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October 03, 2010

映画『十月囲城』を観た

 映画『十月囲城』を観た。例によって、ドニー・イェンが出ているからということで、これは見なくてはと、香港のサイトからDVDを買って、中国語で観た。この映画も、見る前はなにも知らなかったけれども、見終わったあとで、かなり深く考える映画だった。

 まず、この映画の舞台である1900年代初頭の香港の町並みのセットがすばらしい。この映画のために、実際のスケールのストリートを作ったのだという。この光景と人々の姿が、ものすごくいい。

 この映画の冒頭は、孫文の同士で香港興中会を結成した楊衢雲の暗殺のシーンから始まる。このシーンがまたいい。楊教授は、若い学生たちにリンカーンの言葉を引用し、民主主義を語る。学生の中の一人の女子学生が「この国は、いつか民主主義の国になるのでしょうか」と問うと、楊教授は悲しそうな、遠いところを見つめるような目をして、しばらく考え込み、そして「自分には分からない、自分の生きている時代にはそれを見ることはできないだろう」と語る。そして、学生たちの前で、楊教授は、銃声とともに頭を打ち抜かれて倒れる。このシーンは考えさせる。この時代の香港では、民主主義国家中国を考える人々がいた。しかし、それもまた清朝によって潰されていく。このへんが、今の共産党中国のもとでの民主化運動の姿を垣間見せる。

 1905年10月、中国全土の各省の代表と革命計画について話し合うために、孫文が当時亡命していた東京から香港にやって来る。北京の清朝は、孫文の暗殺命令を閻孝國将軍(これを胡軍が演じている)に命じる。これに対して、香港興中会の陳少白と孫文を支援する商人の李玉堂が、孫文が香港に滞在する、わずか数時間の間、暗殺者たちから孫文を守ろうとするのが、この映画の物語だ。

 この映画は、孫文側が「正義」で暗殺者側が「悪」であるような単純な二元図ではなく、むしろ、これだけの犠牲を強いた孫文に、その是非を問いかけているようなラストだった。このへん、制作の陳可辛の以前の作品の『投名状』と同じく「問いかけるラスト」がいい。とにかく、この映画は人が次々と、淡々と、死んでいく。これらの犠牲の上に立つ革命とは、何であろうか。そして、この後、中国現代史は、さらに数多くの人々が死んでいく。100年もの歳月をかしても、中国は今なお民主国家になっていない。孫文が言ったように「革命いまだ成らず」である。

 こうした重い内容を、豪華キャストでエンターティメントもありの大作映画として作る今の中国映画はさすがだ。

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