北朝鮮のミサイルが「北海道の上空を通過」した
北海道のベンチャー企業が開発した全長10メートルの観測ロケット「MOMO初号機」が7月30日午後4時頃に打ち上げられた。この打ち上げの様子は、ニコニコ動画でライブ放送されていた。ロケットの高度は目標100キロ以上であったが、30キロから40キロまでしか到達できず、目標としていた100キロ以上の宇宙空間には到達できなかったようだ。ロケットはエンジンを緊急停止し、海上に落下したという。
100キロ以上の上空というのは、観測ロケットが飛んでいく場所なのである。この高度は、熱圏と呼ばれる地球の大気層のひとつになる。
国際宇宙ステーションは、高度400kmの上空を飛んでいる。29日のロイターによると、「北朝鮮は29日午前6時前、首都平壌の近郊から弾道ミサイル1発を発射した。ミサイルは高度550キロに達し、北海道の上空を通過しながら襟裳岬の東方およそ1180キロの太平洋上に落下した。」という。
国際宇宙ステーションが飛んでいるところの、さらに150kmの上をミサイルは飛んでいったのである。政府は「北海道の上空を通過した」といったが、これを「北海道の上空を通過した」というのはおかしい。北海道の上空を通過したと言っても、空を見上げて目で見える風景の中を通過したわけではない。国民に不安を煽っていると言われても否定できない。
ミサイルでJアラートの警告が出るというものもわけがわからない。どのような基準で、なにを目的としているのか。よくわからない。では、原発関連施設については政府なにか対応をしたのであろうか。安倍晋三さんは「いかなる状況にも対応できる緊張感をもって、国民の安全、安心の確保に万全を期していく」と言うが原発にはなにも対応はしないらしい。
日本向けのミサイル(何度も言うが、軍事兵器として使い物になるシロモノなのか大いに疑問がある)は、何年も前から配備されている。日本上空を「通過した」のは以前、1998年と2009年に東北地方の上空を通過し、2012年と2016年には、沖縄県上空を通過している。それなのになぜ、今、騒ぐのであろうか。
しかも今回、日本に向かって撃ったわけではない。アメリカに向かって撃ったと北朝鮮は言っているのだ。ところが、とうのアメリカでは、アメリカ南部を襲ったハリケーン「ハービー」による大規模な被害の方が大きな問題になっている。アメリカに向かって「撃った」(これは撃ったと言えるのだろうか)というミサイルで、日本が大騒ぎしているのである。
安倍晋三さんは「政府としてはミサイルの動きを完全に把握していた」と言うが、ならばなぜ不安を煽るようなことをするのであろうか。この問題を利用して国民の目を加計学園問題からそらす意図があると言わざるを得ない。
かりにもし日本へのミサイル攻撃があったとしても、朝鮮半島と日本列島の距離では完全なミサイル防衛はできない。前から書いているが、この距離での正しいミサイル防衛とは、ミサイルを撃たせないということである。
もちろん国防意識はなくてはならない。しかし、正しい論理的な根拠に基づいた防衛ではなくては意味がないのが軍事なのであえる。対処できるものには対処しなくてはならないが、対処できないものは対処できない。違う方法で対処することを考えなくてはならない。
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