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March 12, 2006

沈黙の春の到来

 アサヒコムの記事によると、「フロンガスなどによるオゾン層の破壊で南極上空にできるオゾンホールが、完全にふさがるまでに約60年かかり、2065年ごろになると米海洋大気局(NOAA)の研究者が予測した。」という。これは、従来の予測より15年遅いものであるという。

 なんと、またしても(またしてもだ!!)、先日ここで書いたように「どうやら、科学的に不確かだから、地球温暖化など存在しないということではなく、科学的に不確かのため、我々は地球環境の変化の速度と規模を低く予測していたようである。」がまた起きたようだ。これからも、こうしたことはよく起こるだろう。

 このオゾン層の破壊もたらす製品の製造・使用を規制するモントリオール議定書というものがある。アメリカは1987年にこの議定書に批准している。1987年と言えば、レーガン大統領の時代であるが、さすがレーガンは後の同じ共和党のG.W.ブッシュよりも環境問題を危惧していたのであろう。

 臭化メチルという化学物質がある。これは主に農薬として使用されるものであるが、この化学物質はオゾン層破壊作用が強いため、モントリオール議定書の規制対象物質となっている。先進国が2004年末、発展途上国が14年末で、それぞれ生産と使用を全廃することになっていた。

 ところが、である。 なんと!!ブッシュ政権は農薬の臭化メチルについて、例外的な使用を認めるよう議定書事務局に要求していたのである。実際のところ、本心ではブッシュ政権はモントリオール議定書など、京都議定書のように無視したいのであろう。自分の国さえよければ、他の国はどうでもいいのである。

 どーせブッシュ共和党および共和党支持者は、フロンガスの増加がオゾン層破壊の原因であることは科学的わかっていない、よって、なにもしない式論法を主張するであろう。これほど地球各地で異常現象が起きているのに、共和党および共和党支持者は、なぜこれらの現象をたんなる一時的なノーマルな自然現象だと言えるのであろうか。

 共和党および共和党支持者は、なぜなにもしないのか。なぜならば、CO2放出の制限は、現在の経済成長の障害になるからである。では、実際に危機になった時は、どうするのか。共和党支持母体は、金持ち層や大企業が多い。つまり、金持ちだから、大金を使って逃げられるのである。わけのわからない地球温暖化などというものよりも、今日の利益をいかに多く得るかが関心事なのである。そして、本当に危なくなったら、自分たちだけが助かるようにするであろう。

 元合衆国副大統領のアルバード・ゴアは、環境問題の専門家である。彼が上院議員時代に書いた著書"Earth in the Balance"は政治家が書いた環境問題の書として注目すべき本だ。またゴアは、去年の1月にMoveOn.orgが主催する席で、ブッシュ政権でのアメリカの環境問題への取り組みの後退を批判するスピーチ"Al Gore Speaks on Global Warming and the Environment"を行っている。

 今日、ブッシュが合衆国大統領になっていることは、アメリカのみならず、全人類の損失であったようだ。

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Comments

The problem with this theory is that the chlorine molecules in Freon are heavier than air; they settle to the ground upon release - many tens of thousands of feet below the ozone layer.

どうやって空気より重い物が数千メートル上るのでしょうか?

また、

And even if they didn't, natural processes release exponentially more chlorine into the surrounding air than anything done by the hand of man. For example, the eruption of Mount Pinatubo in the Philippines generated more chlorine in a few short hours than if all the man-made CFCs in the world were vented en masse.

自然の力によってオゾン層は変わるわけですよね。人の力を過信するリベラルな方々。自分の力が強くないとリベラルとしてやっていけないの?

ところで、リベラルな方々は大きな企業の陰謀が何時も陰謀をたくらんでいると言っていますよね。

Dupont committed similar treachery on the CFC- ozone depletion issue several years ago. When Dupont's patent on the CFC-based refrigerant freon was about to expire (which would have allowed competitors to start manufacturing freon), Dupont developed a freon substitute, patented it, and then supported the CFC ban. This action ensured Dupont's EXCLUSIVE rights to manufacture the freon substitute for the next 17 years.

Dupont社の陰謀にもしかしてリベラルな環境保護者達は巻き込まれたのでは?

マイク

環境汚染をしているから環境対策を考えるのではなく、していおうがいまいが、環境を考える、clean energyを考えることはしなくてはならないのではないか。ヨーロッパでは当たり前のことですね。アメリカの企業は、そのへんの認識がヨーロッパより遅れています。代価エネルギーを開発するのなら、それは(その会社の金儲けなろうとも)良いことなのでは。

だれもClean Energyを否定はしていませんよ。うその情報を元に政策を作り、人から税金を取り立てたりするのはおかしいのでは?

光化学スモッグ、テームズ川の汚染など明らかに問題があれば、政府と産業は一体となって問題の解決を行った。なぜ、リベラルな方々はうそをついて、ない問題をでっちあげて政策を作ろうとするのですか?

MikeRossTky

Mike、

私は何度もこのブログで書いていますが、ありもしないことを事実と言ってイラクを侵略して、厖大な数の罪なきイラクの人々、アメリカの若者を殺害したのはブッシュ共和党政権なのではないでしょうか。大量破壊兵器はあったのでしょうか。ビンラディンどこ?なんのためにイラクを侵略したのでしょうか。I cannot understand......... Oh, It's the oil. I got you Mike.

ブッシュが”うそ”をついたから、ブッシュ以前のうそもそれ以降のうそもOKなんですか?

二言目には”ブッシュ”をあなたはもちだします。それでは対話にはなりませんよ。

なぜ、リベラルな方々はうそをついて、ない問題をでっちあげて政策を作ろうとするのですか?

上記について直接コメントをお願いできますか?FreonやDDTの使用を禁止したため、どれくらいの経済非効果、何人の人が毎年マラリアに殺されているのでしょうか? 

MikeRossTky

うそ?うそがどこにあるのでしょうか。真実ですけど。

Rachel Carsonの"Silent Spring"に対して「DDTがマラリアをもたらす蚊を減らして人命を救っている」という反論は昔からありました。ようするに、目先の利益だけで長期的な視点はないと。

Rachel Carsonの本を読むことをお勧めします。

<<目先の利益だけで長期的な視点はないと

そうです。リベラルな環境団体は目先の利益、金銭的、政治的利益のみを見て動いているのです。Freonもまったくそうです。

科学的に立証もせずに法律や条令をつくり、それを世界に押し付ける。それは”真実”ではありませんよね。リベラルの方々は”真実”ではなく、”Faith"にもとづいて動いている。だからあなたも、証拠を目の前に置かれても”うそがどこにあるのでしょうか。真実ですけど。”という事を書きます。

Environmentalism=Religionなんですよね。

DDTについてはすでに私のブログでも取り扱ったと思います。これもまた科学と政治が相反する結果を招いたものですよね。このような実例があるにも関わらず、京都議定書、モントリオール議定書をリベラルな方々は世界に押し付けて喜んでいます。

<<1987年と言えば、レーガン大統領の時代であるが、さすがレーガンは後の同じ共和党のG.W.ブッシュよりも環境問題を危惧していたのであろう。

さて、上記の踏まえて考えると、偉大なるレーガン大統領は間違えていたと言うことに。政治家にはその時代のリミテーションがある。過去の間違えから学ばないのはだめじゃないですか?

MikeRossTky

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