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March 21, 2016

やはり「共和党の終焉」だった

 先日、記事のタイトルを「共和党の終焉」にしようかと思ったが、さすがにそこまではいかないだろうと思い、やめたと書いた。しかしながら、今の共和党の大統領候補者指名競争を見ていると、やはりこれは共和党は終焉したと思うべきではないかと思い始めている。

 まさか、ここまでトランプ優勢になるとは予測できなかった。つまり、それほど有権者たちは、共和党主流に反感を持っていたのである。それほど、この問題は深い。

 アメリカの世論は、急速に分裂している。NYで移民団体などが、トランプに抗議するデモ活動が増えているという。共和党の上層部は、最終的に7月の共和党大会には、代議員の支持は過半数には達しなかったということで、共和党の大統領候補者にはなれなかったという筋書きの談合で幕を引くということをしようとしているようだ。今回はヒラリーに負け、次の大統領選挙で勝利を得たいというもくろみなのであろう。

 しかしながら、重要なのは、トランプが大統領候補になる、ならないということではなく、これほどトランプを支持する有権者がいるということだ。

 共和党の上層部が、談合で無理矢理にトランプを降ろすことは、トランプ支持の有権者を共和党から離れさせることになるだろう。富裕層への課税を高めることや、不法移民への対策について、誰が大統領になろうともやらなくてはならないということだ。イラク戦争の責任について、(民主党も含めて)口に出すことはしないことになっているジョージ・W・ブッシュの責任についても、トランプは堂々と述べている。アメリカ経済をここまで悪くしたのは、イラク戦争をしたからであり、その責任はブッシュにある。この今日、誰もが心の中でそう感じていることをはっきりと言うトランプだからこそ有権者の支持が高まっている。

 トランプ優勢は、共和党自身の身から出た錆であり、自業自得である(もちろん、大きな視点で言えば、アメリカ政治そのものの自業自得である)。富裕層だけが利益を得る格差社会を作り出したがために、有権者からのすさまじい政治的反感を買ってしまったのだ。これまで、アメリカが主体であり、アメリカが中心であり、アメリカが推進してきた自由貿易やグローバリゼーションに対して、有権者たちは反感を持ち、ワシントンの政治に怒りを感じている。

 結局、誰のための自由貿易であり、グローバリゼーションなのかということである。一部の富裕層だけではなく、国全体が豊かになるようになっていれば、今日、共和党主流は、これほどまでに有権者たちの反感を買うことはなかった。

 カリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院教授で、クリントン政権で労働長官を務めたロバート・ライシュはこう書いている

「しかし、君たち(引用者注:共和党主流)は利己的で強欲で、目先の利益のことしか考えていなかった。君たちは、前世代の保守本流が持っていた価値観を忘れてしまった。前世代は、世界恐慌と第二大戦がもたらした荒廃を目撃し、戦後は輝かしい中産階級の形成を助けた。あの世代とて、寛容や社会的責任を理由に行動していたわけではなかったが、すそ野の広い繁栄こそが、彼ら自身の事業にとっても長期的に良い結果をもたらすことを正しく理解していた。」

 自由と民主主義思想の普及などは、ある意味どうでもよく、それらはグローバリストやレーガン・デモクラットが言ってたことであった。保守の本来のやるべきこととは、一般中間層の暮らしや仕事や教育や医療や子育てなどを守るということであったである。今の共和党の混乱は、保守思想とは、本来どのようなものであったのか、そして、これからどのようなものに変わらなくてはならないのかが問われている。

 2011年9月に、ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)と呼ばれる抗議運動が全米各地で広まったが、今思えば、あれは今回の大統領選挙の混乱のいわばさきがけであった。アメリカの政治、経済に対する有権者の反感の感情は大きい。何度も言うが、今、アメリカやヨーロッパで起きていることは、新自由主義の終焉であり、アメリカ政治で言えば、新保守主義以後の共和党の終焉なのである。この有権者が感じているワシントン政治への大きな怒りと反感を真摯にそして誠実に受けとめることができないければ、共和党に未来はない。

 共和党主流の判断では、トランプではヒラリーには対抗できないとしているが、もし、仮に(仮にだ)トランプが共和党大統領候補になり、ヒラリーとの争いになった場合、有権者たちは、はたしてヒラリーを選択するであろうかという懸念はある。サンダースではなくヒラリーの場合、どう見てもヒラリーはワシントン政治の側であることは否めない。もちろん、ではトランプが大統領候補者で良いのかということはある。ようは、それほど理性の選挙ではなく、感情の選挙になっているということであり、そうなっていることに至った問題は深いということだ。

 もはや、アメリカが世界をどうこうという話ではなくなっている。一般的に、大統領選挙は内政優先になり、外交や安全保証はあまり表面に出ることはない。2016年の大統領選挙のメインは内政である(というか、イラク戦争を最後として、もうその後は内政優先である)(それだけ財政問題や格差問題が大きいということだ)。その意味では、今の大統領選挙の姿は当然と言えば当然の姿なのであるが、自国の国内の格差問題でここまでもめる姿から、例えば日中の紛争でアメリカが派兵するなど、もはやあり得ないことは誰にでもわかることである。前々から何度も言っているように、中東にせよ、東アジアにせよ、もうアメリカの軍事力に頼ることは夢物語なのだ。パックス・アメリカーナをもう一度などタワゴトなのである。

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