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November 04, 2014

IPCC報告が第5次統合報告書を公表した

 国連のIPCC「気候変動に関する政府間パネル」は「2日、地球温暖化を巡る最新の研究成果をまとめた第5次統合報告書を公表した。今のペースで温室効果ガス排出が続けば、今世紀末には人々の健康や生態系に「深刻で広範囲にわたる後戻りできない影響が出る恐れ」が高まり、被害を軽減する適応策にも限界が生じると予測。その上で、気温上昇を抑えるために「多様な道筋がある」として、各国政府に迅速な実行を迫った。」という。「報告書は、温暖化の主な原因が人為である可能性が「極めて高い」(95%以上)と断定。」している。

 断定もなにも、人類社会は産業化以後、膨大な量の森林を伐採し、化石燃料を燃やしてきたことを思えば、地球大気にCO2を排出しているとは中学生でもわかることであろう。そのCO2やメタンの排出が地球の気象を変えているということはまったくの疑いようがないことである。地球環境に影響を与えていないと思うことが異常であり、まともな科学的思考ができない人と言ってよいだろう。

 問題はそれが「どれほど、どのように影響を与えているのか」ということであり、その点において各種様々な見方、考え方がある。地球環境という巨大で、いまだよくわかっていないことが数多くあるものについて明確な答えを出すことができないのは当然のことであろう。

 もうひとつの誤りやすい点は「温暖化」という言葉である。温暖化しているのならば、寒くなることはないではないかという意見だ。こうしたことを言う人は「ある地域において気温が上昇すると、ある地域においては気温が低下することがある」という現象が起こるということを理解していない。地球科学の基礎知識がないということなのであるが、このことについてはそうしたことを教えなくては一般の人々はわからない。地球科学は時間とか地理とかのスケールが「国」とか「歴史」とかよりも遥かに大きいから理解しにくいところがある。

 そうした意味では「地球温暖化」という言葉よりも「異常気象」や「気象変動」という言葉の方が良いのかもしれない。ただ、そうした「異常気象」や「気象変動」の背景に「地球温暖化」現象があることを思うと、状態の説明として「地球温暖化」でもよいのではないかと思う。必要なことは、「温暖化」しているのだから「寒冷化」するわけはないという表面的な考え方する人々に正しい地球科学の知識を教育・普及していくことだ。

 地球が寒冷化に向かっているという意見と「地球温暖化」は相反することではない。地球が温暖化や寒冷化することは太陽の活動に関連しているのであり人類の活動のせいではないという意見については、地球環境と太陽の活動は密接な関係にあることは当然のことであるが、太陽の活動だけで地球環境を決定することはできないことも当然のことだ。全球凍結時にも太陽はさんさんと輝いていたのである。

 これはそもそも問題の立て方がおかしいのだ。「地球温暖化」に否定的な研究をするのならば、その研究は人類によるCO2やメタンの大気への放出は人類の生活圏の気候になんの影響も与えるものでないという結論に到る研究であろう。しかしながら、そうした結論に到った研究は未だない。

 「地球温暖化」のわかりにくさのもうひとつの原因は、具体的な話になるととかく政治や利権がからんでくるので、マスコミは科学的に正しい内容で報道しない傾向があるということだ。そうしたマスコミの報道に対して地球科学で考えるとどうなのかという、常に科学のレベルで考えることが必要だ。

 重要なことは「異常気象」とは、なにに対して「異常」なのかということだ。地球側の視点に立てば、人類がどれほどCO2排出しようが、しまいが、まったく関係ない。これまでの人類が行ってきた、そしてこれからの人類が行うであろう環境破壊のすべてよりも、もっと巨大な環境破壊が46億年の地球史の中でこれまで何度もあった。

 それらを上回る環境破壊を人類が行うとなると、人工的に地球の周回軌道を変えるとか太陽を崩壊させることだろう。こればっかりは地球にはできなかったことであるし、これからもできないことである。それ以外のあらゆることが(宇宙から飛来してきた巨大隕石の衝突も含め)この惑星で行われてきた。それと比較すれば、人類が行うことなど「とるにたらないこと」である。

 人類がなにをどうしようと、20億年後には太陽の高熱化により海は干上がり、大地は灼熱の不毛地帯になる。さらに50億年後には最後を迎えた太陽が膨張し、その膨張の中に地球は飲み込まれて消滅する。

 クジラ、ホッキョクグマ、ゾウ、パンダ、サイなどといった動物が絶滅しても地球はなんら困ることはない。また新たな動物が進化して、そのニッチを埋めるだけである。同様に、人類が滅ぼうが繁栄しようが地球にはなんら関係ない。5億年前のカンブリア期に他種多様な生物が爆発的発生したが、2億年前のペルム紀の末に地球環境の変動により生物種の95%が絶滅してしまった。しかしながら、それでも生物の進化がなくなることなく繁栄の道を進んでいった。その後、三畳紀末、白亜紀末と地球(と宇宙からの巨大隕石)による大量絶滅があったが、それでも生命は終わることはなかった。我々、人類はそうした「生きている地球」にいる。この認識がまず必要だ。

 では、なぜ生物の多様化を保護しなくてはならないのか。それは地球や生物のためではなく、我々、人類の環境を維持するためであり。「異常気象」とは、人が住む上で「異常」なのであって、地球からすれば異常でもなんでもない。気候が変動して困るのは人類なのであって地球ではない。つまり、「地球温暖化」とは地球がどうこうという話ではなく、人が困ることになる話なのである。救わなくてはならないのは地球ではなく、我々人類なのである。IPCCの報告は地球のことを論じているというよりも、我々人類の将来のことを論じているのである。

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