自粛が終わり何が残ったのか
5月25日に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の終了された。そして本日6月7日である。東京都は6月2日に東京アラートなるものを発動したと言う。
数字で見る限り、日本での新型コロナウイルスの感染者数は非常に少ない。ただし、そもそもアジア諸国は欧米に比べて圧倒的に感染者数が少ない。アジアでは日本はフィリピンに続く感染者数第2位である。決して日本は優れた要因があったわけではなく、また感染抑制に成功したわけではない。成功しているのは台湾である。そう考えると全国一律の自粛ではなく、必要な地域や範囲、経済セクターに自粛を要請するというのが最も必要な対応ではなかったかと思う。
もちろん、ではどこが「必要な地域や範囲、経済セクター」なのかということを判断しなくてはならない。この判断をするのが政治である。今回、なにもしなければ82万人が死亡すると説いたのが北海道大学の西浦教授であるが、これは専門家として数理モデルから導き出した数字だ。感染病対策は最悪の場合を想定するのは当然のことだ。これをそのまま実行するれば世の中はどうなるのかを考えるのは医者の努めではない。政治家やマスコミや社会科学者や努めである。
西浦教授は『ニューズウィーク日本語』版6月9日号の中の寄稿の中でこう書いている。
「私は組織の中ではリスク評価をする立場でしかなく、大きな方向性の決定を伴う発表は、リスク管理の司令塔の役割を担う方の責任で行われるべきものだ。被害想定が必要な時期に、タイミングを図って励ましとともに言っていただくことが必要だ(これまでの日本の政治・社会の文化では難しいことだろうが、これからは変わっていく必要がある)。」
これは極めてまっとうなことを言っている。ようするに、西浦教授は専門家としての意見を述べたまでのことであり、政府やマスコミは西浦教授が言う「8割削減」や「42万人死亡説」を、なにも考えずただそのまま流して世の中にウイルス危機を煽っただけなのである。
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