アメリカの負担軽減が必要だ
外務省の2013年版の外交青書が発行されたという。外交青書とは、外務省が「国際情勢の推移及び日本が行ってきた外交活動の概観をとりまとめたもので、昭和32年(1957年)9月の第1号以来、毎年発行されています。」ものだという。
「今年の外交青書は冒頭で安倍外交の基本方針に触れ、「日米同盟強化」「近隣諸国との協力重視」「経済外交の強化」の3本柱が説明されている。」という。
またもや例によって、日米同盟の強化、である。
思えば、前民主党政権の時にあまりにもアメリカ様をないがしろにしてしまった、今度は粗相があってはならない、アメリカ様を大いに持ち上げ、日米は一体であることを、アメリカ様および日本国民に伝えなくてはならない、ということなのだあろうか。
しかし、こう何度も何度も日米同盟の強化、日米同盟の強化、日米同盟の強化と言われ続けるといい加減飽きてくる。これは、つまり、日本は中国に自分だけでは対抗できません、アメリカさん援助をお願いします、と言っているわけだ。
さらに言えば、自前で大きな軍隊を持つことはしません、そんなもんにカネは使いたくありません、国の予算は経済発展だけに使います。アメリカが軍備にカネを使ってください、アメリカの兵隊さんが日本のために戦ってください、と言っているように見える。
もちろん、アメリカは天下の超大国だ。同盟国が安全保障条約の施行を求めてくることに十分に応える義務がある。しかしこう、何度も何度も強調されては、さすがの超大国アメリカもムカッ腹が立ってくるのではないだろうか。
今、アメリカは空前の財政危機にある。同盟国の防衛負担はなるべく小さくしたいとしている。
米軍の海外駐屯というのは、実は意外とたいへんなのだ。なによりもカネがかかる。外国におかれている米兵は任務で来ているわけであって、好きで来ているわけではない、その精神的ストレスは大きい。現地での住民と米兵の摩擦問題も大きい。米兵の犯罪や騒音などついての地元住民からの抗議にも対応しなくてはならない。
ところが、だ。そういうアメリカの苦労を知ってか知らずか、極東のジャパンという国のシンゾー・アベというプライムミニスターは、なにかというと日米同盟の強化、日米同盟の強化と言う。半世紀以上、日本は安保にただ乗りしてきて、この上さらに我々に防衛を負担させたいと言うのか、とアメリカが思うことはないと誰が言えるであろうか。
ここはひとつ、日本がアメリカの真の同盟国であるのならば、アメリカの財政状況を鑑み、アメリカどのに我が国の防衛の大きな負担を負わせることはあまりにも忍びない。そこで在日米軍のみなさんは、どうぞ我が国から撤退し自国の防衛に専念して下さい、と言うのが真の友好国のとるべき姿ではないかと思うのだが。
遅かれ早かれ、北朝鮮は今の軍事主導は終わり、現政権による中国型の開放経済路線になるだろう。そうなった場合、東アジアでのアメリカ軍の仮想敵国は中国だけになり、米軍の実践部隊は日本や韓国(の場所)からハワイやグアムのラインに下げることになるだろう。日本や韓国(の場所)に必要なのは情報収集基地や補給基地、訓練施設である。実際、もうそのことを想定してアメリカは軍の再編成をしている。世界は動いている。それなのに自民党政権と外務省だけが、日米同盟の強化というアメリカから見て迷惑と負担以外のないものでもないこと言い続けているのだ。
財政危機にあるアメリカに、日本防衛の負担を軽減させ、東アジアにおけるアメリカのプレセンスを継続させること。これが今求められていることだ。本当に考えるべきことは、沖縄の負担軽減ではなく、アメリカの負担軽減なのである。
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