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October 2006

October 11, 2006

北朝鮮の核実験について

 北朝鮮の核実験について。どのような実験であったのか、その内容の全貌をネットで公開すべきだと思う。もちろん、当事国の北朝鮮がそうしたことをするわけはない。世界の各国が調査して、その結果を公開すべきである。

 どうやら、爆発威力の少なさから見て、実験は失敗したと考えられるようだ。以前のミサイル実験の時にも書いたが、少なくとも軍用兵器としての実験を行うのならば、せめてこれぐらいの技術レベルに達していなくては話にならないという基準がある。そして、北朝鮮の技術レベルは、そこまで達しているとはとても思えないのである。

 学者の実験みたいな実験で、核兵器の実験をしたと言われても困る。北朝鮮がいくら「成功した」と行っても、国際社会がそれを認めなくては核保有をしたことにならない。核弾頭搭載のミサイルを戦争の兵器として使用するには、それ相応の技術力が必要であり、それを支える産業、教育などといったものがなくては成り立たない。

 本来ならば、こうした脅威でもなんでもない国は、ほおっておいてそのうち自滅するのを待っていた方がいいのであるが、学者の実験みたいな実験で、おまけに失敗したとしても、核実験をやった、成功したと世界に向かって堂々と言っているのだから、国連としても何もしないわけにはいかないであろう。これはもう徹底的に経済封鎖をするしかないと思う。経済封鎖は、中国、ロシア、韓国も行わなくては意味がない。それらの国(特に常任理事国の中国、ロシア)も北朝鮮制裁案に同意する方向のようだ。しかし、実質的にどの程度の経済封鎖を中国、ロシア、韓国が行うか。この3国が、いつ北朝鮮を見限るか。それで北朝鮮の運命は決まるだろう。

 しかし、今後、もし北朝鮮が自滅すると、日本政府は、北朝鮮に対抗するために軍事力を増強するとか、北朝鮮問題があるのだからアメリカを支持しようといういいわけができなくなる。それはどうなるのであろうかと思うが、それは別の話なんだろうなと思う。金正日政権が崩壊すると、日本にどのようなことが起こるのか。具体的にそのシュミレートをして、それに備える準備を始めるべきた。

October 02, 2006

『太陽の黙示録』を読んでいます

 今、読むべきマンガにはなにかというと、それは、かわぐちかいじの『太陽の黙示録』であろう。国が分断された時、日本人はどうなるのか。国外に難民として住む日本人はどうなるのか。人はどうあるべきなのか。これを読みながら、このシーンで自分だったらどうするかなあと考えながら読んでいるが、これはめちゃおもしろいではないですか。

 『沈黙の艦隊』について、まとまったものを書こう書こうと思って(そうとうの年月がたつ)きたが、ここはやはり『太陽の黙示録』についてなにか書かねばならないな。(いつになるのか、わからんけど)

October 01, 2006

中近東の未来

 以下は、マレーシアのASEANさんのブログ「亜瀬庵・内見聞・徒然草」の9月30日のエントリー「Mutual understanding is a castle in the air!?」についての私のコメントです。長くなるので、私のブログでエントリーにしました。

ASEANさん、

 まず、マイク・ロスのブログで私がコメントした内容については、あれは「米国国内に限った話としてはテロの脅威は軽減したとは思いますが、それはアフガンやイラクの中にそうした脅威を”押し込めた”に過ぎないと思います。」というASEANさんのご意見に対して、米国国内のテロの脅威は軽減したかもしれませんが、アメリカ市民の自由は失われている。ブッシュ政権のテロ対策はおかしい。合衆国憲法違反である。これは、アメリカ市民にとってもハッピーな状況ではない、アメリカの国内だって困っているのですとコメントしたまでのことです。

 これはASEANさんが言われる通り、アメリカ国内のことです。しかしながら、今のアメリカのタカ派的外交は、ブッシュ政権における民主主義への考え方、市民社会への考え方、社会的正義の考え方が基盤になっています。ASEANさんが問題にしているのは米国の外交政策であって、国内政策ではないとのことですが、一国の中で内政と外交は連動しています。外交を考えるためには、内政で何が行われているのかを考える視点も持つ必要があります。これは、民主党政権であったとしても同じです。

 ここまで書いて、以下のASEANさんの記述に気がつきました。

>> 苺さんのブログでも頻繁に使用される言葉に「テロと戦っている」というのがありますが・・・それは米国の外での話であって米国内で戦っている訳ではありません(予防行動のことではなく具体的な戦闘行動という意味です)。
他の主権国家の中で戦っている・・・ですから、イラクやアフガンニに押し込めている。。。というのは間違ってはいないはずです(こうしたこと自体が出来るのは米国しかないのですから・・・)<<

 これは、苺さんは米国在住の方ですから「テロと戦っている」というのは、アメリカ国内と国外双方のことを意味します。つまり、国内のテロ対策プラス国外での軍事行動のことです。保守派はそれらを総称して「テロとの戦い」と表現します。この言葉をもって、ブッシュ政権は国内の憲法違反と国外の国際法違反や他の主権国家の侵害などを行っているのです。テロリストをイラクやアフガンに押し込めているわけではありません。押し込められるものでもありません。テロリストは世界にネットワークがあります。9.11以後もインドネシアやインドやロンドンでテロは起きました。ですから、この「押し込めている」という表現がよくわからないのですが。

 それでは、ASEANさんがエントリーの中で挙げられていることについて、私なりの意見を述べたいと思います。ちなみに、私の意見はイコール米国民主党の見解ではありません。あくまでも私の意見です。しかし、私の意見はアメリカのリベラリズムであるということに否定はしません。

>> だとするなら、どうして現在のイラクは、シーア派、スンニ派、クルド人という統一したイラク人ではなく、分断した状況に陥って権力争いの常であるテロの応酬状態になり、治安維持の為の増員を考えなくてはならない事態になっているのでしょう?<<

 イラクは、国民国家ではないからです。日本も江戸時代までは幕藩体制でしたが、明治維新によって国民国家に自らなりました。これについては、以前私がブログに書いた以下のエントリーをご参照ください。

「一番悪いのはイラクである」July 20, 2004
http://night-news.moe-nifty.com/blog/2004/07/post_8.html

 上のエントリーで私が言いたいことは、排外主義的ナショナリズムと民族的自尊心とは違うということです。イラクの人々が自分たちの部族や宗派のことだけではなく、広く世界の視野をもって、世界の中のイラクという視点を持つことが必要なのだということをイラクの人々自身が理解しなくては、今のイラクの内戦はなくなりませんし、イラクの未来はないです。

 ご承知のように、アフガニスタンはアメリカの傀儡のカルザイの政権になりました。これはかつての南ベトナムのゴ・ディン・ジエム政権やフィリピンのマルコス政権のようなものです。ASEANさんが挙げておられるアメリカ外交の矛盾は正しいです。アメリカは、フセイン政権やタリバン崩壊後のことなど考えもせず、独裁政権が消滅すれば自然と民主主義国家ができるだろう程度の認識しかありませんでした。ブッシュ大統領がよく例に出した戦後のドイツと日本の復興は、ドイツも日本も国民国家だからこそ可能でした。しかしながら、イラクもアフガニスタンも国民国家ではありません。

 それでもなお、なぜアメリカは、アフガニスタンやイラクに軍事行動を行い、中近東に民主主義国家をうち立てるという理念を掲げたのかというと、それがアメリカン・イデオロギーであるとしか答えようがありません。アメリカは革命から生まれた国です。革命時代の思想を今なお持ち続け、それを世界に普及させること(悪く言えば「押しつけること」)がアメリカ合衆国のmissionであると考えるのがアメリカン・イデオロギーです。(ただし、保守本流やリバータリアンはこうは考えません。彼らはモンロー主義であり、他国に介入することなどやめるべきだと考えます。)

 よって、ASEANさんの言われる、アメリカは国内事情だけの話で、他の主権国家に対して武力介入したのではないかというのは正しい見方です。より細かく言うと、国内のイデオロギーで世界に向かって武力介入をしていくのです。革命のイデオロギーとはそうしたものなのです。革命国家のイデオロギーとは、人類普遍の考え方であるとしていますから、他の国には通用しないとは思わないのです。これはソ連を見てもわかります。アメリカもまた革命国家の国ですから同じです。アメリカは、このmissionをもって、1898年の米西戦争以後、世界に介入してきました。そして、今現在、イラクへ介入しているわけです。

 その意味で、イラク戦争はベトナム戦争に続く、アメリカにとって本格的なイデオロギー戦争なのです(実際のところは、石油利権とかイラクの国土復興作業の受注利益とかありますが、それらはメインではありません)。何度も書きますが、これはアメリカの国内都合です。そもそも、戦争とはやる側の国内事情によって行われるものなのです。そして、イラク戦争の結果について言えば、ベトナム戦争の結果と同様、アメリカの敗北は必至の状態になっています。ブッシュ政権は、まだやるつもりのようですが。

 まずアメリカとは、こうした国なのだということを理解しなくてなりません。これはもう、ものすごく迷惑なことなのですけど、こうした国なのだからしかたありません。ようは、こうした迷惑な超大国であるアメリカに対して、その他の国はどうすればいいのかということです。

 それでは、どうすればいいのか。アメリカを非難するだけではダメだと思います。今のアメリカは間違っている、これは世界の心ある人々が本心では思っていることです。しかし、だからと言って、嫌米感情を高ぶらせ、悪いのは欧米だとテロに走ることが正しいとは思えません。嘉永6年(1853年)に浦賀にペリー艦隊が来た時、日本はアメリカに来てくれといって来たわけではありません。それでも、アメリカはやってきました。アメリカが来たことにより、日本はそれまでの社会の姿を根底から変えることを余儀なくされました。国内で数多くのテロや戦いがありました。明治10年(1899年)に日本史上最大規模の内乱になりました。そうやって、統一した国民国家を作ってきたのです。

 他の東アジアの諸国はどうでしょうか。シンガポールのリー・クワンユーやマレーシアのマハティール・ビン・モハマドや、インドのマンモハン・シンはどうでしょうか。彼らは嫌米感情を高ぶらせて、露骨にアメリカに敵対することを口にしたり、行ったりしてきたでしょうか(マハティールは時々言っていたな)。それよりも、排外主義的ナショナリズムを持つことなく、広く国際社会に目を向けて、アメリカの「迷惑」を巧みにかわし、日本など他の国との関係を持ち、自国の発展に努めてきました。今のベトナムは、資本主義国かと思うぐらい外国の企業誘致に熱心です。タイのタクシン・チナワットは経済政策が優れていたと思いますし、現在のタイは経済成長をしています(まあ、こういう事態になりましたが)。アジアは、侵略してきた西洋に対して戦い、反感を持つだけではなかったのです。自らを変革して発展させ、欧米中心の国際社会の中で、それでも高い経済力と独自の地位を築き上げてきたのです。

 中近東の不幸は、こうした東アジアの指導者のような人物がいないということです。イラクのマフムード・アフマディネジャドやヒズボラのナスララやハマスのメシャルたちは、ひたすら欧米を批判するだけです。自分たち社会や文化の問題点や改正すべき点を考えようともしません。そして、より強い軍事力さえあればそれでいいと思っています。彼らには、自国の民を守ったり、職を与えたりして、食わせていく、平和で安定した市民社会を作るという指導者のやるべきことの基本中の基本がひとつもわかってはいません。こうした人々に、国をまとめ、社会のインフラを整備し、教育を高め、産業を興し、外国の優良企業を誘致することができるでしょうか。彼らは、リー・クワンユーやマハティールの足下にも及びません。そして、今の中近東がこうであることは、アメリカやイギリスの課題ではなく、中近東自身の課題なのです。

 私は、こうした上記のことが一番よくわかっているのはASEANさんではないかと思うのですが。いかがでしょう。ASEANさんこそ、嫌米感情を持つことなく、客観的に東アジアと中近東の比較ができる方ではないのでしょうか。

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