍政権が終わり、アメリカではトランプ政権が終わった。この二人は「同じ」ところが数多くあり、安倍が終わりトランプも終わるだろうなと思っていたら、その通りになった。そして、安倍時代が終わってもなにも変わらないように、トランプ時代が終わってもアメリカはなにも変わらない。人々の分断はさらに進行していくであろう。
バイデンでは分断をなくすことはとてもできない。今回の選挙はトランプかバイデンかという、どちらを選んでもアメリカの未来はない選挙であった。日本の政治の劣化も著しいが、アメリカの政治もまた劣化が激しいものになっている。次期副大統領のカマラ・ハリスも、若い世代にはあまり評判は良くない。女性として初、またアフリカ系・アジア系としても初の副大統領が誕生するのは確かなことであるが、何ができるのか、何をどうしようとしているのかということとは話は別である。
なぜアメリカの政治は国民の声が届かないものになってしまったのか。例えば、アメリカは大学の費用が高額であり、学生たちは卒業時に膨大な借金を抱えて卒業をすることになる。しかるべき給与の職業に就職できたとしても返済には何年、あるいは10年以上も月収の四分の一から半分をローンの返済にしなければならないという。そうした状態であれば、当然のことながら結婚をして新居を築こうという気にもならず、また結婚したとしても子供を作る余裕はなく、かくて少子化が進むのである。
さらには、就職すらできない者たちはホームレスになる危機と隣り合わせになることになる。教育費が異常に高額であることと、奨学金という学生ローンが巨額になることは、若い世代にとって切実な問題である。民主党の大統領候補であったバーニー・サンダースや、エリザベス・ウォーレンらは、高等教育のほぼ全額無償化と、学生ローンの免除を提案していたという。高等教育を受けた者たちがホームレスになるような社会では、国の将来が危ぶまれるからである。
しかしながら、バーニー・サンダースも、エリザベス・ウォーレンも、合衆国大統領候補にすらなれず、高額な教育費に対してとても何かするとは思えないジョー・バイデンが大統領になるのである。学生ローンについて何かするとは思えないということでは、トランプもまた同じだ。バーニー・サンダースのような人物もいるのだから、政治は若い世代の声を聴かないのではなく、若い世代の声を聴く政治家は大統領にはなれないということなのであろう。かくてアメリカ社会の分断は続くのである。
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