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February 20, 2006

NHKスペシャル「気候大異変」を見た

 NHKスペシャルの「気候大異変」を見た。現状の地球温暖化が進めば、今世紀末に地球社会はどうなるのかというシュミレーション番組である。

 「現状の温暖化が進めば」と書いたが、これはもはや避けられないことであろう。「進めば」ではなく、今世紀末には地球はこうなるということが、予測的には「決まり」なんだと思う。京都議定書すら認めない、某超大国の共和党政権があることだし、二酸化炭素の排出量の削減を発展途上国が承認するわけがない。ましてや、中国がこれから本格的に工業社会に突入するのだ。この巨大な国が、これからじゃんじゃん資源を浪費しますぜ、ガンガン二酸化炭素を排出したるでぇという時代になるのである。これはもう今世紀末には地球はこうなるというのは、ほぼ決定していると言えるであろう。

 現在、中国では環境汚染が急速に進んでいる。最近でも、Songhua Riverで深刻な化学汚染が発生し、その河を水源としているハルビンで断水になった300万人の市民が不安になる出来事があった。1970年代に公害問題を経験した日本は、多くの点で中国に指導できる技術を持っている。本来、日本は、工業化を推進する中国に対して、「持続可能性」(sustainability)のある産業社会を提言し、その実現に向けて協力していくことができるはずだ。しかしながら、今の日中間には、そうした未来へのビジョンある関係はなく、靖国神社がどうしたこうしたという低レベルの関係しかないのである。

 この番組を見て、アラスカのシシュマレフ島が、浸食により土地がなくなりつつあるということを知った。シシュマレフ島といえば、亡くなった写真家星野道夫さんが、20歳の時ホームステイで暮らした村である。星野さんは、このシシュマレフ島の村の風景写真を、神田神保町の本屋で見て、アラスカへ旅立つことを夢見ていたという。この村の村長に手紙を出したことが、すべての始まりだった。彼は、シシュマレフ島で生活した後、アラスカ大学の野生動物管理学部に入学し、野生動物の写真家の人生を歩み始める。星野さんの旅は、ここから始まったのだ。そのシシュマレフ島が、姿をなくそうとしている。近い将来、シシュマレフ島の村人たちは島を出て、他の場所に移住するという。

 人間によって変わりゆく地球の姿を、星野道夫の魂はどう感じているだろう。

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Comments

<<京都議定書すら認めない、某超大国の共和党政権がある

たしかクリントン政権時代に上院に提出されて、98-0ぐらいで却下された定義書ですよね。共和党だけが定義書を認めていないわけではないですよね。

ところでこの定義書の科学的根拠は立証されているのでしょうか?科学とは立証されて始めて有効なものなのですよね。モデルとか憶測のレベルにしか達していない”温暖化”なんですよね。

ところで定義書を受け入れた国々の成果は?政治的にかっこつけている国々の成果は?

マイク

>ところでこの定義書の科学的根拠は立証されているのでしょうか?科学とは立証されて始めて有効なものなのですよね。モデルとか憶測のレベルにしか達していない”温暖化”なんですよね。

『バカの壁』で有名な養老博士もまったく同じこと言ってましたね。

ワシは科学者だからこそ言うのだ、と。その可能性が高いから、やれることはやってみよう、と言うのなら納得できる・・・って。

今日NYTimesで面白い記事があったのでTrackBackさせていただきました。もしかして、真魚さんも”Environmentalism"という宗教に関わっているのかな?

Faithがあれば立証は必要ないもんね。

MikeRossTky

Mike,

京都議定書にサインしたのはアル・ゴアですよ。クリントン政権こそ、京都議定書の最も大きな推進者であったと言えるでしょう。クリントンが上院に承認案を出さなかったのは、上院は京都議定書に反対していた共和党が主導をとっていたため否認されるのを避けるためです。この時、上院が民主党優勢であったのならば、アメリカはすぐにでも京都議定書を批准したでしょう。so, the Republican is the enemy of the earth!!! ブッシュ and チェイニー are the root of all evil!!!

地球全体の気象については、まだ解明されていないことが多いです。モデル化しても変数が多様であるため、スーパーコンピューターを使ってもなかなか確立したモデルは今だできていません。

しかし、ですね。科学的に立証されていないから、そんなものはないと言えるのでしょうか。現代の科学ではわからないものは、「わからないもの」なのだからほおっておいていいのでしょうか。で、わかるようになるまで待って、それから対応しようと。しかし、その時はすでに時遅く、現代文明はcollapseへ向かうかもしれません。なんで、もっと早く手を打っておかなかったのかと言っても、いやあー、あの頃は科学的に明確になっていなかったから、なにもしませんでしたと言うと。まるで、お役所が「ここにハンコがないから処理できません」というような・・・・。

I see, で、ブッシュは、なんの科学的根拠はなかったイラクの大量破壊兵器の存在は信じていたと。

<<現代の科学ではわからないものは、「わからないもの」なのだからほおっておいていいのでしょうか。

自分のお金ならともかく税金を使って、各企業、個人に対して指導する、もしくは税金をかけるなどの行為を”憶測”に基づいて行なう事を推奨するのでしょうか?

地球は非常にComplexなシステムです。CO2をすこし押さえただけで温度が上がったり下がったりするわけではないシステムです。

クリントン大統領は上院議員に京都議定書を提出しました。その結果がだれ一人サポートを行わなかった。アメリカの場合、ExecutiveBranchが外交の主権をにぎりますので、ゴアが議定書を推奨することには問題ありません。しかし、それに基づいてDomesticPolicyをインプリするのは議会の権限です。CO2による温暖化は科学的根拠は議定書内でも否定的です。政治的に序文では推奨する事が盛り込まれました。

すなわち、議定書は科学的根拠がない、政治的な議定書なのです。世界的な税金の無駄遣いなんです。

これは事実です。真魚さんが否定しても覆らない事実です。ブッシュやチェーニー氏とは全く関係が無い事実です。その事実を否定する事はあなたが”Environmentalism"と言う宗教を信じている証ということです。

良くアメリカでは街中を”世界の終わりが何月何日に来る”と言う看板を持って歩く人がいます。その日が来ても世界の終わりが来ないと、その人はまた新しい看板を作って街中を歩きます。

真魚さんはそのような看板を持って歩く人なのでしょうか?

”Truth will set you free!”

MikeRossTky

この問題に関して、私は真魚さんとも少し違う視点から。京都議定書は確かに実際の環境保護の効果以上に経済にかかる制約が大きいといった欠陥があることは事実です。中でも二酸化炭素の排出権料の買取りや金融商品化など煩雑なうえに、いかに理論武装しようとも本当の排出抑制になるか疑問です。しかも金融市場のように乱高下するところで二酸化炭素の排出量を商品化して、本当にガス抑制の効果があるのかと疑ってしまいます。

経済への制約が大きいばかりで実際の環境保護の効果に疑問の余地のある京都議定書を拒絶したのは「仮に」良しとしても、これへの代案が示せなかったことで国際世論でのブッシュ政権への信頼を損なったのは事実です。

ただし、ブッシュ政権が温室効果ガスを排出したい放題で良いと考えているわけではないことは、今年の一般教書演説からわかると思えます。演説にある”America is addicted to oil.”という一文がメディアの注目を集めましたが、私からすれば今さら何を騒ぐのかといった感覚です。アメリカは旧ソ連、そしてインドでも核拡散防止の一環として原子力の平和利用を推進するとともに、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいたわけです。これについては、こちらの記事の後半部分で述べています。TBに失敗したので、リンク先を示しておきます。

http://newglobal-america.tea-nifty.com/shahalexander/2006/02/2006_7a2b.html

実際にボドマン・エネルギー長官が大勢の聴衆を前に核不拡散と温室効果ガスの排出削減を公言したわけです。

結論として、京都議定書によって国益が損なわれると判断して批准拒否したなら、代案を出すべきでした。同時に、核の平和利用推進などでアメリカも温室効果ガスの削減に貢献しているということも訴えるべきだと思います。

Mike,

環境問題を科学ではなく政治で見ているのは共和党です。共和党が環境保護の動きを妨害するのは、CO2削減に法的強制力ができると困る大企業がバックにいるからです。共和党は大企業のサポート政党ですから、環境問題を見たくないのは当然です。そして、環境問題を科学ではないと言って取り合わないわけです。それでいて、根拠もなにもないテロの脅威を煽り、国民の自由を奪っているのがブッシュ政権です。

マイケル・クライトンのスピーチは宗教的な環境保護運動を否定しているだけで、科学的な環境保護の必要性を述べています。政治性を捨て、科学に立脚すべきなのは共和党なのではないでしょうか。

舎さん、

結局、これは人類の文明がCO2の排出に依存しているからだと思います。CO2の排出を削減しても、経済活がマイナスにならない方法ができない限り、CO2の排出削減は実質的に不可能だと思います。

京都議定書については、それを実行した場合の実質的効果については疑問覗されています。この程度の削減では足りないという意見がある程です。しかし、京都議定書の実質的効果はあまりないものであったとしても、これは我々人類が"whole earth"という世界観を持つことができるのかどうかというテストだったと思います。地球生態系という考え方と、国際社会とい考え方は別次元のものですが、そこに住む人間のレベルで見ると同じものであり、これをどのようにmergeして考えていくかということの出発点だったと思います。これはglobalizationとアンチglobalizationの対立も同様です。

エントリーにも書きましたが、中国が本格的に経済成長をしていくと地球環境にどのような影響を与えることになるか。日本は、これを外交カードとしていくことも可能であるはずです。

<<科学的な環境保護の必要性

その科学的な立証がないまま、京都議定書は政治的ドキュメントとしてゴアやその他の政治家によってサインされた。

なぜ、科学的範囲内での環境保護をリベラルな方々は否定するのですか?

<<共和党は大企業のサポート政党

古い考えはお捨てなさい。大企業のサポートを行っていた共和党は1980年代ー1990年代になくなった。共和党のもともとの地盤はNYやNew Englandなど。そこは今や民主党の地盤です。現時点では大企業は温暖化をビジネスで対応しています。

ほんとに温暖化があるのなら、みんなサポートしますよ。

京都議定書の序文と本文の違いを理解し、本文に書かれている疑問を解消して初めて税金を使っての対応がなされるのが良いのでは?

温暖化に使われるお金をアフリカやアジアの貧困地帯での水道普及に使えばどれだけの効果があるのだろう?なぜ、そのような考えに同じような熱意がみられないのだろうか?

MikeRossTky

Mike,

I do not understand the relation of アフリカやアジアの貧困地帯での水道普及 and 地球温暖化.

科学的に立証できないのならば、なおさら環境問題への科学的研究費をもっと上げるべきなのでは。ようするに、ブッシュ政権には科学的に解決しようという意思すらないのです。

はじめまして。
記事から10ヶ月近く経ってしまってからお伝えするのもなんですが、
掲題の「NHKスペシャル気候大異変」、及び国家研究機関による熱帯低気圧予測について、地球シミュレータによる気候シミュレーション結果の捏造・改竄が行われていたことをURL欄の私のサイトにて報告したいと思います。

お返事が遅くなってしまいました。

サイトを読みました。興味深い内容です。実際には予測できていなかったものを、NHKは予測できていたと報じてたのならば、これは正しくありません。現状の地球環境の「悪化」の原因を、二酸化炭素の量の上昇の観点しか見ようとしないのはおかしいという意見に同感です。「国家戦略としてアテにできるような気候の予測を完璧に行うのは不可能です」というのは、科学論としてその通りだと思います。

政治に必要なのは、反証可能性を常に持つサイエンスを、いかに「人の良き未来」に向けていくかということですね。

地球温暖化は2011年に消滅しました。
ホッケースティック曲線は捏造偽造の「トリック」だったし、カナダの京都議定書離脱、日本政府もそろそろ目がさめたろう、しかし鳩山前首相は国連で日本はCO2を25%削減すると公約してしまったし飛んだ赤っ恥だな。

「地球温暖化」とは、地球史的レベルでの「温暖化」「寒冷化」の話とは違います。その区別ができていますか。

実験結果や理論の正誤は存在します。

今年の日本政府の温暖化への対応については、例えば環境省のサイトの「STOP THE 温暖化 2012」をご覧下さい。
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/stop2012/index.html

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» Envir [mikerosstky]
Environmentalism=宗教 クライトン ”State of Fear" [Read More]

» 環境問題の真の原因 [縄文の風、たましいのこえ]
先月放映された「気候大異変」を、先日やっと見た。 既にご覧になった方はご存知だと思うが、この番組は、「今後100年間の地球温暖化による環境の変化と、それに伴って生じる諸問題」に焦点を当てている――具体的には、「海面の上昇に伴う陸地の水没」「気温の上昇による農作物への影響」「気象の変化による災害の多発」「生態系の変化による疫病の広がり」など。どれを取ってもゾッとするものばかりだ。 「今後100年間」とは言うものの、現実には、既に今の時点で、世界中で大変なことになっている。このままでは、日本... [Read More]

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