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September 02, 2017

記者会見というのは「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑をする」場所である

 昨日の政府の東京新聞への抗議は理解し難い。産経新聞によると

「首相官邸報道室は1日、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画をめぐり、8月25日の菅義偉官房長官の記者会見で、東京新聞記者の質問に不適切な点があったとして書面で東京新聞に注意を喚起した。」

 とのことである。

 政府はなにがよろしくないと言っているのかというと

「加計学園が計画する獣医学部施設の危機管理態勢をただす中で「(計画に対する)認可の保留という決定が出た」と言及した。」

 とのことである。なぜならば、

「獣医学部の新設計画は大学設置・学校法人審議会が審査し、答申を受けた文部科学省が認可の判断を決めるが、この時点ではまだ公表されていなかった。」

 からであるという。そして

「官邸報道室は東京新聞に宛てた書面で「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑応答がなされ、国民に誤解を生じさせるような事態は断じて許容できない」として、再発防止を強く求めた。

 という。

 これはまったくおかしな話だ。記者であるのだから、公表前のことも情報を入手することはできる。仮に公表前のことを公開されている記者会見の場で話したことがよろしくないというのならば、公表前のことを記者会見で質問したことを不適切な点があったとして注意を喚起するべきであろう。

 ところが、公表前のことを記者会見で質問したということで、「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑応答がなされ、国民に誤解を生じさせるような事態は断じて許容できない」という書面を出すというのはもはや異常な反応であると言っていい。ささいなことで過剰な反応をするのは安倍晋三さんその人の傾向であり、これはそのまま安倍政権の傾向でもある。

 この「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑をするな」というのは、公式発表前に記者会見で質問したことに言っているのではなく、ここ数日間、東京新聞の記者が北朝鮮の弾道ミサイル発射をめぐる政府の対応について熱心に質問をし続けてきたことに対する嫌がらせであったのだ。さらには、先日の北朝鮮の弾道ミサイル発射だけではなく、森友・加計学園の新設に関しての忖度疑惑問題についても何度もし続けていたことについての東京新聞の記者への圧力なのである。

 そもそも記者会見のという場の目的は、以下の通りである。

 記者は「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑」を行い、それに対して政府は確定された事実に基づき適切な応答を行うことによって「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑」を解消し、国民に誤解を生じさせないようにする。

 記者会見というのは、これ以外のナニモノでもない。記者会見というのは「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑をする」場所なのである。今の政府はこれをまったく理解していない。ようするに、この政府は「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑」に対して適切な対応ができないから、こうしたお門違いの理解し難いことを言っているのである。

 同様に理解し難いのが、例によって例の如く産経新聞の産経抄だ。上記の東京新聞の記者に対して今朝の産経抄はこう書いている。

「まるで日本政府が北朝鮮の軍事情報をどこまで把握し、どう対応しているのか、北朝鮮に手の内を明かせと迫っているかのようである。こんな平和ボケを治すには、やはり憲法改正が一番だろう。」

 憲法を改正して報道に規制をかけよと産経は言っている。ようするに、そのために憲法を改正したいのだ。ここに産経及び今の政府のホンネがあると言える。とにかく政府に小うるさく言ってくる連中は不逞の輩であり、徹底的に排除したいのであろう。

 8月29日の弾道ミサイル発射の前夜に安倍首相が首相公邸に宿泊したのは、政府が発射の兆候をつかんでいたというのは十分に考えられることであり、アメリカからの情報があったのであろう。アメリカ軍には全地球上を覆う監視システムがある今日、こんなことは当然である。産経新聞は「ミサイル発射の兆候を、政府がどの時点でどの程度把握していたかを公表することは、日本の情報収集能力を明らかにすることを意味する。」問い書いているが、この程度で「日本の情報収集能力を明らか」になるのならばお笑いである。

 北朝鮮がミサイルを発射した後、国民のそのことを伝えたとしても(北朝鮮と日本のこの距離では)なにどうする時間はない。仮に前日、それを発表したとしても、国民は(この小さな島国の上で)なにをどうすることもできない。Jアラートも意味がない。「前夜になぜ、私たちが知らされなかったのか」という東京新聞の質問の方も質問すべきものだったとは思えない。北朝鮮のミサイルが日本に向かって発射され攻撃目標に命中するのならば、前夜に知らされても、国民はどうすることもできないということなのである。だからこそ、北朝鮮との敵対関係になっている今の外交状況は変えるべきことなのだ。

 その意味において、東京新聞の記者が言う「米韓との対話の中で、金委員長側の要求に応えるよう冷静に対応するように働きかけることをやっているか」という質問はまったくその通りのことだ。これに対して「北朝鮮の委員長に聞かれたらどうか」という菅義偉官房長官の返答や「「金正恩委員長の要求に応えろ」…!? 東京新聞記者が菅義偉官房長官にトンデモ質問」という産経新聞は愚かしいとしか言いようがない。

 菅義偉官房長官は「(北朝鮮が)性善説のような質問ですけども」とも言っているが、今のこの政府には、相手側は性善であるかような交渉をすることによって、こちら側が有利になるようにさせるという(外国では当然のことである)外交交渉ができない。逆に政府は、反体制的なメディアには恫喝し圧力をかける。

 また、産経は加計学園をめぐる疑惑について、東京新聞が(前愛媛県知事の)加戸氏の発言をあまり報道しなかったとして「民主主義破壊するメディア 安易な『報道しない自由』の行使」と批判し、産経及びネトウヨが擁護する今の政府にとって都合の悪いことを質問されると「こんな平和ボケを治すには、やはり憲法改正が一番だろう」と言う。

 かつて共謀罪の法案か可決されたとき、共謀罪に反対する者はやましいことがあるから共謀罪に反対しているのだろうと言われた。であるのならば、同じことを言いたい。政府はやましいことがあるから、東京新聞からの自由な質問をやめさせたいのである。

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