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May 19, 2006

An Inconvenient Truth

 前アメリカ副大統領のアル・ゴアが出演して地球環境の危機を語る"An Inconvenient Truth"というドキュメンタリー映画が、今月アメリカで公開される。"Inconvenient"とは「都合の悪い」という意味で、誰、あるいは何にとって都合の悪い真実なのかというと、現在、まだ公開前だというのに、この映画に対しても「そうした事実はない」とか言っている人々がいることでもわかるであろう。地球温暖化という事実があっては困る人々が世の中にはいて、そうした人々にとっては「都合の悪い真実」なのであろう。

 2000年の大統領選挙では、共和党の不当な策略と保守派主導の連邦裁判所の判断によってジョージ・ウォーカー・ブッシュが第43代合衆国大統領になったが、ゴアはその後、政界に戻るよりも、自分がこれまで集めた地球温暖化についての情報をもとに、広く全米で講演を行っていたという。ゴアにとって環境問題は、テネシアン(Tennessean)紙の記者だった若い時からの関心事であり、上院議員時代に"Earth in the Balance"という環境問題の本を書いている。そのゴアを主演にし、彼が集めたマルチメディアスライドを中心にして制作されたのがこの映画だ。サンダンス映画祭でも高評をはくしたとワシントンポスト紙は報道している。この映画は、ゴアによる地球温暖化の現状と今後の予測であると同時に、彼がなぜ環境問題に関わってきたのかを語る映画でもある。

 予告がショッキングで、かついい予告になっている。ゴアは「科学的な共通認識では、地球温暖化の原因は我々なのです」と語る。「私が元次期合衆国大統領と呼ばれたアル・ゴアです」と冗談交じりに言うシーンがあって、僕もウォーと声を挙げてしまった。この「ウォー」という人々の声の背後には、「そうなんだよ。この人こそ合衆国大統領なんだよ、そうであって欲しかった」という想いがある。そして、地球の各地の景観がいかに変貌してしまったかをゴアは語る。今後10年の間で、キリマンジャロには雪はなくなるという。

 「これは政治的な問題なのではなく、それよりもっと大きな問題なのです」と彼は語る。ハリケーンカトリーナのシーンで、地球が我々を裏切ったのか?それとも、我々が地球を裏切ったのか?という文字が画面に出る。環境問題は、もはやテロリズム的脅威になっている。環境破壊が経済や社会に与える被害は甚大なものなのだ。この予告を観ただけでも、地球はかなり変貌している。ゴアは、我々が対処しなければならない本当の危機とは何であるのかを語っている。

 それにしても、日本でも公開するん・・・・だろうな。

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Comments

得意の環境問題に集中するなら、アル・ゴアは大統領よりも今の地位にいる方が良いのでは?そういえばジミー・カーターは「最も優秀な元大統領」と言われました。ただ、その後はカーターの調停による合意など北朝鮮は反故にしています。

こんな轍だけは踏んで欲しくないです。

舎さん、

私もこの映画の予告を見てそう思いました。この人はこっちの方が合っています。本人も次の大統領選挙には出ないと言ってます。環境保護団体が敵視する企業は、ゴアを支持しないでしょう。この人が副大統領職までなれたのは、父親が上院議員で全米のフリーウェイの建造政策にも関わった程の人物だったからだと思います。まだ「ザ・ホワイトハウス」のジェド・バートレット大統領の方がいいです。この人は合衆国という一国の国益よりも、地球や人類という視点の方があっています。こうした上流階級人もいるというのが、いかにもアメリカです。日本の金持ちはこうしたことをしません。

http://www.deadlinehollywooddaily.com/new-controversy-an-inconvenient-al-gore/

http://www.drudgereport.com/flash4g.htm

ゴアさんがお邪魔なようですね。彼が出演しているのになぜか名前が出てこない。

ところで火星もこの10年ばかり温暖化中らしいですね。これも人間の仕業でしょうか?

MikeRossTky

Professor Bob Carter of the Marine Geophysical Laboratory at James Cook University, in Australia gives what, for many Canadians, is a surprising assessment: "Gore's circumstantial arguments are so weak that they are pathetic. It is simply incredible that they, and his film, are commanding public attention."

これはhttp://www.canadafreepress.com/2006/harris061206.htmより。

この発言は温暖化を信じている科学者から。ゴアさん、ぜんぜんだめな映画を作ってしまいましたね。

MikeRossTky

ある一人の科学者の批判を引用して
「ぜんぜんだめな映画を作ってしまいました」と結論するというのも物凄い論理ですねぇ・・

その伝で言えば、学会で異論があるものは全て嘘という事になる。しかし実際、ビッグバンから進化論まで、どんなもんにでも異論は
あるわけで。

しかしこの映画NYではまだ上映中。
凄いロングランだ。

pspさん、

保守派の論調はこうしたものです。

アル・ゴアは科学者ではなく政治家です。政治家が地球の未来を考える映画を作って、どこが"pathetic"なのか。この Australiaの教授こそなにも理解してません。

保守派も、こうした意見は意味がないことを知っているんです。意味がないことを知っていて、さも意味があるように述べる。これがプロパガンダの第一歩です。

ようするに保守派は、地球温暖化対策のために政府が産業を規制するのはイヤなんです。石油会社の利益が減るのはイヤなんです。共和党は石油会社の支持を失いたくないんです。で、「石油会社の利益が減るのはイヤ」と言えばいいのに、「あの映画は間違っている」と言っているわけです。

しかし、「石油会社の利益が減るのがイヤ」つまり、「地球温暖化対策のための規制が産業界に与える影響を考えましょう」と言わなければ政治の議論はできません。すなわち、アル・ゴアの映画を否定する人々は、「地球温暖化対策のための規制が産業界に与える影響を考える」つもりはまったくなく、とにかく、環境問題を言っている連中がキライ、アル・ゴアがキライ、民主党がキライと言っているだけなんです。

NYの映画館では終わって拍手が出ますからねえ。
日本公開もうすぐですね。

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