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April 23, 2006

フランシス・フクヤマの新刊本

 散歩がてらに、紀伊国屋書店新宿南店へ行く。ここんとこ洋書はアマゾンでしか買わないので(だって安いし)、最近、6階の洋書売り場に足を向けることはなかったのだけど、まあ行ってみるかと訪れてみると、フランシス・フクヤマの新刊"America at the Crossroads: Democracy, Power, And the Neoconservative Legacy"を発見。おーそういえば今度出るんだったな、もう出たのかと思い。どーすっかなあ、アマゾンで買った方が安いだろうなあ。でも、いっかなー。すぐ読みたいしなあ。でも高いだろうなあ、500円くらいの値段差ならいいかなーとか思いながら結局購入。

 今、アメリカの言論界では、イラク戦争の泥沼化の責任を問う声が高い。ネオコンとその外交政策への批判が強まっている。先日も、ポール・イートン元陸軍少将がラムズフェルド国防長官の辞任を要求することがあった。軍部だけではなく、「イラク戦争とは、一体なんであったのか」という問いかけが各方面から挙がってきている。外交の専門家では、元父ブッシュ大統領補佐官ブレント・スコウクロフトやクリントン政権の国務長官だったマドレーン・オルブライトも、ブッシュ政権のイラク政策がいかに間違ったことであるかを述べている。

 シカゴ大学の地政学者ジョン・ミアシャイマーは、現在のアメリカの外交政策を批判し、ブッシュ政権はあまりにもイスラエル寄りであることを主張している。ミアシャイマーは、ヘンリー・キッシンジャーやコンド リーザ・ライスと同じリアリズムの観点に立つ人であるが、そのリアリストのミアシャイマーでさえ、今のアメリカの外交政策があまりにもイスラエル寄りなのでそうとう頭にきたのであろう。ちなみに、彼は当初からイラク侵攻には反対していた。フクヤマも、タカ派でネオコンと同じグループと見られてきたが、今ではこの本の中でネオコンの外交政策を批判している。ただし、アメリカの言論界でイスラエル批判をするとかなりヤバイことになるので、フクヤマは内心そう思っていても、イスラエル批判までも書くことはなかったようだ。その点、ミアシャイマーは「よくぞ言った!」ということになるのだが、今後どうなるかが注目される。いずれにせよ、もはやアメリカ外交におけるネオコン時代は終わりに向かいつつある。

 さて、フランシス・フクヤマの本を買って、エスカレーターで4階に降りて、大前研一さんの新刊が出てたよなあとか思いながら、岩波新書の棚の前を通ると、なんと柄谷行人の『世界共和国へ― 資本=ネーション=国家を超えて ―』(岩波新書)を発見。これは、知らなかった。この人のことだから、カントとマルクスだよなあと思う。でもって「世界共和国」となると、なるほどーと内心うなずいちゃうのであるが、なににうなずくのか自分でもよくわからないが、とにかくこれは読まねばならんと、さっそく購入した。

 自宅に帰り、アマゾンでのフクヤマの新刊本の値段を見ると・・・・・げっこんなに値段が違う。うーむ・・・・。

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Comments

真魚さん、

人種別主義の方々がこの”Research Paper"を絶賛していますからね。リベラルの方々にとってはすばらしい論文ですよね。下記によると、ハーバード大学はこの論文から遠くに離れようとしているようですよ。http://www.opinionjournal.com/jer/?id=110008146 より。


Gigot: Uproar spread this week over a research paper co-authored by the academic dean of Harvard's Kennedy School of Government, as that institution struggled to distance itself from the controversy. The paper, "The Israel Lobby and U.S. Foreign Policy," was written by Harvard's Stephen Walt and Prof. John Mearsheimer of the University of Chicago. The professors allege that a cabal of pro-Israel public officials, think tanks and journalists, including those of us here at The Wall Street Journal, seized control of U.S. foreign policy and pushed America into war with Iraq. Dan, one of the claims in this paper is that our predecessor, Bob Bartley, former editor of the Journal, was part of this Israel lobby. You worked with him for 25 years. What do you think of that assertion?

Henninger: Well, Bob's position was that he supported the friends of the United States, and he supported democracies. And I will never forget sitting with him in his office once, when the Israelis were requesting a meeting, he said, "You know, my support for Israel is directly proportional to the Israeli lobby's willingness not to bother me with meetings."

[Laughter]

また、http://www.counterpunch.org/fisk04272006.htmlではLondon Independentでの記事が読み取れます。Lodon IndependentはInternatioinal Third Positionと言う団体があしらえた星条旗をイラストに。この星条旗の星はユダヤの星となっている。http://en.wikipedia.org/wiki/International_third_positionに行くとInternational Third Positionがどのような団体かお解かりになると思います。

http://daily.nysun.com/Repository/getFiles.asp?Style=OliveXLib:ArticleToMail&Type=text/html&Path=NYS/2006/03/20&ID=Ar00100&Mode=HTMLa

にいてください。見出しがすばらしいとおもいますよ。

David DukeやITPのような人達と一緒にリベラルの方々はなぜ、防衛しがたいトピックに引き寄せられるのでしょうか?

MikeRossTky

Mike

イスラエルを批判すると人種差別主義者と呼ぶという、いかにも共和党支持者の典型的なパターンです。

あれれ、ユダヤ系は伝統的に民主党支持が多かったはずですが。

ところでブレア首相演説のトラックバックは二重でした。余分な方を削除して結構です。代わりに別記事をTBします。

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