『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』
最近、ロバート・ライシュの『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』(The Work of Nations: Preparing Ourselves for 21st Century Capitalism )をまた読み直そうと思っている。
今の時代は、ネットからニュースや情報、映像、文章等が容易に手に入る。情報の整理、表現、プレゼン、コラボレーション等はITの知識と技術があれば簡単にできる。ここで必要なのは、創造的に自分の意見や考えをアウトプットする能力である。つまり、それはシンボリック・アナリストの時代なのだと思う。
1991年にライシュは『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』を出した。それから20年たった今、ライシュの予測した未来の通りになった。世の中は格差社会になり、中間層が消えてしまうということや、シンボリック・アナリストが社会の富を作るということは、見事に的中している。国の役割は大企業を育てることではなく、国際的に競争力のある個人の育成を行うことであるということなど、21世紀になって10年以上が過ぎた今、まさにその通りだったと思う。よくぞまあ20年前に、こうした本が書けたものだ。唯一予測できなかったのはIT技術の進歩だろう。
これほど世界がネットでつながり、iPhoneやiPadで簡単に情報の収集、整理、編集、発信ができるようになるとは書いていなかった。IT技術の進歩が、ライシュの予測通りに世の中がなることを決定づけたと言ってもいい。IT技術によって、シンボリック・アナリストの仕事がやりやすく簡単になり、なによりも楽しいものになったということが一番大きな出来事であろう。
その昔、私はこの本を翻訳で読んだが、シンボリック・アナリストというワードに違和感を感じて理解できなかった。はっきり言って好きになれなかった。あれから10年以上の年月がたって、気がつくと自分はシンボリック・アナリストの職業であることに気がついた。そうかライシュの言っていることは正しかったのだと気がついた。
というわけで、今度は英語で読んでみたいので、Kindleで"The Work of Nations"を読み始めている。
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