安倍政権が終わった
28日の記者会見で、安倍晋三首相は辞意を正式に表明した。ようやくと言うか、とうとうと言うか、ついにと言うか安倍政権が終わった。本来、とっくに終わっていなければならないものが、これほど長く続いてきたのは、マスコミが営利を目的として正しい報道をしていないということと、それをおかしいともなんとも思わない我々国民にその理由がある。
安倍政権とはなんであったのかということを、きちんと検証することをするだろうかというと、ごく一部のメディアを除いてしないであろう。政治が無能であったとしても、経済は困ることなく進んでいたかと言えばそんなことはまったくなく、安倍政権下でこの国はどんどん衰退していった。
安倍政権は、消費増税、財政の健全化、金融政策、成長戦略、社会保障、雇用、地方創生、教育、保育、女性活躍、少子化、防災、北方領土問題、北朝鮮拉致問題、通商政策、憲法改正、安全保障、等々と実に様々な課題を掲げてきたが、どれひとつとして満足に対応できたものはなかった。
この百花繚乱的な課題の提起は、安倍政権以前の政権にはなかったものだ。安倍政権の特徴の一つは、現在のこの国が抱える問題を次から次へと掲げるだけ掲げて、いつの間にか忘れ去り、次に別の課題がまた掲げられて、また忘れ去られるのくり返しであった。
掲げられてきた数々の課題は間違っていない。確かに、こうした諸問題に直面している。政治は結果だという声が多いが、私はそうは思わない。政治的課題は短期間で解決することは少ない。少なくも上に挙げた課題は、10年、20年かけて対策をしていかなければならないものばかりである。結果はすぐに出るものではない。それらの課題にどう立ち向かっていたのかが問われるのである。だからこそ、そのひとつひとつに真摯に向き合う姿勢さえあればまだましであったのだが、それすらもなかった。
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