エヴァンゲリオン 新劇場版 『破』
『序』は劇場では見ずにDVDで見た。テレビ版をうまくまとめているという感じであった。というわけで、『破』を見てきた。『破』を見る前は、新作エヴァは、旧エヴァの延長線上にあるような、同じようなものなんだろうと思っていた。
ところが、である。『破』で、新作エヴァは新作としての姿になる。『破』は、旧エヴァのコンセプトをある程度は残しつつ、新しいエヴァになっていた。
シンジ君は、相変わらず悩める少年君なのであるが、結構、男っぽくなっているのである。レイの有名なセリフに「私が死んでも、代わりがいるもの」というものがあるが、これに対して新作エヴァのシンジ君は「代わりなんていない!」と叫ぶ。「来い!!」とシンジ君が言うのである。あのシンジ君が、である。うーん、これは少年の成長物語であったのか。シンジ君が、自立した意志をもった少年になっているのである。熱血ヒーローになっているのだ。
第10使徒との戦いのシーンは、力みすぎ。ものすごく強力なパワーを持った敵と戦う時は、こちらも力で対抗するのではなく、相手の力を受け流す柔軟な格闘をするべきなのであるが、そーゆークロウトっぽいことを思うことすらなく、シンジ君はとにかくレイを救うために、真っ正面から力みまくりで突っ込んでいく。今度のシンジ君は凛々しい。新作エヴァのテーマは、「雄々しく生きろ!!」か。
レイの性格も明るく変わっている。というか、全体的に救いようがない個の暗い閉塞感がある旧エヴァに対して、『破』では、人は人と関わり、そこから生まれる意志が未来を作るというスピリットがある。それだけ、今の時代の方が閉塞しているのだろうと思う。旧エヴァの最後で語られる人の希望をベースに、もう一度、新しいエヴァの物語を綴っていくのが新作エヴァなのかもしれない。そう考えると、楽しくなってくる。旧エヴァはシリアスな結末なので、今度は明るい話になって欲しいと思う。
上映時間108分であるが、その長さを感じることなく、とにかくずーと見入っていた。上映が終わって、館内が明るくなって、上映前はポップコーンとか持ち込んでいた人が多かったのだが、上映中はみんな見入っていたようで、ものを食べる音がしなかったことに気がついた。とにかく、内容が濃厚だった。やっぱり、エヴァはいいわぁ。
自宅へ帰り、iTunesで宇多田ヒカルの「Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-」をiPodにゲット。『序』の時の曲も良かったが、今回の曲もいい。
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