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February 25, 2013

『ゼロ・ダーク・サーティ』を見た

 キャサリン・ビグロー監督の映画『ゼロ・ダーク・サーティ』は911から始まる。しかし、911はある日突然始まったものはなく、911に至るまでの長い長い物語がある。映画『ゼロ・ダーク・サーティ』は、911以後のアメリカ・CIAの側のビン・ラディン殺害に至るまでの物語であるが、同じような長い長い物語が911に至るまでにある。
911に至るイスラム側の物語についてはローレンス・ライトの『倒壊する巨塔』によく書かれている。これに対して、911後のCIA側の物語がこの『ゼロ・ダーク・サーティ』だと言えるだろう。

 この映画の中ではでてこないが、この間、アメリカはアフガニスタンと、そしてイラク戦争をやり、兵士にせよ一般市民にせよ膨大な数の人々が死んだ。この死んでいった人々は一体なぜ死んでいったのかと考えるといたたまれなくなる。テロとの戦いとは、一体なんであったのだろうか。

 この映画を見終わった後、感じたことは空っぽの空虚感だった。虚無とも言ってもいい。

 なぜ911が起きたのか。それを考えることはマヤの仕事ではない。CIA分析官のマヤは、起きた出来事としての911の首謀者であるビン・ラディンの居場所を突き止めることであり、それを彼女は狂気とも言える態度で突き進めていく。日本の組織ではこういう跳ねっ返り的な者は潰されるが、目立つ突出者でも仕事をやり続けていくことができるところはいかにもアメリカだなと思った。この突出者が、ビン・ラディンの居場所を解明する。

 ビン・ラディンの殺害が最初から目的だったことや、他国へ特殊部隊を送って殺害と略奪をすることの違法性を顧みることはなかったことがこの映画からわかる。

 ついに目的を達成し、特殊部隊がビン・ラディンを殺害し、これでマヤの仕事は終わったわけであるが勝利感も達成感もなく、マヤはこの後の人生おいてアルカイダの恨みを受けることになることが十分予想できる。ビン・ラディンがいなくなっても、テロがなくなるわけではない。

 アメリカにとって、ビン・ラディン殺害はやらなくてはならないことだったのだろう。しかし、その代償もまた大きいものだった。

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