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August 15, 2009

8月15日

 今年もまた8月15日になった。

 大日本帝国が降伏文書に調印したのは9月2日である。第二次世界大戦の勝利側である連合国では、9月2日が対日戦勝記念日になっている。つまり、国際的に言えば、今日はなんでもない普通の日なのであるが、8月15日は天皇が国民に敗戦を告げた玉音放送があった。このため、我が国の慣例というか、日本人の心情的に言えば8月15日が「終戦の日」になる。

 もうひとつ本日が「特別な日」である国がある。韓国である。韓国では、今日は「光復節」になる。

 64年前の8月15日、昭和天皇が連合国への無条件降伏をラジオで宣言すると、朝鮮では、日本による植民地支配が終わりを告げたとされ、各地で民族解放の喜びに沸き立った。このへん、細かく言うと、この日は「各地で民族解放の喜びに沸き立った」ことがあっただけで、正式に日本国の植民地支配が終了したのは、やはり降伏文書に調印した9月2日になる。しかしながら、これもまた韓国の慣例というか、韓国の人々の心情的に言えば8月15日が「民族解放の日」になるのであった。

 しかしながら、「民族解放の日」といっても、日本とアメリカとの戦争で、日本が無条件降伏になったわけで、つまりは、自分たちの手で憎っくき日帝の植民統治を終わらせたわけではなかった。このことが、これから後の長きわたって韓国でのイルボン感情をさらに複雑で屈折したものにさせることになった。なんかこー、イルボンに対してすっきりとしたものがないのである。

 イルボンの側もまた、戦後半世紀以上、自分たちが行ってきた日韓併合とはなんであったのかということを明確にして、それを韓国の人々に伝えるということを行うゆとりもヒマも、さらにはその意志すらもなく今日に至る。いわば、この64年間の中で、「8月15日」という日が隣国の間で、その双方でまったく逆の意味を示し、その双方は歴史的に深く関わり、しかも、その双方でお互いにお互いをまったく無視しているということが続いてきた。

 韓国の中央日報は、今日の社説「先に心を開いて真の韓日同伴時代へ」にこう書いている。

「先に手をさし出すからと過去を忘れようという話ではない。過去の過ちを繰り返さないためには過去をより正確で客観的に究明し、後世に正しく教える努力はむしろ強化しなければならない。ただ過去と関連する問題が起こる度に熱くなるのはもうやめにしようという話だ。私たちが先に成熟した態度を見せるにもかかわらず、日本が過去のように我々の傷に塩を塗る小児病的行動を続けることができるか。 」

「世界でいちばん平和に繁栄された北東アジアを子孫に譲ることは韓日中の3カ国の現世代共同の夢ではなければならない。北東アジアに覇権主義が復活したとき、いちばん被害を受けるのが韓半島なのは歴史が証明している。64年間、我々が遂げた誇らしい歴史に対する自負心をもとに私たちから心の扉を開こう。米国との同盟関係を大切にしながらも中国、日本とうまくいけば我々の役割空間は大きくなる。日本の戦後体制が大きな変化の兆しを見せている今こそ、我々が広い心で先に和解の手を差し伸べられる良い機会ではないか。」

 かたや日本側の新聞の社説には、読売にも、朝日にも、日経にも、「8月15日」に隣国を考えることはないようである。だから、どうこうというわけではないが、特に産経の中国を出してナショナリズムを煽り立てるやり方は毎度のことだ。日本のメディアに出てくるアジアは中国脅威論と韓流ドラマの話ばかりで、中国から学ぼうとか韓国から学ぼうとかいう話はまず出てこない。少なくとも8月15日に、先の戦争の敗因と、これからの時代の安全保障を考えるのならば、「日中韓」の間で友好的な関係を結ぶことに目を向けることが必要だと思うのだが。

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