ニューズウィーク日本版「普天間と日本」
今週号のニューズウィーク日本版(2012年4月 4日号)の特集「普天間と日本 海兵隊をめぐる勘違い」は大変興味深かった。日本の親米ポチの皆さんは、東アジアの安定のためには在日米軍は必要だ、沖縄の海兵隊は必要だの一点張りで、アメリカ従属意識丸出しで、日本から在日米軍が撤退するなど考えられないかのように述べている。
しかしながら、事実はそうではない。
実際のところ、かなり前から日本の在日米軍というか、海外の駐在米軍の規模を縮小させようという意見は、アメリカ国内で言われ始めていた。そうした意見が、今やニューズウィーク誌でも取り上げられるようになってきたということは、無視できない広がりを持ち始めたということだ。
アメリカには、沖縄の在日米軍の規模を縮小させたいと考えている軍事専門家や外交評論家が数多くいる。このことを、日本の親米ポチのみなさんは知らないのか、あえて無視をしているのである。
在日米軍の規模を縮小する、その最大の理由は、財政問題である。アメリカは、世界の各地に軍隊を配備させることができるカネがなくなってきた。オバマ政権下でも、アメリカ議会は国防費を大幅に削減した。
もうひとつの理由は、世界情勢の変化である。冷戦が終焉し、グローバル化が浸透し、人類はかつてのような大規模の世界戦争をしないようになってきた。その一方で、中近東や北朝鮮などいった紛争危険地域は数多くある。そして、東アジアの覇権国になろうとする中国とロシアは軍事力を増強している。アメリカは、アメリカ一国でアジア太平洋地域の覇権国になるのではなく、同盟国との共同によってアメリカ覇権を維持していく必要がある。
さらにもうひとつの理由は、テクノロジーの進歩と、それに伴う軍隊組織の変化だ。今の軍隊は、ただ戦場で戦っていればいいわけではない。情報収集、分析、通信、エンジニアリング、医療、人事、教育など軍隊で行うべき仕事は山のようにある。
沖縄の在日米軍は、海兵隊などの戦闘部隊の規模を縮小させ、司令部部隊と後方支援部隊を拡充させるべきだ。そして、沖縄に在日米軍に置けば日米同盟はそれで万事オーケーのような話はもうやめるべきだ。
もはや、沖縄に大規模な海兵隊の部隊が必要だとか、日米同盟をさらに強固なものとし、在日米軍の現状規模の維持とさらなる拡張をとか言っているヤツは、在日米軍の基地利権目当ての政治家と官僚とただのバカであると言ってもいいだろう。
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