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February 03, 2013

いわゆる「安倍ドクトリン」について

 先月、安部総理は東南アジア諸国を歴訪し、今後の安部政権における東南アジア外交について18日にジャカルタでスピーチを行う予定であったが、アルジェリアでの邦人拘束事件の対応のため、予定を早めて帰国することなったことにより行われなかった。本来は、このスピーチにて、安部総理は東南アジア諸国及び世界に安部政権の外交方針を述べるはずであった。

 このスピーチ「開かれた、海の恵み ―日本外交の新たな5原則―」の全文は、外務省のサイトで見ることができる。一読して気がつくのは、多くの人々が言っているように日米同盟の強調である。私はここで日米同盟の話を出す意味がわからない。「世界最大の海洋勢力であり、経済大国である米国と」ウンヌンカンヌン言う必要があるのか。

 ちなみに、平成19年の安倍総理の同じインドネシアでの政策スピーチでは「アメリカ」は一言も出てこない。なにゆえ、わざわざアメリカを持ち出す必要性があったのだろうか。この3年間の民主党政権で日米関係がぎくしゃくしたので、今回、政権は自民党に再び戻り、日米関係の安定と強化に努めますというアメリカ向けのアピールであったのだろうか。であるのならば、アメリカ向けのメッセージを東南アジア諸国に向かって言ってもらいたくはないものである。

 安部総理がアメリカとの関係を重要としているのは、東南アジアにおける日本の位置としては正しい。19世紀から20世紀前半は、シンガポールがイギリスのバックのもとで東南アジアに影響力を広げていったのに対し、20世紀後半は日本がその経済力とアメリカの覇権をバックにして東南アジアに影響力を及ぼしていった。その路線の延長線上として、安部総理のスピーチがある。今が20世紀ならば、これは正しい。

 しかしながら、今は21世紀であるということに、日米同盟ウンヌンカンヌンのおかしさがある。安部総理にとっては不幸なことに、今の東南アジア諸国に日本・アメリカと並んで影響力を及ぼしているのが言うまでもなく中国である。ASEANにおいて中国の存在は急速に増大している。大中華圏とも呼ぶべきものがここある。これからの世界の覇権は米中が握っている。言ってみれば安部総理は大中華圏の真っただ中で、アメリカの代理人として発言をしているという構図になっている。

 この構図は大変おもしろい。このスピーチを聴く東南アジア諸国は、心の中で、この先、アメリカについていくべきなのか、中国についていくべきなのかと思ったことだろう。この迷いこそ、今のアジア諸国の指導者の誰もが抱える悩みであり、悩みながら、米中双方との外交バランスを巧みとっているのが今のASEANである。この迷いがないのが日本だ。日本はなにがあっても対米従属をやめるつもりはないないようだ。

 基本的に、日米安保で中国に対応するという考え方自体が間違っている。日中間の紛争にアメリカは介入しない。米中は対立していない。これからの時代は、米中の2国が覇権国になる。日本は日米同盟の強化というオプションしかないため、勃興してくる中国に対して正面から対抗するという選択しかない。しかしながら、とうのアメリカには中国に対抗する意思はなく、中国と共に共存共栄していこうとしている。アメリカには日米が協力して中国に対抗しようという意思はない。また、日米で紛争が起きた場合、日本に荷担しようとする意思もない。

 アメリカで東アジアにおいて最も重要な国は中国である。リチャード・アーミテージ、マイケル・グリーン、ジョセフ・ナイなどといった、いわゆる親日派がさかんに日米が共同で中国に対抗しようと日本に吹聴しているが、ワシントンDCではタワゴトとしかいいようがない扱いになっている。

 何度も申していることであるが、いまの時代、日米同盟の強化が必要だとか言っている人はバカであると言ってよい。対米従属を固辞していれば中国に対応できると思っているのは、オメデタイとしか言いようがない。

 アメリカのアジア戦略は当然のことであるが時代の変化、状況の変化に対応し変わっていく。中国の大国化にどのように対応すべきなのか、アメリカは真剣さと危機意識をもってとりくんでいる。そうした真剣さや危機意識がないのが日本で日米同盟の強化が必要だとか言っている人々だ。こうした人たちは、国際社会について知っているかのようなふりをして、実は知らない。知らないから、バカのひとつ憶えのように、日米同盟の強化が必要だとか言っているのだろう。そうとしか思えない。

 中国の大国化とアメリカのアジア戦略の変更により、日米安保は大きく変わらざる得ない時がくるだろう。その時、日本はどのように中国に対峙したらよいのか。それを考えなくてはならない。

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