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August 14, 2015

戦後70年談話はどのようなものになるだろうか

 よく聞く言葉に「今の日本をとりまく安全保障の状況が変わった」というコトバがある。

 つまりは、中国の軍事的脅威なのだと言う。具体的には、中国の軍事費の拡大と、南シナ海の南沙諸島での岩礁埋め立てや施設建設など、さらには東シナ海の日中中間線付近にガス田開発の海洋プラットホームを増設しているということだ。中国は周囲の海洋に進出するため、日本やフィリピン、インドネシア、台湾、マレーシアなどの領域に入り込み、勢力を拡大させようとしているというのが、中国の軍事的脅威を煽る人々の意見である。

 しかしながら、例えば、東シナ海での中国のガス田開発は今に始まったことではなく、またそのガス田としての有効性が疑問視されている。カンタンに言うと、資源として使い物になるかどうかかなりあやしいということだ。欧米の石油メジャーの策略に中国が乗ってしまったとも言えるだろう。日中双方の海域についても確定しているわけではない。

 南シナ海での中国の活動も、実際のところ脅威でもなんでもない。アメリカが大きな対抗策をとらないのも、アメリカのヘゲモニーが衰退したからではなく、その必要がないからだ。もちろん、中国はこれまでの状態を変えようとしている。かつてはイギリスが、現在はアメリカと日本が覇権を持つアジアの海域に、中国といういわば新興勢力が入り込もうとしているのである。当然のことながら摩擦や対立はある。これに対して外交で対処しようとするアメリカの姿は、これもまた当然の姿である。対立や摩擦があるのが、国際関係の常態なのだ。中国の脅威などといった、特別なことではない。

 とにかく中国がなにかすると、すぐに「中国の脅威」になる。今の日本をとりまく安全保障の状況が変わったのは、確かにそうかもしれないが、その状況の変化を作ったのは日本側が原因だ。今の日中関係の悪化は、安倍政権による日本側の強硬的な対中認識の裏返しである。今の日本が中国や韓国とこじれている最大の原因は、安倍首相およびその取り巻きの言動である。日本側の不必要な言動や行動と、反中・嫌韓感情を高めることをするので、中国や韓国も強硬な態度を取らざるを得ないのである。

 今の中国では近平国家主席は、かなり危機的な状況にある。韓国の朴槿恵大統領も同様である。中国も韓国も、ここで経済が崩壊したら自分の政権どころか、国が引っくり返るという状況にある。

 とてもではないが中国は、日本と紛争をやるヒマはない。そうした状態である中国に対して、やりようはいくらでもあるのだが、その逆に火に油を注いでいるのが安倍首相であり、さらには首相の支持基盤やお友達やネトウヨのみなさんである。

 現在の日中関係の不和は、江沢民政権の抗日政策の頃の日中関係の不和とは異なるものだ。現在の日中関係の悪化は、石原晋太郎元東京都知事による尖閣諸島の国有化発言から始まっている。そして、さらに前政権の民主党政権が尖閣諸島の国有化を表明した頃から、日中関係は本格的にモメ始めた。民主党政権での尖閣諸島の国有化以前にも、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件等での対応のまずさなどが悪化路線を開くものであった。そして、安倍政権の今日に至る。

 韓国の朴槿恵大統領は、北京で9月3日に開催される抗日戦勝記念式典に出席する方向で検討を進めているという。出席するとなると、日本や米国との摩擦が高まるだろう。韓国を中国側に向かわせたのは、日本の失敗といってもいいだろう。

 今、必要なことは集団的自衛権ではない。日本の安全保障を考え、中国に対抗するのならば、韓国を日米側につけることが現実的で合理的な対応である。それができるのは、アメリカではなく日本だ。中国に対応するには、日米関係の強化以上に日韓関係の安定と強化が必要であるのだが、安倍政権にはそうした思考はないようである。「今の日本をとりまく安全保障の状況が変わったので、日韓関係の安定と強化をすることが必要と判断しました」という発言は安倍首相にはできないようだ。

 日米安保の成立の過程、その内容および周辺事情についてなにも知らないから、アメリカは日本の防衛をしているけど、日本はなにもしていないじゃあないかと言われると、その通りですとカンタンに納得してしまうように、実は日本は財政的に多大な国際貢献をしていることが日本国内でも広く知られていない。

 安倍首相は「積極的平和主義」というわけのわからないコトバを言っているが、もし仮にそのコトバを用いるのであるのならば、戦後の日本はずっと「積極的平和主義」であった。国連供託金やIMF(国際通貨基金)や世界銀行などの国際機関に対する資金提供、さらに国別のODA(政府開発援助)その他もろもろ、日本は世界のためにそうとうな額の資金を出しているのである。

 しかしながら、そうした膨大なお金を出していながら、きちんとしたまとまったビジョンなり、戦略になりに基づいたアピールをしていないので、日本はその経済規模に見合った国際貢献をしていないと外国から言われると、そうした実感もなんにもないので、そうだよなとカンタンに納得してしまうのだ。

 「安保法案にはアメリカも周辺のアジア諸国も賛成している、反対しているのは韓国・北朝鮮と中国ぐらいだ」という声があるが、アメリカも周辺のアジア諸国も自分たちの利益になるから賛成しているだけだ。世界の心ある人々は、そんな日本に賛成はしないし、そんな日本を求めてはいない。また、軍事大国に二度となるつもりはありませんということを世界の人々は聴きたいのでのはない。

 日本は、この国際社会をどのようなものにしたいのか。環境問題や温暖化問題、難民問題や各地の紛争、貧困、疾病などの問題について、世界経済第三位の国である日本はどのように考えているのかを聴きたいのである。

 本日発表されるという戦後70年談話はどのようなものになるだろうか。

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