日本も韓国も同じく同等な同盟国である
3日の毎日新聞によれば、アメリカのパネッタ国防長官は、シンガポールの講演で、アメリカは2020年までに全世界の米海軍艦船の6割をアジア太平洋に振り向ける方針を表示したという。「米国:同盟国と連携強化 中国の覇権拡大警戒」
これは言うまでもなく、中国に対抗するためのオバマ政権の「アジアシフト」である。削減する国防費の下で、膨張する中国の軍事力に対抗するためにはどうしたらよいのか。ここで考えられたのが、ローテーション方針である。アジアに恒久的な米軍基地を持つのではなく、各地の基地を米軍部隊が巡回していくということだ。
オバマ大統領はこれにより「恒久的な米軍基地建設で我々の力を地域に押し付ける冷戦時代の戦略から離れようとしているのだ。」と述べている。この方針に従い、すでにオーストリアやフィリピンでは、具体的な話しが進んでいるとのことだ。やがては、日本、韓国もこの方向で進んでいくだろう。
アメリカは、中国に対抗するために、同盟国との連携をより強化にしようとしている。しかしながら、ここで間違えてはならないことは、これは、だから日米関係をもっと深めなくてならない、それはアメリカも求めている、ということではないということだ。アメリカがアジア各国との同盟強化を求めているということは、日本はそのアジア各国の同盟国たちのひとつになるということだ。当たり前ではないかと思うかもしれないが、ここが重要なポイントなので強調したい。
かつてアメリカにとって、第二次世界大戦以後、東アジアで日本だけが唯一の信頼がおける国だった。信頼がおける国だったというか、アメリカが日本を信頼できる国にしようとしたのであり、日本側もそれを自ら求めてきた。自ら求めてきたということに、ムカっ腹が立つ方々もおられるかもしれないが、戦後の日本にとって、それは不可避の選択だった。そのことをとやかく言っても始まらない。
しかし、これからは違う。アメリカにとって意味のある国は、日本だけではない。韓国もオーストリアもシンガポールもフィリピンも、その他等々、みんな意味のある同盟国である。先日も石原東京都知事がアメリカで「アメリカと日本は対等な関係にせよ」と述べていたが、その意味ではアメリカにとって日本は、韓国やフィリピンやオーストリアと同じく対等な国にもうすでになっている。
そして、これは、アメリカにおける政治的、軍事的な、日本の相対的位置が低下し、韓国、フィリピン、シンガポール、オーストリアなどが大きく上がったということなのである。だから、沖縄の米軍基地は縮小する。米軍部隊は東アジア全体でローテーションし、アジア各国の同盟国と共にアメリカは中国に対抗する。これがアメリカのアジアシフトだ。
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