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August 01, 2015

『タイズ・ザット・バインド ~ジャパン・アンド・コリア~』を見た

 ニコニコ動画で、イギリスの番組制作会社 Blakeway Productions が制作した『タイズ・ザット・バインド ~ジャパン・アンド・コリア~』を見た。日本と韓国の双方の嫌韓・嫌日感情を扱ったドキュメンタリー番組である。8月7日に後編をやるようだ。

 番組は秀吉の朝鮮出兵である文禄・慶長の役から始まっている。このへん、なぜ秀吉の朝鮮出兵から始まるのかというと、今の韓国では日本の朝鮮侵略は秀吉の時代から始まっているとされているからだろう。

 しかしながら、日本の朝鮮半島への出兵は6世紀あたりから何度も行われていた。通常、日本と朝鮮の関係史は、日本が倭国と呼ばれていた時代から始まる。それをいきなり日本への恨みは、秀吉の朝鮮出兵から始まるとされても、日本人の常識的な感覚と合わない。そういうことを言うから、それじゃあ、元寇でモンゴルに命じられて一緒に日本に侵攻したのはどういうことなのだという不毛な会話になるのだ。

 実際のところ、秀吉の朝鮮出兵がどうこうではなく、朝鮮の壬午事変や甲申政変を考えないと、なぜ日韓併合に至ったのかということはわからない。逆から言えば、今の日本と韓国の双方の嫌韓・嫌日感情には、きちんと物事を考えようという意識はないということだ。

 もうひとつ思ったのは、台湾の対日感情との比較の視点がなかったということだ。日本の台湾統治は朝鮮統治より期間は長かった。今日の台湾での対日感情と韓国での対日感情を比較してみると、台湾では日治時代のその功と罪の双方を素直に見る視座があるのに対して、韓国では台湾のような視座が今だ現れてこない。この違いがあるのはなぜなのだろうか。もちろん、台湾統治と朝鮮統治は、その背景や過程は大きく異なるものであるが、この違いがあることは大きい。

 この番組を見てつくづく思うことは、今日の日本と韓国に、お互い嫌韓・嫌日感情があるという奇妙さである。この東アジアの島国と半島国の人々は、なにゆえ今もなお、お互いがお互いを嫌うのだろうか。

 その理由は、無能な政治家による国内の社会問題の不満をそらすための都合のいい手段としての「排他的ナショナリズム」があることと、さらにメディアにあふれる断片的な情報が、人々に陰湿な憎悪を植えつけ、増長させているからだ。今の日韓関係の異常さは、これを放置している双方の無能な政治家たちとメディアによって作られたものである。

 よく言われる意見に、アジアはヨーロッパのEUのような「ひとつの集合体」にはなれない。中国と韓国と日本が「ひとつ」のまとまりになることはありえない、という意見があるが、今のそうした国民感情を作ったのは政治であって、本来は、そうではない国民感情をおのおのの国が持つことは可能であった。少なくとも日本と韓国においては、今とは違った対日感情、対韓感情がある可能性があったと思う。番組の中で、独島(竹島)ツアーに行く韓国の人々のシーンがあったが「独島は韓国領だ!」と言う人々よりも、例えばソウルの本屋さんで日本の雑誌やコミックを手にとっている人々の方が自然に思える。

 日本人が、韓国の嫌日感情にまともなものを感じないように、今の安倍政権の姿もまた韓国からみると、まともなものに見えない。靖国神社参拝にしても、戦争で亡くなった英霊を追悼するのがなにが悪いのかという論理は、侵略された側には通じないのは当たり前のことだ。首相が靖国参拝をする姿を見て、どうも日本人は謝罪しているとは思えないと思うのが人間の当然の心理である。この番組を見てもわかるように、もはや日本と韓国のお互いの「排他的ナショナリズム」は、どちらもカルト宗教のようなものになっている。

 大陸中国、香港、台湾、シンガポールに「ひとつの中華文化圏」があるように、日本も含めた東アジアにはボーダーレスな「ひとつの経済圏」があり、そこでは日本のアニメやコミックや音楽や出版や映画の「商品」や「情報」が流通している。そうしたもの潮流の方が、今やカルトと言ってもいい「排他的ナショナリズム」よりも強いし、かつ自然なものだ。この自然な流れの上に成り立つボーダーレスな世界を、無能な政治家と「排他的ナショナリズム」が妨げているのである。

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