オバマの尖閣諸島は安保の対象になる発言を考える
昨日述べたオバマの尖閣諸島は安保の対象になるという発言はなんら意味を持たないということについて、詳しく述べてみたい。というか、今回のオバマ合衆国大統領の訪日はなんであったのかについて述べたい。
マスコミでは今回のオバマ合衆国大統領の訪日で最も意義あったことは、オバマ米大統領が共同記者会見で「日本の施政下にある領土、尖閣諸島を含め、日米安保条約第5条の適用対象になる」と明言したことだと言われている。尖閣諸島に中国が侵攻してきたらアメリカが阻止してくれることをアメリカの大統領が言ったんだぞと中国に対して示したということなのだろう。
そもそも尖閣を日本の領土とするのならば、それを日本人の手で守ると言うのではなく、アメリカの兵隊さんに守ってもらうということを合衆国大統領が言ったと喜ぶのは独立国家としていかがなものか。本来は、アメリカがどうであろうと、日本は日本人の手で断固として尖閣諸島を守るという態度を見せるべきではないのか。こうした日本の姿が中国や韓国から見て日本はいかなる国であるのかを伝えていると思うのであるが、どうであろうか。
とりあえずそれはそれとして、オバマの発言である。
ここでポイントは二つある。ひとつは「日本の施政下にある」。「日本の施政下にある」というのは、尖閣諸島で言えば日本が実行支配している場所であり、その意味においてオバマが言うように尖閣諸島は日本の施政下にある。しかしながら、中国が実行支配してしまうと日本の施政下ではなくなる。つまり、中国軍が上陸して占領してしまったら日本の施政下ではなくなるので日米安保の対象にはならなくなる。沖縄とか九州とかは実効支配云々ではなく明確な日本の領土であるため、中国軍が上陸して占領した場合は明らかに侵略行為になり、そうなっても日本の施政下である。アメリカ軍は戦う義務がある。しかしながら実効支配でどうにでもなる領土問題の場所は、中国が占領すれば中国の施政下の場所になり日米安保の対象にはならないということなのだ。
もうひとつのポイントは「日米安保条約第5条」である。この条文には「自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処する」とある。「自国の憲法とは日本は日本国憲法であり、アメリカは言うまでもなく合衆国憲法になる。合衆国憲法では、宣戦布告権や軍隊の編成権、歳出権などは大統領にではなく連邦議会に属している。つまり、尖閣諸島で紛争が起きた時、連邦議会の承認がなくてはアメリカ軍は出てこれない。いまや財政危機のまっただ中にあり、国防予算を切り詰め、シリア攻撃を認めることがなかった連邦議会が遠い極東の洋上の岩っころのためにアメリカの兵士を戦場に送ることを承認するであろうか。常識的に考えればよくわかるであろう。
このように今回のオバマの発言は、政府やマスコミや言っているような尖閣についてアメリカが対応してくれるという発言ではなく、尖閣についてはアメリカはこれまで通り淡々とやっていく(ようするに、なにもしない)と合衆国大統領が言ったということなのである。オバマの発言は中国にかなり配慮した発言だった。
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