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December 2017

December 31, 2017

2017年の世界を振り返る

 2017年が終わろうとしている。今年はどのような年であったのか、ざっと振り返ってみたい。

 トランプが合衆国大統領になることで様々な問題が出るであろうと思っていた通り、2018年はトランプを起因とする様々な問題が現れた年であった。アメリカではトランプにより税制が大幅な減税になったが、結局のところ長期的には高額所得者や法人だけの大幅減税になっている。これで経済が回復するわけではない。ただ単に減税すれば良いわけではない。しかしながら、今回、議会共和党もトランプの大減税に賛成してしまっている。こうなると、次の大統領選挙で共和党はなにを言うのであろうか。

 また、こうした大規模な連邦政府の歳入のカットは、すなわち中東でもアジアでも大規模な軍事行動はこの先しないということになる。北朝鮮問題について、トランプのホンネは、アメリカが軍隊を出すことはなく、韓国と日本に核武装をさせて北朝鮮に対抗させることであろう。トランプには、本気で北朝鮮問題を解決しようという気はないのである。

 しかしながら、であるのならば、トランプは中東の均衡状態を維持するのかと言えば、エルサレムをイスラエルの首都と承認してしまった。これでトランプへのイスラエルとユダヤ人勢力とキリスト教右派からの支持は高まったが、世界からは反発され、アメリカの孤立を招いている。もちろん、トランプとしてはアメリカが国際社会から孤立しても別に困らないであろう。しかし、アメリカとしてエルサレムをイスラエルの首都と認定することが、どのようにアメリカの国益になるのかさっぱり説明がつかない。

 アメリカによるエルサレムの首都認定を受けて、パレスチナでは反発が広がっている。これからも、パレスチナとイスラエルとの暴力的な対立抗争は続くのである。このようにトランプのやっていることは、事態をますます悪化させている。

 今年の国際社会で注目すべきことは、地球温暖化対策が「当然のこと」になったということだ。ついにと言うか、ようやくと言うか、国際社会が地球温暖化対策に本格的に取り組み始めた。これは温暖化による被害が無視できない規模になってきたということと、温暖化対策がビジネスとして成り立つようになってきたためである。技術進歩により、性能が良くコストが安い太陽光パネルができるようになってきたのだ。これからの世界のエネルギー事情は、石油や原子力から再生可能エネルギーへ転換していく。

 しかしながら、その一方で温暖化による環境破壊が進んでいく。ツバルやキリバス、モルディブ、バングラデシュなどといった国々は水没する可能性がある。アメリカでも9月の大型ハリケーン「イルマ」により、マイアミでは浸水被害が広がった。またニューヨークシティでも大きな水没被害があった。これは温暖化により大型ハリケーンが発生しやすくなったということと、そもそも海面の上昇により沿岸部都市やニューヨークなどといった「島」の上にある都市は水害の危険があることは以前から指摘されてきたことが、実際に起き始めたのだと言えるだろう。トランプがなにをどう言おうと、人類による地球温暖化はもはや誰もが否定することができない、今、目の前にある事実なのである。

 いうまでもなく中国の台頭は、今年もめざましかった。10月の中国共産党第19回全国代表大会で、習近平は中国が世界の超大国になることをはっきりと宣言している。実質的な面において「一帯一路」政策やアジアインフラ投資銀行にはまだまだ話にならない点が数多いが、4兆から8兆ドルレベルのチャイナマネーが流れているのである。世界の勢力地図はどんどん変わっていっている。

 ロシアの存在も無視できない。トランプは中東問題の解決にも関わる気はなく、中東ではアメリカに代わりロシアが影響力を高めている。トランプによるアメリカ外交の崩壊と世界覇権国としてのアメリカのさらなる衰退は来年も続く。その一方でいわばオモテの世界での中国が、ウラの世界でのロシアの勢力の拡大がこれからも続くのである。

 この先も今年がそうであったように世界各地でテロが頻発するだろう。ヨーロッパでは反イスラム感情と極右の政治運動がさらにさかんになるであろう。

 以上、2017年の国際社会の様々な側面を見てきた。この世界はもはや救いようがない混乱と無秩序の事態に突入するかのような見方である。それは事実なのであろう。

 しかしながら、もう一方の事実として、おおむね国際社会の未来は明るい、明るいというか、危機に対して、なにが危機であるかを正確に把握する力と、その危機を乗り越える力が国際社会にはある。ここでいう国際社会とは欧米だけの話ではなく、広く人類一般、中国やインドやベトナムやアフリカ諸国などを含めた人類社会全体のことだ。おおむね人類社会は未来に希望を感じている。唯一、アメリカ、ヨーロッパ、日本などのいわゆる先進国の人々が未来に不安を感じているのだ。

 21世紀も20年近くが過ぎようとしていて、「人類」や「地球」という認識フレームの枠組みがだんだんと生まれつつある。情報通信技術の発展と、自然科学と人類学や歴史学などの諸学問の知識の集積により、ビックヒストリーという宇宙の誕生から銀河と太陽系の生成、生命の誕生と進化、そしてホモ・サピエンスの出現から現代の文明史に至る時間軸を「ひとつ」として捉える見方が論じ始められている。かつて小松左京がSFを通して論じていたものだ。ようやく時代が小松左京に追いつき始めたと言えるだろう。

 2018年も激動の時代になる。思えばいつの時代でも激動の時代だったのだ。その中を、私は思索しつつ歩いていきたい。

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