森友・加計学園、北朝鮮
いわゆる、森友・加計学園の新設に関しての忖度疑惑について、北朝鮮の情勢が緊迫しているのに、こんな些細なことで大騒ぎすべきではない、というような声が産経やネトウヨ一派から聞こえている。
しかしながら、これは大きな問題なのである。
森友・加計学園についての出来事を問題視しているのは、安倍晋三さんを糾弾したり、安倍政権の退陣を要求しているのではない。いわゆる反安倍だからなのではない。
つまるところ、有力政治家の知り合いであれば、役人が忖度をして法規制の運用を融通してくれる。しかも、そのことについての記録や書類は全く残さない、証言台に立っても記憶はない、覚えていない、問題はないと言う。
森友・加計学園問題を「こんな些細なこと」と言っている人たちは、社会常識も節度もモラルも倫理も遵法意識もない。物事を正しくきちんとやろうという意識も意思もない。あるべき政治の姿を追求しよう模索していこうという理念はなく、間違ったことでも容認するという人々である。
なぜ、行政の意思決定の公文書がきちんと残っていなくてよいのであろうか。森友・加計学園についての出来事が問題なのは反安倍だからではなく、日本国国家の存立に関わることだからなのである。これを左翼メディアによる反安倍運動かのようにしか考えることができないということが、すでに一般的な社会常識や社会通念が欠落しているのである。
こうした人々が、国民感情で大統領を罷免し、国家間の合意で決定されたことを蒸し返す韓国は法治国家ではないと言っているのはおかしな話だ。森友・加計学園問題を「こんな些細なこと」とするのは、自分たちの国・日本は法治国家でなくていいと言っているのである。
それでは、彼らが重大事と称する北朝鮮についてはどうであろうか。これについてもまたお話にならないレベルなのだ。
本当にアメリカと戦争をするつもりであるのならば、事前にどこどこにミサイルを撃つぞ、撃つぞと言って戦争を始めるわけがなく、常識で考えても実際に撃つわけではないことがわかる。かつて、この国がアメリカのハワイ真珠湾を奇襲攻撃した時、徹底的に情報を管理して行った。その国が今や北朝鮮の虚言に右往左往しているのを見ると、戦前にはあった一般的な軍事常識がなくなってしまったのであろう。
事前にどこどこを攻めると言うなどということは、一目見ただけでたんなる脅し、ブラフ(はったり)である。
しかるに、ミサイルが上空を通過すると指定があったということで、島根、広島、高知や愛媛の地対空誘導弾パトリオットを配置するというのは、政府の「国防をやっています」を見せるためであり、防衛省が地上配備型イージスの導入や対ステルス機レーダー試作に196億円の予算を要求するというのは、この機会に乗じての予算獲得でしかない。
北朝鮮がどうこうするから憲法改正が必要だと言っている人は、本気で北朝鮮がどうこうすると思っているのならばただの無知蒙昧であり、あるいは、北朝鮮がどうこうするという状況を演出して、憲法を改正したいという政治的な魂胆があると思って良い。
産経新聞によると、「小野寺五典防衛相が国会で、北朝鮮が米軍基地のあるグアム島を弾道ミサイルで攻撃した場合、集団的自衛権の行使が許される「存立危機事態」に該当する可能性があるとの見解を示した。グアム攻撃によって米軍の打撃力が損なわれれば、日本防衛にも支障がでるとの判断からだ。国民を守り抜くうえで極めて妥当な認識である。安全保障関連法は、国民の生命、自由などが「根底から覆される明白な危険がある事態」を、存立危機事態と位置づけている。」という。
具体的に日本がなにをどうするのか。そういったことはまったく決められていない。ただ単に、産経やネトウヨ一派が喜ぶ雰囲気だけが生まれている。
この雰囲気で、日本がアメリカの戦争に巻き込まれていく。これが新安保でもっとも危惧されたことであり、今回はそうならないようであるが、この先において危惧されたとおりのままで自体は進展していくことが、これでよくわかるのであろう。
北朝鮮がどうこうよりも、この方がもっと問題なのである。
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