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May 03, 2006

失われていく自由

 「共謀罪法案」という法案が今成立しつつある。ネットの数多くの場で言われているように、この法律はかなり問題を含んでいる法律である。なにが問題なのかというと、「なにが違法行為だと見なされるのか」ということ、そのものが取りします側の警察や裁判所の解釈で恣意的にどうでもなるということが法律で認められるということだ。このため、これまでは例外的にしか認められなかった電話やメールや日常会話が盗聴・監視されるようになるということである。

 ちなみに、アメリカでは一般市民への盗聴・監視は、今のブッシュ政権になって当然のように行われている。ブッシュ大統領は「テロ対策のためなのでやむ得ない」みたいなことを言っている。このように「テロ対策」の名目で、市民の自由がどんどん制限されているのが、今のアメリカである。最近、Googleが中国政府の要求に従って検索に制限をかけることに対して批判の声が高まったが、なんのことはない、アメリカ政府自身が自国の国民を監視し、自由を制限しているのである。

 こうしたアメリカと同じことを、日本も今やろうとしている。今というのは、近年中にとか、今年中にとかの話ではなくて、なんとこの4月28日に自民党は採決するつもりであったのだ。この日、野党が反対したために採決は行われず、後日に行われることになったという。僕自身は、こうした法案があることは知っていたが、28日にそれが採決される予定であり、そして後日にもちこされることになったのを知ったのは、30日ぐらいになってネットで知った。ここ数日間は、あまり新聞やテレビを見ることはなかったのであるが、そうであったとしても、この法案についての情報がメディアに少ないと思う。というか、ネットにアクセスしない人は、この法案の存在自体についても知ることがないかもしれない。

 この法案は、元々、国際的なテロ防止のための「国際組織犯罪防止条約」で義務づけられた法整備をするという目的で作られたものだという。しかし、これがテロ防止になるのだろうか。実質的には、国民統制以外のなにものでもない。こうまでして国民を監視し管理したいという、その意思と意図はどこからくるのか。

 採決される予定であった28日の前日27日には、ライブドアの前社長堀江貴文被告の保釈があった。こうしたことは、マスコミは報道する。そして「共謀罪法案」については、何も伝えることはない。もはや、マスコミは、民主主義社会において必要とされる情報を国民に伝えるという機能を果たすことはなくなったのだと言えよう。あるいは、そこまでマスコミに規制がかけられているのかもしれない。いわば、ホリエモン出所の加熱報道ぶりは、マスコミの自己の無力さへの自覚の反動なのかもしれない。真実を報道できないのならば、派手に騒ごうじゃないかということである。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

Comments

<<アメリカ政府自身が自国の国民を監視し、自由を制限しているのである。

実例を示していただけるでしょうか?

MikeRossTky

Posted by: マイク | May 03, 2006 at 07:49 AM

> マイク様

こちらのブログ主様とは何の関係もない、通りすがりの者ですが、横レスで
失礼します。

今やネット上にはいろいろ情報が出ているかと思いますが、わかりやすいと
ころだと、こんなのはどうでしょう?
英語のお勉強サイトでは有名どころのコンテンツのひとつですがアメリカの
現在の社会状況などもなかなかよく伝えているようです。

英語タウン アメリカン・カルチャーを知る英語講座
第37回~39回

http://www.eigotown.com/eigocollege/marie_english/backnumber/marie_english37.shtml
http://www.eigotown.com/eigocollege/marie_english/backnumber/marie_english38.shtml
http://www.eigotown.com/eigocollege/marie_english/backnumber/marie_english39.shtml


日本国内のマスメディアではあまり扱いは大きくはなかったような気はしますが、
去年発覚した大統領の国内盗聴問題などは普通に報道されています。

ライブドアニュース 
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1565192/detail

スクープとなったNew York Times の記事(英文)
http://www.commondreams.org/headlines05/1216-01.htm


ついこの前も検索情報の提供問題で大手検索エンジンGoogleとも揉めているよう
です。(ただしこれは、「愛国者法」ではなく、児童を有害なサイトから守る
法律のためという建前らしいです)

HOT WIRED
「危ない検索」がバレたときの言い訳は
http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20060210203.html


図書館の利用状況の情報をめぐっての全米図書館協会との対立もあるようですね。
私はたしかに去年、日本のニュース番組で白人の図書館司書のおばさんがこの問題に
憤慨していた映像を見て、初めて知ったのですが、覚えている人は少ないようです。

国立国会図書館 米国愛国者法の制定と図書館の対処
http://www.ndl.go.jp/jp/library/current/no283/CA1547.html

自由といえば、プライバシーを覗かれることはやっぱり自由の侵害ですよね。

もっと詳しいサイトもあるかもしれませんので、興味がおありになれば
検索で調べられると良いと思います。
私も最近まで、ネットといえばメールと趣味の野草のサイトしか覗いた
ことがなかったのですが、主人から「お前こんなことも知らないの?」と
馬鹿にされたのがきっかけで政治や経済のこともいろいろ調べるようになり
ました。お互い、がんばりましょう!(^^)

Posted by: さくらこ | May 03, 2006 at 08:37 PM

さくらこさん、情報をありがとうございました。
紹介して頂いた西森マリーさんの英語講座のURLの最後の方がコメント欄上では切れて見えなくなってしまうようです。ココログの仕様上そうなってしまうようです。管理画面では全部見えましたので、そのページへ行き、バックナンバーのリストがあるページを見つけました。

>>http://www.eigotown.com/eigocollege/marie_english/
marie_english_back.shtml<<

の37~39ですね。これ以外にもブッシュと共和党の悪行ぶりがわかるエッセイもあって、大変参考になります。ありがとうございます。西森マリーさんのネイティブ感覚で観る『ザ・ホワイトハウス』 もおもしろいですね。『ザ・ホワイトハウス』を見ると、いかに共和党は間違った政策を行っているかよくわかります。僕もこの番組のファンなので、こういうの書こうかな(笑)

Mike, If you wana know evil deeds of the Republican, I say again Why dont you access American Civil Liberties Union?
>>http://www.aclu.org/<<

Posted by: 真魚 | May 04, 2006 at 12:08 AM

さくらこさん、

この問題については良くリサーチを私は行っています。2003年にさかのぼってOpinionJournalでアメリカ最高裁判官候補のRobert Bork氏が "phantoms of lost liberty"という言葉をhttp://www.opinionjournal.com/extra/?id=110003886で使っています。この記事は読む価値があると思います。

<<去年発覚した大統領の国内盗聴問題などは普通に報道されています。

この”盗聴”とは国内からアルカイダ関連の電話に対しての盗聴です。このような盗聴が”アメリカ政府自身が自国の国民を監視し、自由を制限している”に価するものでしょうか?

FBIや警察がマフィアに対して行っている盗聴と変わりが無いですよね?

またテロリストであると思われる人が図書館でインターネットを利用した場合、その利用についての情報を集めることがなぜ”自由といえば、プライバシーを覗かれることはやっぱり自由の侵害ですよね。”となるのでしょうか?

確かに、テロリスト以外の人達の自由を脅かす可能性はあります。その可能性とテロリストが行う行動を天秤にかける必要があります。また、テロリストを”警察事”として扱ってほしいリベラルの方々は”警察的手段”を使うと”自由の侵害”を持ち出します。人が死んでからの対応?

"phantoms of lost liberty"のコンセプトを考えなければなりません。ACLUは一般の人の自由や人権を守るために有意義な活動を行います。しかし、その活動は現実と架空の世界を行ったりきたりします。エリートの方々にとっては面白トピックかもしれません。でも9・11で高校の先輩を失った私にはもっと現実を見ていただきたいと考えます。

自由が実際に無くなった例を探し続けてください。

MikeRossTky

Posted by: マイク | May 04, 2006 at 12:43 AM

Mike,

Robert Borkは、アメリカ法学界で最も反動的で反リベラルな保守派の代表的人物の一人です。ウォータゲート事件では、ニクソンが自分のいうことを聞かない司法省のリチャードソン司法長官とラッケルスハウス副長官を解任し、ボーグを新司法長官に任命しました。ひとことで言えば共和党側の人間です。以後、最も保守的な政治発言をする法学者になり、今日の地位を築いた人です。レーガン政権時代、連邦裁判所の裁判官の任命を受けましたが、民主党の反対により上院で承認を得ることができませんでした。リベラルは、ウォータゲート事件で司法の良心とも言うべきリチャードソン司法長官を裏切り、司法省をニクソンに渡したボークへの怒りを忘れていません。

Posted by: 真魚 | May 04, 2006 at 01:34 AM

真魚さん

ホワイトハウスは良くできたドラマで、アメリカ政治の理解には多いに役立ちます。ただし、あれはあくまでもフィクションです。

現実の大統領や首相の言動として、私がTBしたブレア首相の演説を読んで聴いてもらえれば、共和党が何から何まで間違いとは言えないことがわかると思います。特に外交政策センターでの演説は、シンクタンクという場所柄もあってアカデミックな論文としても読みごたえありです。

「テロに屈しない」としか言えない小泉純ちゃんとはレベルが違います。

ちなみに、オーストラリア議会での演説は、IHTでWestern Valueのための戦いという見出しになっていました。ブレア首相はアメリカのためでもアングロ・サクソン文目のためでもなく、自由と民主主義を信ずる世界市民のための戦いだと演説したにもかかわらず。

これはリベラル・メディアによる情報の歪曲なのでしょうか、マイクさん。

Posted by: 舎 亜歴 | May 04, 2006 at 09:49 AM

Western Value=自由と民主主義を信ずるではないのでしょうか? ヨーロッパではそのコンセプトを”世界市民”としないと受けないですからね。

Mike RossTky

Posted by: マイク | May 10, 2006 at 01:07 PM

舎さん、

もちろん、ジェド・バートレット大統領はフィクションです。フィクションですが、感動的な回もあり、深く考えさせられる回もあります。神学を学び、ノーベル経済学賞をとった大統領というのは、実際にはむずかしいでしょう。アル・ゴアに、これだけの魅力があればと思います。この番組の成功は、脚本のアーロン・ソーキンによるもので、この人が制作から降りた第5シーズン以降は視聴率は低下しているようです。

ブレア首相の演説は動画で見ました。感想は後ほど書きます。

Posted by: 真魚 | May 11, 2006 at 01:01 AM

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