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September 30, 2017

民進党の消滅

 28日の産経新聞によると、

「民進党の前原誠司代表は同日の両院議員総会で、衆院選に公認候補は擁立せず、小池百合子東京都知事が代表を務める国政政党「希望の党」に合流する案を示し、満場一致で了承された。民進党は事実上「解党」した。」

 かくて、この国で一時期、政権をになった政党はこうして終わった。しかも野党筆頭の政党が希望の党へ移るというまったくあり得ないようなことを、しかも「満場一致で了承された」という事態で終わった。

 先日、前原代表は政治理念が違う政党とは手を組むことはできないと言って、共産党などとの野党連合を拒否していた。その舌の根も乾かぬうちに、希望の党に鞍替えするというのはいかなることであろうか。民進党にとって希望の党は共産党よりも全く真逆の政党ではなかったのだろうか。

 安倍自民による衆院解散とそれによる衆院選で、前原誠司が代表になった民進党は終わるだろうと思っていたが、希望の党に合流するということで民進党は完全に解体したと言っていい。もちろん、この政党にはとうの昔から希望はなかったわけであるが、これで完全に終わったと言える。

 民進党が終わったということはどうでもいいことなのであるが、これで結局、この国ではまともな野党というものが育つことはないということになる。共産党のような良くも悪くも一貫した態度を貫く政党は別として、どの政党もなんかよくわからなくて、みんな「同じ」というのがこの国の政治環境なのであるということだ。しかも、その「同じ」の内容が、いわゆる右派の方向へ「同じ」になるのである。

 希望の党の小池代表は、安倍晋三さんとは少し違うが「同じ」対米従属の人である。この人の政党に合併吸収されることを望んだ民進党という政党は、その程度の政党であったわけであるが、枝野さんが代表であったのならばこうしたことはならなかったであろう。そもそも改憲をするという小池代表と、改憲には慎重な態度を持つ枝野さんでは「同じ」にはならない。

 もともと民進党には、改憲を求める右派と護憲の左派の分裂があった。改憲の筆頭ともいうべき前原氏が党の代表になったということで、民進党が希望の党と「同じ」になることは容易であったのであろう。枝野さんたち民進党の護憲左派は、民進党から離れざるを得ないことになる。無所属で出馬することになるだろう・

 この今の日本の政界での自民と希望党の対立の構図の背景に、アメリカ本国でのトランプ大統領と、いわゆる日本利権を持つ者たち、リチャード・アーミテージやジョセフ・ナイやマイケル・グリーンらジャパンハンドラーたちとの対立があるということを、孫崎享さんがニコニコチャンネルにあるご自身のチャンネルのブロマガで書いている。

 安倍晋三さんは日本国の総理としてジャパンハンドラーの影響圏の中にいるが、むしろトランプ大統領と一体になっている。安倍総理はオバマとはまったくあわなかったが、トランプとは大いにうまがあうようだ。同じ程度の人だからであろう。一方、ジャパンハンドラーたちはトランプ政権の誕生によって、アメリカの政界の主要勢力から外されてしまった。つまり、日本の安倍総理に対して、リチャード・アーミテージやジョセフ・ナイたちの意向より、トランプ大統領の意向が強く伝わるという事態になってしまった。そこで、ジャパンハンドラーたちは自分たちと関係が深い小池百合子、前原誠司、さらには長島昭久などを日本の国政の中枢に置く必要がある。

 安倍自民と希望の党は改憲と安全保障について「同じ」であるというのは、どちらも対米従属と新自由主義であることで「同じ」である。あとは直接的に影響を及ぼされる相手が合衆国大統領かジャパンハンドラーかの違いでしかない。この孫崎さんの指摘は大変興味深い。

 安倍政権が一強であり続けているということが、国民にとって不幸であることは確かなことであるが、こうしたカタチでしか安倍政権一強を終わらせることができないということに大きな問題がある。

 本来であれば、安倍政権がやってきた経済政策や安全保障や外交など様々なことが大きく間違っているので即刻やめさせなくてならないという認識を、広く国民の多くが持って安倍政権を退陣させなくてはならないはずだ。ただの雰囲気やムードで政権がかわっても、また大きく間違った方向へ進んでいくだけである。

 いわゆる政治改革とか維新とかいうコトバには怪しさがあるが、リセットとか寛容な改革保守政党とか「しがらみ政治」から脱却するとか税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)の徹底とかいうコトバもまた怪しい。わずか1年の都政でさしたる成果を出していない小池都知事は、なにをどう改革するのかさっぱりわからない。築地市場は豊洲に移転をすると同時に築地にも市場機能を残すというが、なぜふたつあることにするのか理解できない。

 希望の党は脱原発をいっているが、もしそれが可能になるのならば喜ばしいことであるが、小池代表が脱原発をやるかどうかは疑問である。

 安倍自民にとって、今度の衆院選で自民の議席が減り、希望の党が数多く議席をとっても、改憲に消極的な公明党をきり、希望の党と組むことで改憲に持ち込むことができるという見方がある。しかしながら、今の日米関係のままで、安易に改憲をすることはこの国の対米従属がさらに進むだけである。

 結局、希望の党が出現しても、国民の暮らし、生命、財産、基本的人権というものは置きざりにされたままになっている今の状況はなにひとつ変わらない。本来そうしたことを主張すべきであったが、これまでなにもしてこなかった野党第一党はかくも恥ずかしい姿で消え去っていった。そして、メディアは安倍VS小池で押していくであろう。

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