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August 2014

August 14, 2014

朝日新聞の慰安婦報道

 朝日新聞が30年以上たって慰安婦報道の誤報をようやく認めたという。産経を筆頭に慰安婦の強制連行はなかったことにしたい方面がここぞとばかりに朝日新聞を批判している。

 河野談話は、すべての従軍慰安婦が日本国による強制連行であったとは言っていない。「本人たちの意思に反して集められた事例」もあったであろうと言っている。まことにもって常識的に考えてもその通りだろう。自分の意思で慰安所で働いた人もいれば、そうでなかった人もいた、が常識的な判断であり、日本側としては以上で話は終わりなのである。なぜそうならないのか不思議だ。

 しかるに、ではなぜ河野談話が非難されるのであろうか。これはつまり河野談話を否定する人たちは、河野談話の言う「本人たちの意思に反して集められた事例」もあったということが認め難いのであろう。そうでなければ河野談話が非難される理由がない。従って、日本において河野談話を非難する人々は、つまりは日本人は朝鮮で悪いことは一切していませんと言いたい人々なのだろう。

 ただし、では朝日新聞の報道は批判されるものではないのかというとそういうわけではない。「本人たちの意思に反して集められた事例」もあったということなのに、まるで全員が全員、強制連行だったかのようなイメージを作ったのは左派のメディアである。そしてそのような偏った自虐的な歴史観を本来の正常なあるべき姿に戻そうとしたのが右派のメディアだった。ところが右派は左派の自虐性を批判するあまり、日本人がアジアで行った残虐行為を少しでも挙げると非難するようになってしまった。

なぜ当たり前の姿にならないのか。いわゆる従軍慰安婦問題だけではなく、東学党の乱から日清戦争、閔妃殺害や日韓併合、そして30年にわたる日本統治ついて未解決の問題は山のようにあるのだが左派メディアにせよ右派メディアにせよ、それらを認識の圏外に無自覚に置いてきたのが戦後の日本であった。

 日韓関係はなぜかくもいびつで歪んだものになっているのだろうか。それは日本がまともに朝鮮(韓国・北朝鮮)を考えることをしていないからだ。例えば、閔妃を殺害したのは誰だったのか。日本が陰謀によって閔妃を殺害したのならば、その謝罪はどうなっているのかということで日韓関係がもめるのならばまだわかるが、そうした出来事には言及されることはなく、いわゆる従軍慰安婦問題が日韓関係を悪化させているのはどういうことなのだろうか。これはこのこと自体が日本のアジア認識のいびつさ貧しさを意味している。

 ようするに、朝鮮についてまともに捉えることをしていない。そして、これは朝鮮についてだけではなく中国や台湾についても同じことが言える。戦後の学校教育やマスメディアは、日本列島四島の以外の「日本」について扱うことをしてこなかった。これはサンフランシスコ講和会議で日本の領土は日本列島四島とされたことと、日本はかつて台湾と朝鮮を植民地とし、中国大陸に侵略していったという加害者意識がほとんどないに等しい状態になっていることは関連がある。幕末から明治、大正、昭和、そして戦後にかけて日本人は中国、朝鮮、台湾をどのように認識してきたのか。実はこの問題はかなり大きくて奥が深い。

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