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February 2013

February 25, 2013

『ゼロ・ダーク・サーティ』を見た

 キャサリン・ビグロー監督の映画『ゼロ・ダーク・サーティ』は911から始まる。しかし、911はある日突然始まったものはなく、911に至るまでの長い長い物語がある。映画『ゼロ・ダーク・サーティ』は、911以後のアメリカ・CIAの側のビン・ラディン殺害に至るまでの物語であるが、同じような長い長い物語が911に至るまでにある。
911に至るイスラム側の物語についてはローレンス・ライトの『倒壊する巨塔』によく書かれている。これに対して、911後のCIA側の物語がこの『ゼロ・ダーク・サーティ』だと言えるだろう。

 この映画の中ではでてこないが、この間、アメリカはアフガニスタンと、そしてイラク戦争をやり、兵士にせよ一般市民にせよ膨大な数の人々が死んだ。この死んでいった人々は一体なぜ死んでいったのかと考えるといたたまれなくなる。テロとの戦いとは、一体なんであったのだろうか。

 この映画を見終わった後、感じたことは空っぽの空虚感だった。虚無とも言ってもいい。

 なぜ911が起きたのか。それを考えることはマヤの仕事ではない。CIA分析官のマヤは、起きた出来事としての911の首謀者であるビン・ラディンの居場所を突き止めることであり、それを彼女は狂気とも言える態度で突き進めていく。日本の組織ではこういう跳ねっ返り的な者は潰されるが、目立つ突出者でも仕事をやり続けていくことができるところはいかにもアメリカだなと思った。この突出者が、ビン・ラディンの居場所を解明する。

 ビン・ラディンの殺害が最初から目的だったことや、他国へ特殊部隊を送って殺害と略奪をすることの違法性を顧みることはなかったことがこの映画からわかる。

 ついに目的を達成し、特殊部隊がビン・ラディンを殺害し、これでマヤの仕事は終わったわけであるが勝利感も達成感もなく、マヤはこの後の人生おいてアルカイダの恨みを受けることになることが十分予想できる。ビン・ラディンがいなくなっても、テロがなくなるわけではない。

 アメリカにとって、ビン・ラディン殺害はやらなくてはならないことだったのだろう。しかし、その代償もまた大きいものだった。

February 23, 2013

ケーガンの『アメリカが作り上げた“素晴らしき”今の世界』を読む

 ロバート・ケーガンの最新著書『アメリカが作り上げた”素晴らしき”今の世界』(副島隆彦監修 古村治彦訳 ビジネス社 2012年)を読んだ。ケーガンはネオコンの有名なイデオローグである。この本の中でケーガンが述べることを端的に言えば、次の3点だろう。現在の世界体制はアメリカが作った。だから、アメリカが世界を支配する権利と義務を持つ。アメリカは衰退していないし、これからも衰退しない。

 第1点目の現在の世界体制はアメリカが作ったということについては誰も異存はあるまい。確かに、第二次世界大戦以後のこの70年近くの国際社会の体制はアメリカが作った。

 しかしながら、第2点目については、そう簡単には同意できない人が多いだろう。

 確かに、誰かが世界を管理しなくてはならない。20世紀後半以後、アメリカがその役割を担ってきた。この「その役割を担ってきた」というのは、アメリカが好むと好まざるとに関わらずであったと思う。第二次世界大戦はヨーロッパの力を弱め、ヨーロッパは世界覇権の座から降りざる得なくなった。だが、ヨーロッパができなくなったからといっても、誰かがその役割を果たさなければならない。戦争で工業生産力が増大し、強大な軍隊を持つアメリカがその役割を果たすよう世界が求め、アメリカもまた自らそれを求め。

 以来半世紀以上、アメリカは他国の政治を工作し、紛争に介入してきた。ケーガンも書いているように、アメリカは万能ではなく、間違いもおかしてきた。世界の多くはアメリカを愛しているが、また世界の多くはアメリカを恨んでいる。恨みはテロを生み、アメリカはその膨大なコストと代償を支払ってきた。世界システムは揺るぎない強固なものとしてそこにあるのではなく、アメリカが管理し維持してきたから成り立っている。我々はアメリカを賞賛し、アメリカに敬意を払うべきである。

 しかしながら、だからアメリカはなにをやってもいいとは誰も思わない。

 アメリカは革命によって生まれた国である。革命によって生まれた国は、国内が安定してくると、次に外国のその革命思想を伝えようとする。ケーガンの言う世界中が民主主義の国になれば、世界から戦争はなくなるという思想は、ケーガンの思想というよりもアメリカの根幹的な思想のひとつである。他国から見れば迷惑きわまりない考え方であるが、アメリカはそうしたl国なのであると理解するしかない。

 第3点目のアメリカの衰退については議論が大きく別れる。ケーガンはアメリカが衰退し、中国が覇権国になる世界になれば、アメリカがこれまで築き上げてきた世界システムが崩壊すると述べているが、例えばプリンストン大学のアイケンベリーはアメリカが衰退しても、リベラルな国際秩序は保たれるとフォーリン・アフェアーズで述べている。

「アメリカのグローバルシステムにおける地位が変化しているとしても、リベラルな国際秩序は依然として健在だ。国際秩序をめぐる今日の戦いは、基層部分での原則をめぐるものではない。中国を始めとする新興市場国には、リベラルな国際秩序の基本ルールや原則をめぐって先進国に闘いを挑むつもりはない。むしろ、その枠内でより大きな権限とリーダーシップを得たいと望んでいるだけだ。 」

 アメリカの覇権と中国の覇権への野望の争いがあって、アメリカが勝つか中国が勝つかような図式で考えている人が多いが、これは正しくないと思う。実際のところ、中国はアメリカが作った世界システムの上で台頭しているのであって、中国が独自に世界システムを作り、アメリカの世界システムに対抗しているわけではない。かつてソ連は、アメリカの世界システムそのものに対抗したが、中国はソ連とは違うやり方をしている。

 例えば、中国が国連のような国際機関を作ることが考えられるだろうか。あるいは、中国が国際的な食べ物の安全基準を定めたとして、それを信用する国があるだろうか。ケーガン言うように、中国に、今のアメリカが行っているような、世界を管理し運営していく責任感があるのかと問えば、そんなものなどないと彼らは答えるだろう。中国は今のアメリカが支払っているようなコストと代償を、自分たちが払うつもりはなく、それらは依然としてアメリカに支払ってもらい、自分たちはそのシステムの上で利益を得るとするだろう。世界を監視する責任の重圧は、これからもアメリカに背負い続けて欲しいというのが彼らの思いだろう。アイケンベリーが言うように、仮にアメリカが衰退したとしても、リベラルな国際秩序は保たれる。

 ケーガンが言うような、これからもアメリカはその責任を背負い続けるという理想は気高く雄々しい。しかし、現実にそれができる財政なのかどうかは疑問である。ケーガンはITと経済を知らない。しかしながら、今の時代はIT
と経済がわからないと世界はわからない。

 また、アメリカの覇権についても、これからはより柔軟で多角的な考え方が必要になる。前回のアーミテージとナイのレポートの紹介で述べたように、アメリカの意向は米日韓による中国への対抗であるが、例えばアイケンベリーとジョージタウン大のチャールズ・カプチャンは、日中が密接に連携しあうことが東アジアの安定をもたらすと論じている。ドイツとフランスが中心になってEUができたように、日中の二国が共同で東アジア共同体をつくることができるとアイケンベリーとカプチャンは述べている。当然のことながら、アーミテージとナイは日中による東アジア共同体に反対している。しかしながら、日中関係によって中国を国際社会の一員として組み入れることができれば、それはアメリカにとっても有益なことだ。

 つまり、日米同盟をより強固なものにするのではなく、逆により小さなものにし、アメリカ国務省は日本の政治への介入をやめる、あるいは、なるべく少ないものにして、日本に対するアメリカの影響力を弱めることが必要なのである。日本が中国、ロシアと連携を深めていくことが、東アジアに安定をもたらすことになり、結果的にこれはアメリカの利益になる。

 こうしたことは、「アメリカが作り上げた“素晴らしき”今の世界」にならないのだろうか。日米関係を深めることや、中国の軍事力拡張に対抗的に対応することだけが「アメリカが作り上げた“素晴らしき”今の世界」を守り、維持していくことではない。

February 17, 2013

アーミテージとナイにノーと言おう!

 (悪の)中国・北朝鮮と対抗する(正義の)日米(そして韓国)同盟という構図が大好きなのがリチャード・アーミテージとジョセフ・ナイJr.だ。ワシントンDCに、国際戦略研究所(CSIS)「Center for Strategic and International Studies」というシンクタンクがある。昨年ここからリチャード・アーミテージとジョセフ・ナイJr.らの研究グループによる報告書が発表された。

 この二人は、これまで何度も彼らが中心になって作成した日米同盟についての報告を出している。それらの報告は、例えば在日米軍の兵士による日本国内での犯罪をなくすにはどうしたらよいのかという内容のものではなく、日本の軍事力を高め、自衛隊を米軍の指揮系統の中に置き、アメリカの軍事戦略に従わせるにはどうしたよいのかというものになっている。

 実際のところ、今、世界の国々でアメリカ軍が一番多く駐留している国は日本である。そして、日本はその負担金の大半を支払っている。在日米軍を養っているのはアメリカの納税者ではなく日本の納税者である。そうした観点から在日米軍はどうあるべきかを論じるべきだと思うのであるが、アーミテージとナイにはそのつもりはまったくないらしい。

 去年の8月に出されたレポート「日米同盟 アジアの安定のために」の冒頭は、今の日本は衰退している。アメリカは一流国であるが、日本はこのまま二流国になるのならば、我々のいう提言に耳を傾けることはないというような意味の内容で始まる。衰退しているのはアンタの国だろ、他人の国より自分の国を心配しろと思わざるを得ない。

 日米同盟を強化して中国に対抗しようと言っている人々の特徴の一つは、アメリカは今でも、そして将来も世界最強のスーパーパワーの国であると思っているということだ。この、今の、そしてこれからのアメリカの支配力はどうなるのかという認識は、その人の国際社会観の基本である。この「アメリカをどう考えるか」は実際のところ、今のアメリカ国内の論壇でも絶えず議論されていることであり、「衰退していない」「衰退している」の双方の意見が乱立している。

 これまでも衰退論は数多くあったが、それらの多くは気分的なものだったと思う。数多くの人々がアメリカの時代の終わりを述べているが、その理由の大半が曖昧だった。なんかよくわからないがアメリカは衰退しているのではないか、あるいはアメリカのような超大国は衰退して欲しい、世界は数多くの国々が協力しあって管理していくべきなのだという願望や見方の偏りがあったと思う。

 しかし、今のは違う。今の変化ははっきりとしている。21世紀になり、中国の台頭により経済的にもアメリカのパワーは衰退していることが明らかになった。ITの発達による情報革命は経済を大きく変えたが、今やその変化が国際政治も変え始めている。中国も含めた世界の国々の人々は、生活の豊かさを求めている。

 今、アメリカの国としての力は衰退しつつある。その逆に大きなパワーを持っているのが大学や研究機関やグローバル企業だ。第二次世界大戦後のアメリカ、米ソ冷戦時代のアメリカは確かに世界をリードする超大国だった。超大国としてのゆとりと寛容さがあった。今のアメリカにはそうしたものがなく、イラク戦争で証明されたように、ただの単独主義を突き進んでいる。それが結果的に、アメリカの国としての力の衰退を招くことになった。国としてのアメリカは衰退しているため、ヨーロッパの国々と強調することができないのだ。べつにアメリカがホッブズ的世界にいるからではない。アーミテージはともかく、ジョセフ・ナイほどの優れた国際政治学者が、なぜこれがわからないのだろうかと不思議ではならない。

 アーミテージとナイの報告は、最後の方で日本への提言(Recommendations for Japan)がまとめられている。ざっと読んでみて、私のコメントを述べてみたい。

"Cautious resumption of nuclear power generation is the right and responsible step for Japan.Restarting nuclear reactors is the only way to meet Tokyo’s ambitious carbon dioxide emissions cuts of 25 percent by 2020. A restart is also sensible to help ensure that high energy costs coupled with a high-valued yen do not drive vital energy-dependent industries out of Japan. Taking on board lessons from Fukushima, Tokyo should resume a leadership role in promoting safe reactor designs and sound regulatory practices."

原発の再稼働は日本政府が望む2020年までCO2の排出を25パーセントカットすることができる唯一の方法で、原発をやめて電力コストが高くつくと日本企業は海外に移転するから原発を再稼働すべきだという。福島の原発事故で学び、日本は安全な原子炉を設計する指導的役割をすべきだとあるが、こうした出来事が起きた以上、日本はエネルギー政策をいったん白紙に戻して、根本から作り直すことを行うのが日本政府のやることだと思うがアーミテージとナイはそうは思わないようだ。

"Tokyo should continue active engagement in multinational efforts to combat piracy, protect Persian Gulf shipping, secure sea-lanes, and confront threats to regional peace, such as those posed by Iran’s nuclear program."

ペルシャ湾での海賊掃討やシーレーンの防衛、イランの核兵器製造による平和への脅威に日本も積極的に関わるべきというが、日本の自衛隊は、仮に将来、国防軍という名称になったとしても、本来そうしたことを行う組織ではない。

"In addition to entering TPP negotiations, Japan should examine more ambitious and comprehensive negotiations, such as the proposal for a CEESA, described in this report."

TPPだけではなくCEESAにも参加せよということか。TPPそれ自体についても、もっと検討が必要だろう。

"For the alliance to realize its full potential, Japan should confront the historical issues that continue to complicate relations with ROK. Tokyo should examine bilateral ties in a long-term strategic outlook and avoid issuing gratuitous political statements. To enhance trilateral defense cooperation, Tokyo and Seoul should work to conclude the pending GSOMIA and ACSA defense pacts and continue trilateral military engagements."

とにかくアメリカは日韓に良好な関係を持たせ、米日韓で中国に対抗したいらしい。まあ、韓国と仲良くせよというのは、大いにうなずけることだ、別に中国に対抗するためでなくても、円満な日韓関係は東アジアの安定のために有益だ。この点についてはアーミテージとナイに同意したい。むしろ、アメリカの介入なしに日韓が友好であるのがいい。ただし、双方の国民感情はそう簡単に仲良くなることはできないだろう。

"Tokyo should continue engagement in regional forums and with democratic partners, particularly India, Australia, the Philippines, and Taiwan."

ようするに、日本はインド、オーストリア、フィリピン、台湾といった民主主義の仲間と仲良くせよと言っている。中国は「democratic partners」ではないから仲間に外すということか。では「democratic partners」で仲間を分けるのではなく、東アジアでまとまれば、みんなまとまるではないかと思う。ただし、それだと今度はアメリカが仲間はずれになる。では、いっそのこと太平洋諸国とするか。

というか、全世界はグローバルにつながっているのであり、それを敵、味方に分けることがおかしい。 democratic partnersであるから仲良くしよう、 democratic partnersではないから敵である、という考え方自体がそもそも時代遅れなのである。今の時代、世界の各国は軍事紛争を避けるようになってきている。この流れは今後ますます大きくなり、やがて主流になるだろう。そうした時、今の「軍事力による力の均衡が平和をもたらす」などという考え方はまったく通じなくなるだろう。

"In a new roles and missions review, Japan should expand the scope of her responsibilities to clude the defense of Japan and defense with the United States in regional contingencies. The allies require more robust, shared, and interoperable ISR capabilities and operations that extend well beyond Japanese territory. It would be a responsible authorization on the part of Japan to allow U.S. forces and JSDF to respond in full cooperation throughout the security spectrum of peacetime, tension, crisis, and war."

ここでのポイントは「that extend well beyond Japanese territory」つまり、日本国の領土、領海を越えた外国で日本は新しい役割と使命なるものを果たせということだ。そのために米軍と自衛隊は十分な協力を行うという。いわゆる集団的自衛権である。自衛隊はアメリカ軍のいち下位機関として、アメリカの戦略に従って世界で活躍せよというわけか。

At the first rhetorical sign or indication of Iran’s intention to close the Strait of Hormuz, Japan should unilaterally send minesweepers to the region. Japan should also increase surveillance of the South China Sea in collaboration with the United States to ensure freedom of navigation.

ホルムズ海峡への掃海艇派遣、 アメリカと共同で航海の自由を守るために監視活動を行うべきであるというが、そもそも自衛隊はそうしたことを目的とした組織ではない。それらをやれというのならば、かなりの改変が必要になる。その費用は誰は支払ってくれるのだろうか。

Tokyo should enhance the legal abilities of the MOD to protect bilateral and national security secrets and confidential information.

防衛省の機密保持の法的権限を高め、日米の情報の漏洩を防げということか。それはまあ当然だな。

To enable fuller participation in PKO, Japan should extend the latitude of peacekeepers to include protecting civilians and other international peacekeepers, with force, if necessary.

とにかくアーミテージとナイは、自衛隊にPKOに出て欲しいようだ。しかしながら、今の日本は国の内外にやるべき問題が山積し、それらのことをやるゆとりもカネもない。

 以上、どれもこれもアメリカ(の米日韓で中国に対抗しようと言っている人々や軍産複合体)に都合がいいことだらけだ。

 しかしながら、だからアーミテージとナイは悪い、間違ったことを言っている、というわけではない。これが彼らの仕事なのである。彼らはアメリカ人として、日米同盟に関わるアメリカ側の当事者として当然のことをやっているだけだ。問題なのは、こうしたアメリカにとって都合がいいことを、さも日本にとって良いことかのように言う大手メディアなのである。

February 12, 2013

なぜ日米同盟の強化は必要ないのか

 今の時代で日米同盟の強化など必要はまったくない。なぜそうなのか。今の世の中、だれもかれもが日米同盟の強化が必要、日米共同で中国に対抗しなくてはならない等々、連日メディアで言われている。しかし、本当にそうなのだろうか。

 日米安保とはいかなるものなのであったかを考えてみたい。太平洋戦争は日本の無条件降伏で終わり、日本の軍備は解体された。やがて、アメリカの占領が終わり、日本が独立国家に戻る時に、時の吉田茂政権は日本は今後は軍隊を持つことはしないとした。米ソ冷戦が始まった時代である。日本の隣には日本海を隔てて、中国とソ連がいる。中国はともかくとして、ソ連がいつ日本に侵略してくるとも限らない(しかし、今考えるとソ連が日本を侵略してくるかもしれないというのもフィクションだったよな)。では、日本の防衛はどうするのか。

 そこで、吉田茂が考えたことは、日本に占領していたアメリカ軍が帰ることなく、そのまま日本の駐留し続け、もし外国が日本に侵略してきた場合はこれを防いでもらうということだ。アメリカ側も、日本に米軍基地を置き極東の軍事戦略の基地にできるのは有利である。ここに日米安全保障条約が生まれた。

 かくて戦後半世紀以上にわたって、日本は軍備に莫大な予算をかけることなく、アメリカの核の傘の下で平和に経済成長路線を走り続けて生きた。米ソ冷戦時代はこれでよかった。そして、20世紀最後の10年が始まる時にソ連が崩壊し、米ソ冷戦は終わった。冷戦が終わったということで、アメリカは過剰な軍備を持つことはやめ、世界は大国アメリカの一極集中ではなく、多極的な数多くの国々の共同管理になると思われた。

 ところが、そうはならなかった。

 アメリカの軍事産業は、国の防衛予算で利益を得ている。軍隊は規模が削減されることは、兵士や士官の職やポストがなくなるということだ。つまり、軍産複合体としては軍事水準が下がることや軍備縮小になっては困るのである。そこで、ソ連がなくなっても我々の敵は存在するとした。ソ連がいなくなっても、国際社会には平和を脅かす勢力が存在する、特に中近東の紛争地帯が危ない、テロリストもいる、それらに対処しなくてはならない、だから軍事は必要なのだという論理だ。

 実際のところ、ソ連がいなくなっても、それらの平和を脅かす勢力は存在しているので、これはそれなりの正当性はある。しかしながら、では、なにが平和を脅かす勢力なのか、その判断は誰がするのかということになった時、アメリカはアメリカ一国の判断でそれ判断するとした。危機において、アメリカは単独で行動する。国連とか国際憲章とかいうものに縛られることはない。カントの「永遠平和のために」や集団的国際主義は排除する。いみじくもロバート・ケーガンが言ったように「アメリカはヨーロッパの支援がなくても、世界の安全保障を維持する責任を負うことができる。」のだと。そして、アメリカの行動を支援するのが同盟国であるということになった。ここでアメリカの戦略は米ソ冷戦からポスト冷戦へ大きく変わったのである。

 この90年代初頭のソ連崩壊後の世界戦略の見直しによるアメリカの新しい戦略に基づき、日米安保も大きく変貌した。2005年10月に日米で調印された「日米同盟:未来のための変革と再編」はそうした新しい内容の日米安保になっている。アメリカは共産主義と戦うのではなく、全世界で起こる安全保証上の危機に対応する。そのために、日本もまた同盟国として「世界における課題に対処する上で重要な役割を果たす」ことが求められるようになった。日米安保は本来、日本防衛の話だったはずであるが、いつのまにか「世界における課題に対処する」ということになったのだ。

 この「世界における課題に対処する」とは一体なんであろうか。この「課題」とは誰が決めるのか。言うまでもなくアメリカである。日米同盟とは、基本的にアメリカの戦略の実行がイコール日米共通の目的になっている。つまり、アメリから与えられる「課題」を日本が対処していくということだ。

 しかしながら、アメリカから与えらる「課題」とは、上記で述べたようにアメリカ単独で判断した「課題」であり、ヨーロッパ諸国や国連の承認も踏まえた「課題」ではない。日本外交の基本は、法と国際協調を主とするものであったはずであるが、その日本外交とは相容れないアメリカの単独覇権主義に巻き込まれることになったのである。

 このように今の日米同盟そのもののあり方が、日本独自で安全保障を考えることができないようになっている。また安保本来の日本の国土防衛から大きく離れたものになっている。こうした状況の中で、日米同盟の強化が必要だとか言ってる者はこうした事実を知らない者かバカであろう。

 日米同盟の強化が必要なのは、冷戦時代の話だった。ポスト冷戦の時代である今、日本もまた日本独自の安全保障の戦略を考えるべきであったのだが、上で述べたように日米同盟そのもののあり方が、日本独自で安全保障を考えることができないようになっているので、そのままずるずるとあり続けている。今なお、日米同盟以外に日本の安全保障の進む道はないかのような状況になっているのだ。

 ところが、21世紀初頭になって、2つの新しい状況が出てきた。

 ひとつは中国の台頭である。中国の台頭の重要なことは、軍事的な脅威であるだけではなく、経済的にも巨大な脅威であるということだ。アメリカは中近東の紛争に対処すると共に、中国の巨大な軍事力に向き合わなければならなくなった。しかし、かと言って、かつての米ソ冷戦のような対応をとるわけにはいかない。中国は世界経済のひとつの要なのである。東アジアの経済大国として中国を扱わざる得ない。オバマ政権のケリー新国務長官が「中国との関係強化が重要だ」と述べているように、アメリカは中国とは軍事的な全面対立をすることはなく良好な米中関係を築いていきたいとしている。アメリカにおける中国の重視の度合いが高まるということは、日本の存在が小さくなるということだ。昨年2010年に、中国は日本を抜き世界第二位の経済大国になった。アメリカでの日本の地位はますます低下している。

 もうひとつは、アメリカの財政問題である。かつてロバート・ケーガンが言ったようなアメリカ一国が世界の警察になるかのような理想は結構であるが、それができるカネがない。これから国防総省は、オバマ政権での国防予算の大幅削減でアメリカ軍の海外派兵費の大幅削減が行われる。在日米軍も段階的に縮小されることになる。

 思えば、「日米同盟:未来のための変革と再編」の中で述べられている自衛隊の海外派遣による様々な平和活動や人道支援は冷戦終了直後の力があったアメリカと、世界第二位の経済大国であった日本ならばできることなのかもしれない。しかしながら、もうそうした時代ではなくなった。中国の大国化、日本の相対的位置の低下、アメリカの財政問題、日本の財政問題等々により「日米同盟:未来のための変革と再編」は自然消滅していくものと思われる。日本は日米同盟をなくす必要はないが、だからと言って強化する必要もない。強化しても意味がないのだ。そうしたこともわからずに、日米同盟の強化が必要だとか言ってる者は、アメリカの回し者かやはりバカなのであろう。

 この20年間の世界の状況を見ていて、軍事以外に抑止力になるものがあると私はますます確信するようになった。それは経済と通信・交通のボーダーレス化だ。経済のグローバル化と情報通信・交通技術の発展によるボーダーレス・ワールドの浸透こそ、軍事以上(以外ではなく、以上だ)の抑止力になる。中国に対抗するには軍事しかないという意識は捨て去るべきだ。そして、軍事による抑止力は国家にしかできないことであるが、経済の主役は企業であり、個人だ。企業や個人による日中のグローバルな活動こそが、日本の安全保障になるのである。役に立たない日米同盟の強化など必要ない。

February 11, 2013

幼稚な海軍、メンツの政府

 中国海軍のフリゲート艦による海自の護衛艦への射撃レーダー照射事件について。

 端的に言うと、この事件は中国海軍の幼稚な遊びなので、日本は中国政府に抗議してそれで終わりだ。幼稚な遊びにつきあうことはない。どうしてもひとこと言いたいのならば、「中国海軍は幼稚である」と言えばいい。それで終わりだ。

 日本の防衛相は「国連憲章上、武力威嚇にあたるのではないか」と述べたそうであるが、そんなたいそうなものではなく、法律以前の国際的な軍事常識を知らないバカがやったことだと思っていればいい。

 この出来事について日本側が騒ぎを大きくしても、中国側は政府が軍隊をしっかり管理できていないことになるので、中国政府のメンツとしては、日本がなに言ってこようと知らぬ存ぜぬでつっぱねるであろう。

 だから、日本側は中国側の「事実と異なる」という発言に対しても、まともに対応する必要はない。日本は確かな証拠を出して、国連に開示し、広く国際社会に発信すべきだという声もあるようであるが、これは海自の情報収集能力を世間にさらすようなものでいかがなものかと思う。

 ようするに、中国側はメンツ上、やりましたとは言えない事情があり、日本側は証拠を出せと言われて、はいこれですと出せるようなものではない、ということだ。

 ただし、事実は事実として存在している。その事実とは、中国海軍のフリゲート艦が海自の護衛艦に射撃レーダーを照射したということであり、つまりは「中国海軍は幼稚なのだ」ということだ。

 どうも中国海軍は、この種の挑発アソビを日本に対してだけではなく、アメリカや韓国の軍用艦に対しても結構やっているようだ。その都度、アメリカも韓国も中国に抗議をしているようだ。中国はこれまでまともな近代海軍を持つことがなく、カネがふんだんにある最近になって最新鋭の軍艦を持つことができるようになったので、アメリカや韓国や日本を相手に遊んでみたくてしかたがないのであろう。ようするに、その程度の海軍なのである。国際常識のイロハのイも知らない連中だと思ってよい。

 「日本の出方を見るためにわざと仕掛けたのではないか」という声もあるようであるが、相手の出方を見るために、こんな危険なことはやらない。現場の指揮官に、もしそうした意図があってやったのならば、むしろ、3キロ接近して射撃レーダーを作動させたのならば、反撃されて撃沈されても当然ということなる。国際社会は日本が正しく、中国は愚かしいと判断するであろう。

 何度も言うが、その程度の海軍なのである。

 日本は中国政府に対して、法律に基づいて厳重注意を行い、さらに言いたいのならば「おたくの海軍は幼稚ですね」と一言いってそれで終わりだ。これ以上、騒ぐ必要はない。

February 10, 2013

ヘリテージ財団のクリングナー報告について

 前回書いた「ワシントンDCではタワゴトとしかいいようがない扱いになっている」ということについて、もう少し考えてみたい。

 アメリカは、大きな枠組みで云えば増大する中国の巨大な軍事力に対抗すると同時に、またその巨大な経済力と結びつき共存共栄をしていこうとしている。その一方で、アメリカは中国に対抗するにあたって、第二次世界大戦の敗戦国であり、その後アメリカの同盟国として東アジアの対共産主義の前線基地でもあった日本を有効活用しない手はないとしている。つまり、アメリカにとって日本は、ミクロレベルでは今では衰退しつつあるアジアの小国であるが、マクロ的にはアメリカのアジア戦略にとって今でも重要な意味を持つ同盟国である。

 例えば、ヘリテージ財団 (Heritage Foundation)のクリングナー報告と呼ばれるものがある。ヘリテージ財団というのは、石原慎太郎前東京都知事が「尖閣諸島を都が買います、文句ありますか」と発表スピーチを行ったワシントンDCにある保守系のシンクタンクである。

 このクリングナー報告「U.S. Should Use Japanese Political Change to Advance the Alliance」(アメリカは日本の政治的な変化を利用して同盟を強化すべきである)が今の日本について最も注目していることは、日本人の政治意識の変化だ。どのような変化なのかというと、中国の台頭が日本人にナショナリスティックな感情を持たせ、それが日本人自身の手による憲法の改正と、より強力な軍事力を持つこともためらわなくなってきたという変化であるという。日本人は強力な政治リーダーを求めるようになった。そして、この変化は日本がかつての大日本帝国のような周辺諸国を圧倒しアメリカに対抗する軍事大国になるわけではなく、アメリカ寄りの現在の関係は変わることがないとしている。この流れの上に、今回の自民党の圧勝と安倍政権の誕生があるという。

 クリングナー報告は云う、

"Making clear that Japan cannot continue to rely solely on others to defend its overseas interests. Tokyo should accept greater international security responsibilities commensurate with its status as a major nation. Japan could, for example, enhance efforts to defend sea lines of communication."

「日本はもはや他国に依存するだけで海外での国益を守り続けることはできないということをはっきりさせよう。日本政府は、大国としての地位に見合った国際的な安全保障上の責任を受け入れるべきだ。例えば、日本はシーレーンの防衛の努力を高めることができる。」

"Urging Tokyo to increase defense spending to fully meet national and allied security requirements. "

「日本政府に対して、自国の防衛と同盟国の安全保障を十分に果たすことができる防衛支出を増大させるよう求めよう。」

"The next step would be a greater willingness by Japan to assume greater responsibility for its own defense as well as addressing international security concerns. The United States should encourage this new trend, as it is consistent with America’s own national security objectives."

「次のステップは、日本が自国の防衛に対する大きな責任を負う強い意思を持ち、国際的な安全保障の脅威に対処することだ。アメリカは、アメリカの国家安全保障上にも沿う、この新しい流れを促すべきである。」

 興味深いのは、このクリングナー報告は安倍晋三を高く評価しておきながら、韓国との不和を招くような歴史修正主義的な言動は慎むようにとしていることだ。安部政権は「河野談話」の見直しをしようとしているそうであるが、アメリカはこれをやらないようにして欲しいとしている。つまり、日韓関係がもめるのは困るということだ。クリングナー報告が主張したいことは、米日韓の三国による軍事同盟によって中国に対抗しようということだからである。そのためには日本と韓国が不仲になってしまっては困るのである。

"greater South Korean-Japanese military and diplomatic cooperation. For example, implementing the bilateral GSOMIA intelligence-sharing agreement would enhance allied deterrence and defense capabilities against common threats."

「より強固な韓国と日本の軍事と外交の協力を促進する。例えば、日本と韓国との軍事情報に関する包括的保全協定(GSOMIAのような情報共有協定は、同盟関係を深め、日韓共通の脅威に対応する防衛能力を強化する。」

 すなわち、クリングナー報告の主張していることは、現在の日本のナショナリズムの高まりに乗じて、アメリカは日本に自国の防衛と東アジアの安全保障に十分に対処できる軍事力を持つことを促すべきであり、日米同盟のさらなる強化と日米韓の三国で中国に対抗する方向へ進ませるべきである、ということだ。

 この報告を一読して思うのは、日本が憲法を改正し、強力な軍隊を持ったとしても、それは中国に対してであり自分たち(アメリカ)には逆らうことは決してないという見方や、韓国ともめ事になることは避けるべきだということなど、日本人のナショナリズムを、ずいぶん自分勝手というか自分たちに都合がいいように解釈している。例えば、日韓秘密情報保護協定は昨年、日本と韓国の間で結ばれる予定であったが、今現在、結ばれていない。韓国のナショナリズムは日本とそう簡単に手を結ぶことを拒んだのである。日本も韓国もアメリカの思い通りにはならない。

 CIAは自国に有利になるように外国で様々は工作を行ってきたし、今も行っているが、現実はアメリカに都合がいいようにはならなかったという事例は数多くある。クリングナー氏はもともとCIAの韓国支局長だったそうであるが、韓国の国民感情についてよくわかっていないようだ。日本についての考察も、よく調べてはいるが、いかにもCIA的な分析だと言えよう。

February 03, 2013

いわゆる「安倍ドクトリン」について

 先月、安部総理は東南アジア諸国を歴訪し、今後の安部政権における東南アジア外交について18日にジャカルタでスピーチを行う予定であったが、アルジェリアでの邦人拘束事件の対応のため、予定を早めて帰国することなったことにより行われなかった。本来は、このスピーチにて、安部総理は東南アジア諸国及び世界に安部政権の外交方針を述べるはずであった。

 このスピーチ「開かれた、海の恵み ―日本外交の新たな5原則―」の全文は、外務省のサイトで見ることができる。一読して気がつくのは、多くの人々が言っているように日米同盟の強調である。私はここで日米同盟の話を出す意味がわからない。「世界最大の海洋勢力であり、経済大国である米国と」ウンヌンカンヌン言う必要があるのか。

 ちなみに、平成19年の安倍総理の同じインドネシアでの政策スピーチでは「アメリカ」は一言も出てこない。なにゆえ、わざわざアメリカを持ち出す必要性があったのだろうか。この3年間の民主党政権で日米関係がぎくしゃくしたので、今回、政権は自民党に再び戻り、日米関係の安定と強化に努めますというアメリカ向けのアピールであったのだろうか。であるのならば、アメリカ向けのメッセージを東南アジア諸国に向かって言ってもらいたくはないものである。

 安部総理がアメリカとの関係を重要としているのは、東南アジアにおける日本の位置としては正しい。19世紀から20世紀前半は、シンガポールがイギリスのバックのもとで東南アジアに影響力を広げていったのに対し、20世紀後半は日本がその経済力とアメリカの覇権をバックにして東南アジアに影響力を及ぼしていった。その路線の延長線上として、安部総理のスピーチがある。今が20世紀ならば、これは正しい。

 しかしながら、今は21世紀であるということに、日米同盟ウンヌンカンヌンのおかしさがある。安部総理にとっては不幸なことに、今の東南アジア諸国に日本・アメリカと並んで影響力を及ぼしているのが言うまでもなく中国である。ASEANにおいて中国の存在は急速に増大している。大中華圏とも呼ぶべきものがここある。これからの世界の覇権は米中が握っている。言ってみれば安部総理は大中華圏の真っただ中で、アメリカの代理人として発言をしているという構図になっている。

 この構図は大変おもしろい。このスピーチを聴く東南アジア諸国は、心の中で、この先、アメリカについていくべきなのか、中国についていくべきなのかと思ったことだろう。この迷いこそ、今のアジア諸国の指導者の誰もが抱える悩みであり、悩みながら、米中双方との外交バランスを巧みとっているのが今のASEANである。この迷いがないのが日本だ。日本はなにがあっても対米従属をやめるつもりはないないようだ。

 基本的に、日米安保で中国に対応するという考え方自体が間違っている。日中間の紛争にアメリカは介入しない。米中は対立していない。これからの時代は、米中の2国が覇権国になる。日本は日米同盟の強化というオプションしかないため、勃興してくる中国に対して正面から対抗するという選択しかない。しかしながら、とうのアメリカには中国に対抗する意思はなく、中国と共に共存共栄していこうとしている。アメリカには日米が協力して中国に対抗しようという意思はない。また、日米で紛争が起きた場合、日本に荷担しようとする意思もない。

 アメリカで東アジアにおいて最も重要な国は中国である。リチャード・アーミテージ、マイケル・グリーン、ジョセフ・ナイなどといった、いわゆる親日派がさかんに日米が共同で中国に対抗しようと日本に吹聴しているが、ワシントンDCではタワゴトとしかいいようがない扱いになっている。

 何度も申していることであるが、いまの時代、日米同盟の強化が必要だとか言っている人はバカであると言ってよい。対米従属を固辞していれば中国に対応できると思っているのは、オメデタイとしか言いようがない。

 アメリカのアジア戦略は当然のことであるが時代の変化、状況の変化に対応し変わっていく。中国の大国化にどのように対応すべきなのか、アメリカは真剣さと危機意識をもってとりくんでいる。そうした真剣さや危機意識がないのが日本で日米同盟の強化が必要だとか言っている人々だ。こうした人たちは、国際社会について知っているかのようなふりをして、実は知らない。知らないから、バカのひとつ憶えのように、日米同盟の強化が必要だとか言っているのだろう。そうとしか思えない。

 中国の大国化とアメリカのアジア戦略の変更により、日米安保は大きく変わらざる得ない時がくるだろう。その時、日本はどのように中国に対峙したらよいのか。それを考えなくてはならない。

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