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April 2013

April 28, 2013

「主権回復の日」式典について

 28日の政府主催で初めて行われた「主権回復の日」式典について、本土は沖縄を切り捨てて主権回復をした、対米従属の日の始まりという声がある。

 しかしながら、1952年(昭和27年)のこの時代、沖縄をアメリカ合衆国の信託統治領とすることに同意せざるえなかったし、対米従属云々というのも他にやりようがなかった。そもそも、日本はアメリカに占領されていた。その占領統治下から、これもまたアメリカの政策によって「主権回復」になった。

 この昭和27年の講和会議及び「日本国との平和条約」と「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」こそ、その後、半世紀以上にわたり、今日おいてもなおも日本国のあり方を規定している枠になっている意味において、大変重要なものである。実際のところ、この講和会議について、もっと知られていいと思うし、解説本や研究書がもっと数多く出てもおかしくない。今の我々は、昭和20年から30年代にかけての約20年間の現代史をもっと詳しく知る必要がある。

 確かに言えることは、後にこの国と世界がこうした姿になることは、あの時代、誰一人としてわからなかったということだ。戦後日本は、好きこのんで沖縄をアメリカに渡したわけではなく、対米従属をやってきたわけではない。

 結果としてそうなった、ということは言える。しかし、「結果としてそうなった」わけであり、半世紀前の人々は意図してこうしたわけではない。

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April 13, 2013

日米はひとつではない

 4月10日の産経新聞での岡崎久彦氏の特別寄稿「第2のニクソン・ショックはあるか」はたいへん興味深かった。対米従属論者の筆頭と呼ばれる岡崎久彦氏はこう書く

「第2期オバマ米政権の外交チームの最近の言動を見ていると、かつてのニクソン・ショックのような日本頭越しの米中接触が訪れそうな懸念を禁じ得ない。」

 日米同盟の強化を言う人々にとって、日米の対中政策は一体でなくてはならない。日本とアメリカは密接に協力し、お互いの共通の「敵」である中国に対抗する。日本が中国に軍事的に威嚇される時に同盟国であるアメリカは速やかに日本を防衛してくれる、というのが彼らの主張である。

 ところが、だ。何度も言うが、ところが、である。

 対米従属筆頭の(しつこいか)(笑)岡崎久彦氏でさえもが、どうも、最近のアメリカを見ていると、アメリカは中国に対抗しようという意思はなく、日本のことなどほっといて、アメリカは自分たちで中国と手を組むのではないかと岡崎氏は言っているのだ。

 岡崎氏は書く。

「オバマ、バイデン正副大統領、ドニロン大統領補佐官、ケリー国務長官の言動を見ていると、第2のニクソン・ショック、つまり日本に断りなしの対中接近がいつあっても不思議ではないように思う。」

 アメリカには前科がある。ニクソン・ショックである。1971年にニクソンがソ連とは不和であった中国に、敵の敵は味方であるとばかりに訪中し毛沢東を会談した。アメリカは、それまでは国民党の中華民国を中国の正統な政府とし、中国共産党政府を承認していなかったが、この訪中で米中共同宣言を発表し、毛沢東の中国共産党政府を事実上承認した。このことは日本政府にはなにも知らされてはおらず、日本は対中政策においてアメリカと一体で共同して中国に対抗し、東アジアの秩序を維持していくものと思っていたが、このニクソン訪中により、それが幻想にすぎなかったことを日本は思い知ったのであった。

 これと同じようなことを、オバマはやるのではないかと岡崎氏は危惧している。私に言わせれば、危惧するもなにも、そもそも日米一体なんてものは日本側の勝手な幻想にすぎないのだから、日本の対米従属の人たちから文句を言われてもアメリカは困るであろう。

 岡崎氏は、相も変わらずというか、アメリカが台湾問題について中国に譲歩すると、すぐに中国が台湾を占領するかのように書いているが(だから、台湾問題についてオバマは中国に譲歩するなと岡崎氏は書いている)、経済的に見れば中国も台湾ももはやひとつであり、大陸中国が台湾を軍事占領した場合、大陸中国の経済、及び世界経済が受ける被害は計り知れないものがある。オバマが台湾について習近平になにを言おうが、言うまいが、大陸中国と台湾の関係は変わらない。

 先日、古森氏についても書いたが、今や対米従属の人々からも、こうした見方、考え方が言われるようになってきている。対米従属の人々でさえ、アメリカの方向は中国との全面的な対立ではなく、対中協調であり、経済を重視する方向になっていることに触れざる得なくなっているということなのである。アメリカは対中関係を悪化させることは避けようとしている。だからこそ、アメリカは日本を無視して中国と接近する可能性は十分にある。

 中国に対して日米は一体ではない。親米ポチであろうとなかろうと、今のアメリカを見ていれば誰でもそう思うだろう。これが真実だからだ。

 私は問題はここ、つまり、日米は一体なのか、そうでないのか、ということではなく、中国に対して日米は一体ではないことをまず前提として、それで日本はどうするのかを考えるべきだと思う。はっきり言えば、アメリカの対中関係と日本の対中関係は本質的に、というか地政学的に、別のものなのである。日米は中国に対して同じにはならない。一体になりたくてもなれるものではない。

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April 06, 2013

アメリカの負担軽減が必要だ

 外務省の2013年版の外交青書が発行されたという。外交青書とは、外務省が「国際情勢の推移及び日本が行ってきた外交活動の概観をとりまとめたもので、昭和32年(1957年)9月の第1号以来、毎年発行されています。」ものだという。

「今年の外交青書は冒頭で安倍外交の基本方針に触れ、「日米同盟強化」「近隣諸国との協力重視」「経済外交の強化」の3本柱が説明されている。」という。

 またもや例によって、日米同盟の強化、である。

 思えば、前民主党政権の時にあまりにもアメリカ様をないがしろにしてしまった、今度は粗相があってはならない、アメリカ様を大いに持ち上げ、日米は一体であることを、アメリカ様および日本国民に伝えなくてはならない、ということなのだあろうか。

 しかし、こう何度も何度も日米同盟の強化、日米同盟の強化、日米同盟の強化と言われ続けるといい加減飽きてくる。これは、つまり、日本は中国に自分だけでは対抗できません、アメリカさん援助をお願いします、と言っているわけだ。

 さらに言えば、自前で大きな軍隊を持つことはしません、そんなもんにカネは使いたくありません、国の予算は経済発展だけに使います。アメリカが軍備にカネを使ってください、アメリカの兵隊さんが日本のために戦ってください、と言っているように見える。

 もちろん、アメリカは天下の超大国だ。同盟国が安全保障条約の施行を求めてくることに十分に応える義務がある。しかしこう、何度も何度も強調されては、さすがの超大国アメリカもムカッ腹が立ってくるのではないだろうか。

 今、アメリカは空前の財政危機にある。同盟国の防衛負担はなるべく小さくしたいとしている。

 米軍の海外駐屯というのは、実は意外とたいへんなのだ。なによりもカネがかかる。外国におかれている米兵は任務で来ているわけであって、好きで来ているわけではない、その精神的ストレスは大きい。現地での住民と米兵の摩擦問題も大きい。米兵の犯罪や騒音などついての地元住民からの抗議にも対応しなくてはならない。

 ところが、だ。そういうアメリカの苦労を知ってか知らずか、極東のジャパンという国のシンゾー・アベというプライムミニスターは、なにかというと日米同盟の強化、日米同盟の強化と言う。半世紀以上、日本は安保にただ乗りしてきて、この上さらに我々に防衛を負担させたいと言うのか、とアメリカが思うことはないと誰が言えるであろうか。

 ここはひとつ、日本がアメリカの真の同盟国であるのならば、アメリカの財政状況を鑑み、アメリカどのに我が国の防衛の大きな負担を負わせることはあまりにも忍びない。そこで在日米軍のみなさんは、どうぞ我が国から撤退し自国の防衛に専念して下さい、と言うのが真の友好国のとるべき姿ではないかと思うのだが。

 遅かれ早かれ、北朝鮮は今の軍事主導は終わり、現政権による中国型の開放経済路線になるだろう。そうなった場合、東アジアでのアメリカ軍の仮想敵国は中国だけになり、米軍の実践部隊は日本や韓国(の場所)からハワイやグアムのラインに下げることになるだろう。日本や韓国(の場所)に必要なのは情報収集基地や補給基地、訓練施設である。実際、もうそのことを想定してアメリカは軍の再編成をしている。世界は動いている。それなのに自民党政権と外務省だけが、日米同盟の強化というアメリカから見て迷惑と負担以外のないものでもないこと言い続けているのだ。

 財政危機にあるアメリカに、日本防衛の負担を軽減させ、東アジアにおけるアメリカのプレセンスを継続させること。これが今求められていることだ。本当に考えるべきことは、沖縄の負担軽減ではなく、アメリカの負担軽減なのである。

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April 03, 2013

イラク戦争から10年がたった

 先月3月の20日はアメリカのイラク戦争の開戦10年目であった。今となっても誰も顧みることはなく、イラクという国に2006年まで我が国の自衛隊が駐留していたのだが、そうしたことも今やすっかり忘れ去られたようだ。

 イラク戦争とは、アメリカが911以後、中近東の民主化なくして自国の安全を保つことはできないと考え、大領破壊兵器があるという理由をでっち上げ、世界からの非難に耳を傾けることなく、他国の政権交代を軍事介入によって強行させたアメリカ建国史上最も愚劣な行為のひとつである。

 今の国際社会でのアメリカのプレゼンスの衰退を招いたのは、今のオバマ政権ではなく、ブッシュ政権が行ったイラク戦争である。今、オバマは東アジアや中近東でのアメリカの威信の失墜を批判されている。しかしながら、深刻な問題となっている財政の強制削減も、元を辿ればブッシュ政権での財政政策の失敗による。すべては共和党とブッシュ政権及びイラク戦争を推進したネオコン一派が、今日のアメリカの衰退をもたらしたと言っても良い。オバマはブッシュの後始末を負わされた政権なのである。

 イラク戦争によってイラクに民主主義社会が誕生したであろうか。イラク戦争を始める前、ネオコンの一人、リチャード・パールはイラクを日本のようにすると言っていた。軍国主義国家であった日本を、アメリカが占領政策によって民主主義国にしたように、イラクもまたアメリカによって民主主義にし、イラクを始めとして中近東の国々を民主化すると言っていた。

 フセイン以後のイラクが、どうなったは言うまでもない。今やイラクは、先が見えない混乱の中にある。

 イラク戦争の開戦前、多くの人々がこの戦争はアメリカに利益をもたらすものはなく、むしろアメリカの衰退を早めるものであると反対をしていた。イラク戦争後、アメリカはその通りに衰退した。

 戦争の皮残業の愚かしさは、ベトナム戦争で学んだはずなのに、平然と同じ誤りを繰り返したのがネオコンである。例えば、シンクタンク「アメリカ新世紀プロジェクト」のドナルド・ラムズフェルド、ポール・ウォルフォウィッツ、ジェブ・ブッシュ、リチャード・パール、リチャード・アーミテージ、ディック・チェイニーらは、10年後の今、誰一人としてそのことについて反省をすることなく、平然とオバマを批判している。愚かしいとしか言いようがない。

 イラク戦争以後、紛争地帯に大国が軍事介入をしてもなんの意味もないことが立証された。しかしながら、ではそうした数多く犠牲者を生み出している紛争地域に対して、国際社会はどうしたらよいのかということについて、この10年間なんの進展もない。

 日本政府はイラク戦争を支持し、イラクに自衛隊が派兵されたことについて、あれはなんであったのかということも論じられていない。そして、10年たった今年1月のアルジェリア人質事件の後、外国駐在の企業の民間人が危機的状況の時に自衛隊が警備することが可能かどうか騒がれ始めている。ようするに、この10年間、何も考えてこなかったのだ。

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