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December 31, 2013

今年はバブル時代をもう一度の年だった

 昨日30日、東証の大納会の式典で安倍晋三首相は上機嫌で「来年もアベノミクスは買いだ」と述べたという。つくづく、この人は株価が上がればそれでいいという人なのだなと思った。

 今年、安倍政権が発足して1年が過ぎた。当然のことながら、改革は1年や2年でできるものではない。しかしながら、改革の方向性は最初の1年で出てこなくては、その後で出せるものではない。

 この1年ではっきりしたことは、アベノミクスとやらは株価が上がればそれでいいというものであるということだ。もちろん、株価は重要だ。しかしどう考えても実体経済の裏付けがなく、明らかに上がりすぎであろう。東証はこの1年で56%上昇し41年ぶりの高さになったという。

 例えば、日本の実体経済の要である製造業やIT産業は、例によってさっぱり未来が見えてこない。自動車メーカーは円安で収益を上げたが、規制にまみれた国内産業の構造改革などやる気はまったくないようだ。この「失われた20年」では、バブル時代がもう一度来て欲しいと思われてきたが、ここにきてついに「バブル時代をもう一度!」を実際にやるようになった。アベノミクスとやらは「バブル時代をもう一度!」なのである。ようするに、他にやるべきことが思いつかないのであろう。

 福島原発の汚染水は完全にコントロールしていますと言って勝ち取った東京五輪であるが、汚染水問題はますます深刻になっている。東京五輪は被災地の復興のためになると言っていたが、端から見て復興が進んでいるとは思えない。

 この1年で日本経済は回復した、景気は良くなった、雇用も賃金も良くなった、かつての日本がよみがえった等々言われているが、まったくそんなことはない。今のこの国は本当にやるべきことをまたもや先送りにして、「バブル時代をもう一度!」をやっているだけだ。この1年で経済も外交もますます表面的、短絡的になった。安倍首相は引き続き経済優先の政権運営をしていくそうであるが、来年もこの状況が続くと思うとうんざりする。

 しかしながら、そうはならない。バブルはバブルでしかない。来年は、金融政策も含めてアベノミクスでは世の中は良くならない事実が露呈してくるだろう。だが、安倍政権やメディアはそれを隠し、人々がそれに気がつくのをなるべく遅らせるようにするだろう。まあ、だからどうこうというわけではない。本来、国家とか体制というものはそういうものなのである。

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Comments

株価が上る→何となく景気が良くなったように見える→政権支持率が上る→そして憲法を改正する。
というのが安部首相が描くストーリーですね。その為には何んとしても株価を上げておく必要がある。
このストーリーが破綻するのは目に見えていると思います。株価が上り、物価が上っても給料はそれほど増えないでしょう。そのため安部首相は躍起になって給料を上げるよう経営者にハッパをかけている。

しかし、経営者も政権から後ろ指を指されない程度にそこそこ賃上げすると思いますが、景気上昇に寄与するにはほど遠いでしょう。
少子化に伴う将来不安を見越し、国民は給料が上がった分を貯蓄に向けるでしょう。この将来不安を解消しない限り、そこそこの給料上昇分を、消費に向けることは考えにくいです。

tsuneさん

アベノミクスは確かに株価を上げる操作はできたと思います。株価が上がって、安倍総理はとにかくひたすら、景気が良くなったという気分を煽り、企業は株の利益を設備投資や従業金の賃金アップに回し、銀行は利益を融資に回し、従業員は給料が上がったのでモノを買うようになる。かくて経済が成長する。という回転になってくれることが安倍政権の経済政策です。

しかしそうはなりません。こんなものはひと昔もふた昔も前の考え方です。

失われた20年というのは、つまりそうしたことでは経済は再生しない、ではどうしたらいいのかを模索してきた20年だったはずなのですが、安倍政権になってなにゆえか、こんなことをやってもなにもならないことを堂々とやって「日本の経済は良くなった」と言っています。

しかしながら、ムードで現実は変わりません。今年は消費税が上がりますが、こんなものは今の政府がやっている公共事業の増加と社会保障費の増加と国債の借金の増加でなんの意味もなくなります。なんのための消費税の値上げなのかということになります。ただし、消費税が上がると外国から見れば日本の財政への信頼が高まりことになりますので株価はまだ高水準を維持し続けるでしょう。株価は高水準であっても実体経済は良くならない。ということで、安倍政権はこのままでは「日本の経済は良くなった」というウソがばれることになります。

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