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March 20, 2015

アメリカでのネタニヤフの演説

 私がネットでよく見るニュース番組はRT(旧称:ロシア・トゥデイ)とアルジャジーラとCCTV(中国中央電視台)だ。RTはネットで偶然に発見し、おや、なんか英語のニュース番組をやっているなと思って見てみると、どうもアメリカの番組のような感じがせず、後になって、これはロシアのニュース専門局であることを知った。ロシアであってもすべて英語でやっている放送局なのである。この放送局は、アメリカ国内でもかなりの視聴者がいるようだが、日本では、ほとんど知られていない。

 アルジャジーラは言うまでもなく、中東のニュース専門局だ。アラビア語と英語で放送をしている。CCTVは中国の放送局である。今の時代は、こうした外国のニュース専門局が24時間、番組を流していて、ネットで無料で見ることができる。たいへん便利な世の中になった。

 先日、iPadでなにげなくRTを見ていたら、「CrossTalk」という討論番組がやっていて、3月3日の米上下両院合同会議でのイスラエルのネタニヤフ首相の演説について、イランのテヘラン大学の人、ベイルートにいるジャーナリストの人、そして前ナショナル・セキュリティ・アドバイザーでハーバードのケネディスクールの人の3人が討論するというものであった。

 ネタニヤフ首相の演説についてどう思いましたかという問いに、テヘラン大学の人は開口一番「お笑いものだった」と言うのを見て、私も笑ってしまった。確かに、ネタニヤフ首相の演説はお笑いものだった。

 イスラエルのネタニヤフ首相が米上下両院合同会議でおこなった演説については、オバマ政権が行うイランとの核協議を批判し、イランに対する強硬路線を述べたものとしてメディアで大きく取り上げられた。

 とにかく、最初から最後まで、イランは中東の危険な存在であり、世界で最大のテロ支援国家だと言う、イラン憎しの演説である。ネタニヤフが、イランがいかに悪の国であるかを述べるたびに、議場では議員が総立ちで拍手喝采をしている。これが2分ぐらいおきに、立ったり座ったりなのだ。議員のみなさんは、さぞやたいへんであったであろう。

 ネタニヤフは、相変わらず英語での演説がうまい。見事な演説をする。しかしながら、その内容は、これも相変わらずのアラブ諸国に対しての強硬姿勢である。ネタニヤフは、イランやパレスチナをこの世からなくしたいのである。

 このネタニヤフの演説のお膳立てをしたのは、共和党である。この演説には、50人ほどの民主党議員がボイコットしたそうだ。実は今、アメリカの国内のユダヤ人の中でも、もはやネタニヤフを支持しない人が多くっている。世の中の流れは、ネタニヤフのイスラエルを支持しない方向へと動き始めている。延々と続く中東の紛争について、世界はうんざりしてきたのだ。やるなら勝手にやってくれというのが、アメリカの心情だ。だから、オバマ政権はイスラエル、さらには中東そのものから距離を置こうとしている。これまでを見ても、アメリカが中東に介入してろくなことにはなっていない。そのことに、アメリカがようやく気がついたのがオバマ政権である。

 この演説の中で、ネタニヤフはパウロの言葉を引用しているが、最近公開されたリドリー・スコット監督の映画『エクソダス』では、クリスチャン・ベールが扮するパウロが、これから行くカナンに住む人たちにとっては、自分たちは侵略者になると言うシーンがある。ようするに、今の世界の良識的な人々は、イスラエルについて、そう思うようになってきているのだと言えよう。これまで、アメリカを中心として欧米諸国の中東の見方は、あまりにもイスラエル拠りに偏ったものであった。それがようやく、まっとうに中東を見ようとする世の中になってきた。

 イスラエルの中にも、ネタニヤフ政権を批判する人は多い。ロバート・フロストの詩の引用は、老人が多い議員は感動するかもしれないが、若い世代には通じない。米上下両院合同会議ではみんな総立ちで拍手喝采をしているが、これをネットで見た世界の数多くの人々は、逆にいかにイスラエルが危険な、おかしい国であるかを感じるだろう。

 イランは、核の平和利用を掲げている。RTの「CrossTalk」を見ても、イランの核を脅威とする客観的、中立的な根拠はまったくないことがわかる。アメリカの調査で、イランには核兵器を製造する意図はないことが立証されていることが述べられている。アメリカの調査で、である。イランが核を軍事利用するのだという声は、かつてイラクに大量破壊兵器があるというウソで、イラク戦争を始めたことと同じである。

 ネタニヤフ首相の演説は、ああ、また、イスラエルの暴力おっさんがなんか言っているんだなと思えばいい程度のことなのだ。今や、熱狂的にイスラエルを支持しているのはアメリカの共和党ぐらいだろう。世界の良識ある人々は、ネタニヤフのイスラエルを支持していない。

 ところが、なぜか安倍政権はイスラエル支持を表明している。この国は、対米従属だからそうしているのだろうが、その当のアメリカが中東から手を引こうとし初めている。ボルトンとかいったネオコン一派や、マケインとかいった共和党中道右派がアメリカなのではない。

 いやあ、こういう番組をやるRTはおもしろいわ。


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