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April 11, 2015

アジアインフラ投資銀行への参加について

 中国が提唱するAIIB(アジアインフラ投資銀行)に日本が参加しないことで、中国を過小評価していると各方面から批判の声が挙がっている。

 「深夜のNews」は、アンチ安倍で親中だから、きっと日本がAIIBに参加しないことを、これぞとばかりに批判するだろう。AIIBの設立はアメリカの影響力の低下を意味している、21世紀は中国の時代なのだ、等々と、きっと真魚さんはそう言うだろうと思うかもしれないが、そう思われた方は申し訳ありません。私は今の時点で、日本はAIIBに参加する必要はないと思う。

 理由は簡単だ、自国の企業(中国では公司になるが)をきちんと監督、管理できない中国が、どうして開発国での投資ファンドをうまく運営することができるのだろうか。投資というのは、カネがあれば誰でもできる。しかしながら、そこからきちんとした利益を上げることができるように運営していくのは、それ相応の「運営力」がいる。開発国での投資は、世銀のプロジェクトでさえうまくいっていないものが多く、成功させるにはかなりの高度な能力を必要とする。融資に失敗し、債務不履行になれば、その国が経済危機になることもある。

 80年代に、日本の金融もバブル期におカネをじゃんじゃんと入ってきたが、日本の銀行や証券会社は、投資で資金を運営していくノウハウが大きく劣っていて、結局のところ相当な額のカネをどぶに捨てたことになってしまった。いや、中国には、そうした運営力、金融力はある。巨額のチャイナマネーで、多いに利益を上げることができると言う意見もあるかもしれないが、私にはとてもそうは思えない。今の中国は、まだそこまでになっていない。

 20世紀に、アメリカが世界の覇権国になったのは、それ相応の実力をアメリカは生み出してきたからである。1971年に変動相場制になり、ブレトンウッズ体制が崩壊したが、基軸通貨としてのドルの地位を維持し、アメリカの金融業界は、80年代に金融工学を躍進させ、当時新興だったIT技術を取り込んで徹底的な自己革新を行ってきた。その道のりは並大抵なものではなかった。今のアメリカの金融のレベルには、まだまだ中国は及んでいない。

 アメリカや日本は、AIIBは公開性や透明性が十分ではないので参加を見合わせたとしているが、そもそもIMFや世銀も透明性が十分とは言いがたいところがあるので、透明性云々は参加しないことの理由にはならない。AIIBは中国が主導になる。いや、初期に参加すれば主導メンバーになると中国が言っているではないか、その初期メンバーになることを、日本は逃したではないかという意見があるかもしれないが、初期メンバーになったところでAIIBは中国主導である。カネを多く出した国が主導になることは当然のことであり、AIIBはチャイナマネーでやっていくのならば、初期メンバーがどうであろうと中国の主導になる。

 今の金持ち中国は、すぐ張子の虎を持ちたがる。今の中国海軍では使いこなすことができない旧ソ連製の空母を持ったり、南シナ海で船舶を増やしたり、とにかくに今の中国のやり方は、規模を大きくしたり、数を増やしたりすることばかりで、実質的な中身についてはお粗末なことが多い。シルクロード経済圏はともかくとして、今回のAIIBの創設はまさにそうした「大中国」のメンツを張ったようなものである。

 ただし、そうした分不相応なものでも、持ち続けていることで時間がたてば、それなりに使えるようになっていくものなのである。日本には国力的に絶対持てないようなものを、中国は持つことができる。あとは時間をかけて、それを使える、できるようになっていく。これが中国の強みだ。

 産経新聞の古森義久氏は、産経のコラムでアメリカの中国軍事戦略研究家のマイケル・ピルズベリーの最新の著書「100年のマラソン=米国と交代してグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略」を紹介している。マイケル・ピルズベリーは、アメリカはこれまで中国の発展を援助し、中国は経済的に豊かになれば、国際社会への参加や協力を強め、西側に同調すると考えてきたが、それは誤りである。中国は、「建国から100周年の2049年を目標に経済、政治、軍事の各面で米国を完全に追い抜く超大国となり、自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立しようとしている」というピルズベリーの考えを古森氏は書いている。

 中国は100年のタイムスパンで物事を考えているというのならば、AIIBもそういうものなのかもしれない。ただし、今の中国共産党政府が、このままであと100年続くのかどうかは疑問だ。もちろん、欧米主導ではない資金源を持ちたいというニーズはロシアや中央アジアやアフリカ、南米、東南アジア諸国などにはある。中国が、それらの要求に応えられる国になるのかどうかということは、これから見続けていかなくてはならない。AIIBにこれだけの数多くの国々が集まったのは、中国の金融がアメリカの金融より強くなったからではなく、アメリカの覇権国としてのイメージが落ちてきたからである。

 史記に「鶏口となるも牛後となるなかれ」という言葉がある。昔、中国の戦国時代、秦が大国になり、他の周辺の国々を圧倒しつつある時に、蘇秦と言う人がの六国の韓の宣恵王に、秦に従って、その配下になってともに栄えるというのではなく、独立した一国の国として、連合して秦に立ち向かうべきだと唱えたという。日本とアメリカには、日米主導のアジア開発銀行がある。アジア開銀とAIIBの双方でプロジェクトを受注し、日本がプロジェクトの主導をとることもできる。

 必要なことは、アジアインフラ投資銀行に対して、どのような対応をとるのか明確な方針を持つことだ。アメリカはどうするのかと右往左往することが一番良くない。

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