河野談話を見直してどうしようというのか
政府が河野談話を作成経緯を検証することになったという。河野談話を見直してどうしようというのか。いや、見直したい人々は日本軍が女性を強制的に連行し、慰安婦にしたということを河野談話は「認めている」ということが気にくわないのであろう。その見直しであるということは、日本軍が女性を強制的に連行し、慰安婦にしたことはないと言いたいのであろう。
常識的に考えても、このあり得ないことになぜこだわるのか。過去の朝鮮で行った日本の行為をそれほどに直視したくないのか。このへんが、私にはさっぱりわからない。大日本帝国の朝鮮統治では間違ったことが数多く行われた。河野談話を見直せよという人々は、この事実をなぜ認めようとしないのであろうか。
またこのこと、つまり「日本軍が女性を強制的に連行し、慰安婦にしたということ」を韓国が言ってくることについて、日本だけが非難されていると右往左往することが私にはさっぱり理解できない。韓国が言っていることはしごくまっとうなことであり、これについて謝罪をするのが当然ではないか。非難されてしかるべきことを過去の日本は行っている。これに不満があるのならば、100年前の日本に行って、あなたたちは100年後に非難されることをこれらからやろうとしているというしかないであろう。
もちろん、過去に行くことはできない。であるのならば、過去のどこにどのような間違いあったのかを学び、未来の誤りを防ぐしかない。「謝罪すると韓国は図に乗る」というが、韓国が図に乗ろうが乗るまいが、今の日本ができることは行い、できないことはできない。
今の日本ができることとは、河野談話をひたすら伝え続けることである。韓国は河野談話でなにをどう述べられていようとも、日本への反日政策を変えることはない。日本が河野談話を見直そうがなにをしようが朴槿恵政権の反日政策は変わることはない。だからこそ、日本には河野談話がある。河野談話を何度も何度も繰り返すべきである。韓国の中央日報は社説で「「河野談話」否定すれば韓日関係は破綻する」とさえ述べている。
朴槿恵政権の反日政策の背後には中国に認められたいという韓国の思惑がある。今の韓国は日本に向かって反日をやっているようで、実質は中国に向かって「我々はこのように反日をやっております」という政治メッセージを示しているだけだ。そうしたことなのに、日本は韓国の反日態度に狼狽し河野談話を見直すことで、韓国の反日トーンは変わらず、逆に国際社会から不信と危惧の念を持たれるだけという大きなマイナスになるであろう。アメリカのシーファー元駐日大使は「河野談話を見直せば、アメリカやアジアでの日本の国益を大きく損なう」ということを述べたという。
そうなると日本はまた「事実を理解して欲しい」とか「誤解している」とか「日本だけが非難されている」とか言うだろう。こうして、この国は世界から孤立していく。
だからこそ、河野談話を見直すとかおかしなことはせずに、愚直であろうとも河野談話を主張し続けていくことが必要なのである。むしろ国際社会は日本が河野談話を見直すとなると危機感を感じるが、河野談話を主張し続けていけば当然の一貫性を感じる。それが日本への信頼につながる。韓国が日本に向けて行っているわけではないように、日本もまた韓国に向けて行うのではなく世界に向けて主張することが必要だ。
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実にその通り!! 河野談話は日本・韓国両政府の間での「政治決着」を目指したものであったはずです。自民も維新も政治家のくせに「政治決着」の意味さえ知らんのか?
政治決着とは関係当事者間で「実際の事実がどうであれ」双方が納得できる範囲内で結論を妥協的に合意すること-と理解します。
一度「政治決着」を着けたものを検証するなんて蛇足以外のなにものでもないでしょう。
Posted by: K_Mad | March 13, 2014 01:32 AM
K_Madさん
見直すことは日本国内の右の人々の自己満足でしかありません。そんなことは政治でも外交でもありません。
Posted by: 真魚 | March 15, 2014 12:23 AM