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June 12, 2006

NHK「日本のこれから 米軍基地」

 10日土曜日のNHK番組「日本のこれから 米軍基地」を見た。この前日と前々日に、NHKでシリーズ「変貌する日米同盟」という番組をやっていたのであるが、こちらの方は見ていない。再放送で見ようと思う。

 番組では、視聴者の回答では、外交努力によって平和を維持するというのが一番多かった。確かにそうだなとは思うが、背後に軍事力がない外交では限度があるだろうなあと思った。外交と軍事は相反するものではなく、本来一体化しているものである。外交のない軍事行動はないし、軍事のない外交も本来はない。

 自分たちが住む地元の米軍基地が駐留していいかという問いかけを投票で決めた場合、「いい」という投票が「いやだ」という投票を上回る地域は、日本国中どこにもないであろう。しかしながら、だからと言って日本国政府はアメリカに「国民がいやだと言っています。この国は民主主義社会ですから、国民の意思に従わなくてはなりません」とは言えない。というところに、日本国政府のつらさがある。

 こうした米軍基地がある地域の人々が防衛庁長官と対話(対話だったのか?)するという番組は、確かにこれまでなかったとは思う。そのへんは、さすが公共放送とは思う。しかし、例によってNHKの曖昧さがここにも濃厚にあって、沖縄に基地が集中しているのは問題ですねで終わってしまい、あとは外交努力によって平和を維持することを国民は求めているみたいな結論になってしまった。

 結局、この番組は、議論をしていく上の論理構造がないのだと思う。

 もし在日米軍を全部撤退させたらどうなるのかというシュミレーションが必要だと思う。在日米軍を全部撤退させたらどうなるのかという話がまずあって、その上で、さあ、あなたはどう思いますかとなるのが順番であろう。在日米軍を撤退させたあと、国の守りはどうするのかで、中国や北朝鮮が攻めてくるわけないじゃあないですかと思う人々は軍事力なんていらないと言うであろうし、中国や北朝鮮は脅威であると考える人々は、日本が主体となった日本国の安全保障を主張するであろう。

 つまり、ここでまず必要なことは、日本を取り巻くアジア地域の状況は一体どうなっているのかということであり、在日米軍をなくした場合、いかなるコストが国民に発生するのかということである。そうした議論の土台になる前提条件への共通認識がなくては議論にならない。さらに言えば、軍事力の背景がなくて外交はできるのだろうかとか、軍事力を増強をすると周辺諸国はどのように感じるであろうかということを考える必要があるだろう。そうした諸々のことへの思考回路の整理から始めなくてはならないのではないかと思う。そうしないと、この議論はいつまでたっても解決しない。

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