沖縄は再び「オール沖縄」で結束するだろう
沖縄の嘉手納基地で働く米軍属の男による女性遺体遺棄事件ついて、沖縄タイムスは5月21日の社説でこう書いている。
「これまでに何度、「また」という言葉を繰り返してきただろうか。県議会による米軍基地がらみの抗議決議は復帰後206件。凶悪犯の検挙件数は574件。いくら再発防止を求めても、米軍の対策は長く続かず、基地あるが故に、悲劇が繰り返される。 」
また、琉球新報は5月20日の社説でこう書いている。
「米軍は米兵らが凶悪事件を起こすたびに再発防止に努めるとする。だが、守られたためしがないことは今回の事件が証明する。」
容疑者は、嘉手納基地で働く軍属であったという。元海兵隊の隊員だったとのことだ。この駐留先の外国で、地元の女性に犯行を及ぼすというのは、アメリカ軍そのものの性質なのであろうか。他の国の軍隊が駐留した際、そこで起こした犯罪はどの程度の数なのであろうか。今現在、外国に自国の軍隊の基地を持つのはアメリカ以外にあるのかどうか思い浮かばない。このへん、チャルマーズ・ジョンソンの本のどこかにあったかもしれない。
これまで、沖縄でこのような事件は、何度も何度も繰り返されてきた。そのたびに、日米両政府は「綱紀粛正と再発防止に努める」と言ってきた。しかしながら、事件は繰り返されてきた。これはもはや再発防止は不可能と判断せざる得ないであろう。アメリカの国務省や在沖米軍のトップがなにをどう言おうと、このような事件は、この先も、また何度も何度も繰り返されると思わざるを得ない。
もはや米軍の地上戦闘部隊の基地があると、そこでは米軍兵士・関係者による犯罪が必ず起こると言っていい。だからこそ、沖縄県以外の自治体は、自分にところに沖縄の米軍基地を移転させて欲しくないのであろう。この理不尽この上ないことを、沖縄は戦後70年以上にわたって「引き受けさせられてきた」のである。日米安保は、一方的に日本側は著しく巨大な負担を負ってきた。このことを認識していない者たちが多すぎる。
アメリカ側から見れば、容疑者は以前、海兵隊に所属していたことがある者であり、今現在は、米軍に所属していない。今は軍属であるとしても、在日米軍の管理下にある人物ではない。いわば基地関係の民間会社のいち社員が起こした犯罪行為について、在日米軍が責任を問われる理由はないと思うであろう。しかし、沖縄の世論は、これを米軍基地があるから起こったと受けとめざるを得ない。
本来、沖縄に在日米軍基地を集中して置くのならば、それ相応のやり方があったはずである。しかし、1972年(昭和47年)の沖縄返還時、日本政府はいわばなし崩し的に、ずるずるとアメリカ主導で沖縄返還が行われ、その状態がその後も続いている。沖縄の在日米軍基地は、三沢、岩国、横田、厚木、横須賀、佐世保、等々の本土の在日米軍基地とは本質的に異なるのである。
沖縄では、今なお日本は敗戦国であり、米軍が占領軍である状態が続いている。日本政府が改めるべきことは、このことなのであるが、これに政府側はまったくの無自覚であることが、沖縄の人々の怒りを招いている。
今回の事件で、沖縄県は「オール沖縄」に陰りが出てきた状態が払拭され、再び「オール沖縄」で結束するだろう。
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