2019年の冒頭に思う
このところ私はブログの執筆から遠ざかっていた。その理由の一番大きなものは、ここで世の中の事柄について書くことに、なんの意味があるのであろうかと思ったからである。
この国はこの先、衰退の一途を辿っていく。どれだけ数多くの不祥事が起きても政権は変わることはなく続き、今のこの国は愚かしい政策を行い続けている。この国はもうダメなんだなと思う。この先、この国の国民はどんどん貧乏になる。この国は緩慢な衰退の時代になっている。そう思うと、ここで書くことはなんの意味もないことだ。それよりも、自分には読みたい本、学ばなくてならないことは山のようにある。そう思って個人的な「書くこと」からは遠ざかっていた。日本の政治、日本の経済を見ていると気分が滅入っていることがあまりにも多すぎる。TimeやBusiness weekを読んでいる方が楽しい。
もうひとつは、高校の理科と社会をもう一度しっかりと学び直さなくてはならないと思ったからだ。基本的に教養とは、高校程度のレベルの知識のことである。高校の教科書に書いてある程度ことを、高校卒業後、生涯にわたって持ち続けていることだけで十分な教養人である。ここいらで過去に学んできたこと、学んでこなかったことを再度、というか何度も学び直さなくてはならないと思った。
その試みのひとつとして、リクルートの受験サプリの歴史の授業が、社会人が見ても十分勉強になるということを知り、さっそく受験サプリに入会した。受験サプリは高校生や浪人生のための大学受験講座の動画配信サービスであるが社会人でも入会できる。私が大学を卒業したのはもはや30年近く前のことだ。ここで高校生になったつもりで、もう一度勉強し直そうと思ったのである。
WEBの入会の申し込みのページに志望校を書く欄があり、そこには「国際教養大学」を記入した。不可能な夢であるが、自分がもしもう一度大学生になれるのならば、今の日本の大学では秋田にある国際教養大学を選びたい。ようするに都会の喧噪を離れた隔絶された大学で静かにじっくり本を読みたいという根本的な願望が私にはある。そういうわけで、受験サプリの世界史や文化史の動画をつらつらと眺め、高校の世界史の教科書や参考書を買ってきてページをめくり、ずいぶん忘れてしまったことがあるなと思う日々を送っていた。
ところが、である。
最近、本業の仕事の方で新規事業を考えなくてはならなくなった。本格的に企画を考え、表を作り、グラフを作り、プレゼンをするようになってきた。そういうことをやっていると、今の世の中のマーケティング理論や販売方法がいかに大きく変化し続けているかということをつくづく感じるようになってきた。いかに自分はそれらの分野について、知らないこと、できないことが多いかということを知らされることが多くなった。こうなってくると、のんびりと晴耕雨読の気分になっているわけにはいかなくなってきた。
もう若くない身の上で、ビジネスの現場と真正面から関わらなくてはならなくなった。個人的には、日々の仕事をそつなくこなし、あとは遠い100年や200年、千年や二千年、1億年や2億年前のことの本を読んで、ぼおーと考えるだけの暮らしをしたいと思っていたのであるが、そうはいかなくなってきた。
この国の政治や経済や文化の状況も国際社会も、そして情報テクノロジーもどんどん変わっている。そうした諸々のことについて、日々、我が身を省み、自分が考えることを「整理すること」「書くこと」は、自分にとって不可欠な行為である。思えば我が人生は、公私ともに自分の考えを「表現すること」ということから抜け出ることはできないのであろう。
今後も、ここにコンスタントに書き続けることができるかどうかわからない。今の時代は、ブログというメディアはそれなりに内容がオモイものになっている。途中経過的なもの、断片的なことはブログには合わない。しかし、まとまったもの、蓄積されるべきものはブログでなくてはできない。そういうものとしてブログをこれからも続けていきたい。
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