習近平国家主席の訪英
中国の習近平国家主席の訪英について、産経新聞は社説で「英国の対中接近 価値共有に目つむるのか」とし、こう述べている。
「習氏の訪問中、両国は中国による総額400億ポンド(約7兆4千億円)の投資や貿易の契約に合意した。高速鉄道、液化天然ガス事業など多岐に及ぶが、目玉は中国製の新型原子炉導入など総額180億ポンドに上る原発関連の投資だ。
極めて問題なのは、英国のキャメロン政権には対中批判を封印する姿勢が目立ち、共通の価値観に立つ米国はじめ同盟国などへの考慮が欠けていることである。
経済的実利の追求がそうさせているのだろうか。
中国への過度の融和姿勢は、米英の同盟関係に亀裂を生じさせ、東アジアにおける中国の覇権主義を増長させることにもつながる。日本の国益も損なう事態として警戒を強めねばなるまい。」
米韓関係を離れさせ、経済で米英関係にゆさぶりをかけようとするのが習近平の外交政策のようだ。そうやっていく以外に方法がないのが今の中国である。
習近平は日本には中国侵略を咎めるが、イギリスが行ったアヘン戦争の原因となった中国へのアヘンの輸出やアロー戦争(第二次アヘン戦争)でのフランス・イギリス連合軍による北京での略奪行為、特に円明園での徹底的な破壊についてなにも言わないのであろうか。あれは清朝とイギリスの間で起きたことであって、今の中共の中国とは関係はないと言うのであろうか。であるのならば、日本の大陸侵略の時代の中国も、今の中共の中国とは別の国のことになる。歴史における、中国への理不尽な行為を咎めるのであるのならば、日本だけにではなく、西洋諸国にも主張してもらいたいものである。
日本が近代国家への道を選択したのは、幕末、数多くの西洋諸国が日本にやってきたことにもよるが、最も大きな影響を及ぼしたのはアヘン戦争であった。中国がイギリスに敗北したことは、自国の中国を変えることはなかったが、隣国の日本はこのことを衝撃をもって受け止めた。
思えば大清帝国が、かつての康熙帝・雍正帝・乾隆帝の3代の治世の時ように強国であり続け、西洋諸国の侵攻を毅然としてはねのけてくれさえいれば、日本は明治維新などというものをやることはなく、日本人はサムライであることをやめなくてはならないことにはならなかった。このへんを、今の中国はどう考えているのであろうか。習近平にきいてみたい。
西洋のアジア侵略に対抗し、西洋の植民地になったアジアを解放すべきだったのは、本来は日本ではなく、中国がやるべきことだったのである。しかしながら、そうはならなかった。そうはならなかったということの中に、今の日本と中国はあるのであるが、根本的な問題として、中国は「このように」考えることをしないという問題がある。「アジア」の捉え方が、中国と、日本を含めたその周辺国とでは異なるのである。最近、そのことを考えるようになった。
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