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November 03, 2014

訪日中国人旅行客の増加

 最近、中国から日本へ来る観光客が増えている。11月3日の毎日新聞によれば「中国の訪日旅行客数が今年、V字回復している。1~9月は179万人で前年同期比8割増となり、年間での200万人突破が見えてきた。」という。

 今や中国で長期休日に外国旅行へ行く人々がまず行くのが日本である。日本の製品は安全で品質も良いので、日本に来て大量に買い物をする。そして中国に帰ると日本は街並みもきれいで、清潔で、治安はいいし、日本人は親切だということをネットでさかんに書き込んでいる。そうした書き込みを読んで、日本に行ってみたいと、さらに日本に旅行に行く人々が増えている。

 中国は政府による反日教育があって人々は反日感情を持ってきたわけであるが、国民生活が豊かになり、日本に旅行して実際の日本を知る人々が増えてくると、政策としての反日はもはや通用しなくなってきた。共産党政府がなんといおうと、実際に行ってみたら日本は好きになったというわけだ。人々は政治は政治、普通の日本は普通の日本という切り分けをするようになってきた。

 日本側が首相が靖国神社へ参拝したり、政治家がかつての戦争は侵略ではなかったかのような発言をすれば、中国側の感情が悪くなるのは当然であろう。そうしたことがなければ、中国では日本のことを知りたい、日本の製品が欲しいという要求が高まっている。政治家が余計なことをしなければ、情報と交通のグローバル化によって中国の人々の日本への感情はごく普通の自然なものになっていくのだ。

 日本側においても、これまであたかも中国が世界を支配するのではないか、中国が新しい世界秩序を樹立するのではないかという声と、その反動としての中国脅威論や反中、嫌中感情の高まりがあった。しかしながら、時が経つにつれ、中国もまた国際社会の中で、政権内部にゴタゴタを抱え、土地バブルの崩壊により経済成長に陰りが出てきた、中国は大国ではあるが、数ある国家の中のひとつであることが否応なしにわかってきたと言えるだろう。

 かつて1980年代、ジャパンマネーが世界経済に大きな影響力を持っていた時代、これからは日本が世界を支配するのではないかという日本脅威論や日本警戒論が世界のメディアを騒がした。今、中国について起きていることも同じだ。実際のところ日本の強さなど砂上の楼閣であったように、中国の脅威など張り子の虎なのである。日本の一部のメディアや論壇などでは将来に日中戦争が起こるかのような論調を煽っているが、まったくもって非現実的と言わざるを得ない。

 いや、南シナ海を見ろ。ソ連が東欧諸国を自国の勢力下に置いたように、アメリカの軍事力がなければベトナム、マレーシア、フィリピン、シンガポールなどは簡単に中国に勢力圏下になるではないかという声もあるが、では、そうした東欧諸国が今どうなっているのか、ソ連そのものが今やどうなっているのかと思えば、そうしたことがあったとしても長続きはしないことがわかるであろう。

 中国について論じる際に注意しなくてはならないことは、とかく善悪で考えることである。イギリス・アメリカが正しく、ロシア・中国は悪であるという発想だ。なにをもって中国の野望というのだろうか。ソ連に対して間違った対応をしてきたように、今度は中国に対して同じ間違いをしている。

 南シナ海の覇権をもって「野望」というのならば、その昔、イギリスが南シナ海の覇権国であった時はイギリスの野望であり、第二次世界大戦以後はアメリカの野望ということになる。イギリス、アメリカの野望は正しく、中国の野望は間違っていると言うのだろうか。世界経済に中国が台頭していることはごく当然のことであって、そこに善悪の区別はない。

 ユーラシア大陸に目を向けてみると、そこは今やEU・ロシア・中国が主導する経済圏になっており、アメリカの覇権力は著しく低下している。そうした現状を踏まえると、南シナ海も多極化した状態になると思わざる得ない。

 その意味において、南シナ海でアメリカの軍事力が低下すれば中国が出てくることはごく当たり前のまっとうな見方であり、だからアメリカの軍事力を低下させてはならない、アメリカの軍事力を低下させるオバマ政権は間違っているという論調が世界を見る見方を間違ったものにしているのだ。なにものにもとらわれない素直な目で物事を見ることが必要なのである。

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