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September 23, 2013

アメリカは新孤立主義へと向かっている

 アメリカで外国への軍事介入を避けようとする「新孤立主義」が拡大しているという。シリアへの攻撃について、かつてはイラク戦争を支持した共和党でさえもが強行に反対した。

 9月22日の毎日新聞の記事によると以下のようにある。

「孤立志向の中心は「反戦の民主党リベラル派」と「財政再建重視の共和党保守派」。後者には「小さな政府」を目指す草の根保守「茶会運動」系議員が多い。シリア攻撃に傾いたオバマ大統領も(1)財政難(2)えん戦機運で当選した政治的出自(3)議会の孤立志向--を踏まえ介入に慎重だ。」

 他国への不必要な軍事介入をしないということや、国内の財政再建を重視しようということは、別におかしいことでもなんでもなく、アメリカ国内にとってみれば、ごく普通の当然のことだ。ところが、アメリカがそれらを重視するようになると「アメリカは孤立主義になった」「アメリカの世界覇権力が希薄になった」と外国から言われるようになる。このへんが、アメリカのアメリカたる所以である。それほど20世紀後半からの世界はアメリカの世紀だった。それが終わろうとしている。毎日新聞のこの記事では、共和党主流はネオコンから新孤立主義に変わったという。

 もともと、アメリカには外交について二つの理念がある。ひとつは、アメリカ革命の理念である民主主義を全人類の普遍的な政治思想であるとし広げようとするものであり、もうひとつはアメリカは自分たちの国が侵略される場合は戦うが、それ以外には他国には関わらないというものである。建国してまもない頃、第5代大統領ジェームズ・モンローはアメリカはヨーロッパの出来事には介入しないとし、以後、この考え方がアメリカの外交の基本方針であった。しかしながら20世紀になり、アメリカの工業力が大きく進展し、世界の大国への道を歩み始めると、アメリカはこの方針を大きく変え、世界中にアメリカン・デモクラシーの理念を広げようとする国になる。

 この代表的な考え方を提唱したのが、第28代大統領のウッドロー・ウィルソンである。彼はアメリカは世界の国々に介入し、民主主義の社会を作ることをアメリカの使命とした。以後、アメリカはこの路線に進む。ウィルソン以前の外国不介入の時代は孤立主義と呼ばれていた。従って、今のアメリカの態度は「新」孤立主義と呼ばれている。世界にデモクラシーの理念を広げようとしたウイルソン主義の時代が終わりつつあり、アメリカは孤立主義に戻ろうとしていると言われるようになった。

 今の中近東の状況やシリア空爆回避を見ても、アメリカは世界の警官の役割をやめようとしていることがわかるであろう。これからの世界は、アフター・アメリカン・ヘゲモニーの世界に突入する。イラク戦争は泥沼化し、共和党保守の孤立主義の台頭、言論界でのネオコンの没落、シェールガス革命による中近東の石油依存の低下、こうしたことが複合的に重なり合い、時代は大きく動いている。世界のパワーバランスは、大きく変わろうとしている。アメリカがこうなることは、同盟国は自国の安全保証を再考せざる得ない。

 日本が望もうと望まざるとに関わらず、アメリカの世界覇権力は低下する。このことは、世界各地で地域紛争が起こりやすいということを意味する。東アジアで言えば、中国の勃興を妨げるものがなくなるということである。アメリカの新孤立主義化は、アメリカ依存になっている日本の安全保証に大きく関わってくる。明治日本が大国ロシアに対抗したように、中国に対して日本は独自の道を模索していく以外にない。これからの日米関係も、こうした大きな枠組みの変化の中で対応していかなくてはならない。

 またしても「アメリカがいつまでも守ってくれると思うなよ」なのである。

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