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November 06, 2005

未来のための?

 11月29日に発表された日米安全保障協議委員会の中間報告は、日本のこれからにとってかなり根幹的なことが日米の両国間で決定されたと言ってもよい。この報告は「検討中」の事項ではなく、「決定された」事項の報告なのである。アメリカにとってみれば、世界戦略のひとつであり、極東の東アジアの軍事再編成にすぎないことであろうが、その相手国である日本国とその国に住む人々にとってすれば、これはかなり重要なことであった。これがまったく議会と国民の知ることなく、いわばアメリカと日本の政府間で決められたということについて、我々は深刻に受け止めるべきだと思う。

 この報告書の全文は、外務省防衛庁のサイトにある(ちなみに、防衛庁の方はプレス発表の時の写真も載っている)。これを読むと、つくづく自衛隊はアメリカ軍の「一部」みたいなものであることがよくわかる。自衛隊は、とても独立した主権国家の軍隊ではない。かつて、吉田首相は議会で「自衛隊は軍隊ではありません」と言った。吉田茂は正しかった。日本には、独立した主権国家の軍隊は存在していないのである。

"U.S.-Japan Alliance:Transformation and Realignment for the Future"(日米同盟:未来のための変革と再編)の以下の項目

"Bilateral defense cooperation remains vital to the security of Japan as well as to peace and stability of the region."

は、まさしく吉田ドクトリンに基づく戦後60年間の日本の安全保障の姿である。 "Bilateral defense cooperation"ではなく、日本自身の力で、仮に日本が単独ででも"peace and stability of the region."を目的とした"the security of Japan"がなぜ実現できないのであろうか。これが「できない」、あるいは「やらない」「やろうとも思わない」というところに、アメリカの占領時代からなにも変わっていないことを感じる。

 未来永劫、日本の防衛は、アメリカに依存し続けるのであろうか。例えば、もしアメリカ議会が東アジアからアメリカ軍を撤退させるという決定をした場合、どうするのだろうか。アメリカ側から日米安全保障条約を破棄するようなことはないのだろうか。あらゆる可能性を考慮し、様々なシュミレーションを考えるのは当然のことであると思うのだが。この報告書のタイトルの"Transformation and Realignment for the Future"の"the Future"とはなにか。"the United States of America"の間違いなのではないのだろうか?

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

Comments

初めまして。真魚をたどっていたらなんだかここに。いろいろとちゃんと考えをもっていられるのだなぁって感心して読みました。私は難しいことはわからないのですが、京都で豆腐のソフトクリームを食べて以来、次の四月には緑色の桜見物と豆腐ソフト食べ放題の旅に出るためダイエット中です。とてもかわいいひとと名前は同じですが見た目は魔女にちかいです。臨界点とは生死の境目をさまようときの特殊能力と似ています。世界は瀕死の状態の自分をごまかすために特殊部隊のような方法や暗示で自分に麻酔をかけたりして逃れようとしている地球。人間が存在しなければ氷河期を過ぎても余り劣化せずに回復できたものを。人間の都合に地球が我慢しなければもっと早く回復サイクルがやってきていたのに。愛知万博の赤十字館で映画をみましたが勝手にやりたいことをやっている人間より掘られたりぼろぼろにされている地球を思って涙が出ました。その気持ちをメッセージカードに記入してきました。自分だときっと耐えられない。でも、地球の起こす災害は便利さや機械を駆使する人間より自然とともに生きようとする人間に厳しかったり。そばにいる家族や友達にばかり迷惑をかけてしまう自分にも似ているなって思ったり・・・。時々、勉強のため読ませていただきたいと思いました。テレビを見なくなった地球の細胞の一つより。

Posted by: ayumi | November 07, 2005 at 08:49 AM

真魚さん、こんにちわ。
「なぜ日本はいつまでもアメリカの言いなりになるのか」という疑問を耳にするたびに私は、批判されながらもモーレツに働く会社人間のお父さんと家族の関係を思い起こすんです。

「お前たちのためじゃないか」とお父さんは言います。でも、家族は「そんなにモーレツに働かなくたっていいのよ、お父さん。貧乏だっていい。家族がいつも仲良く笑って過ごせるような家庭でありたいの。ね、わかってちょうだい。」と言いたいのです。

国の繁栄を考えるからこうなっちゃうんじゃないんですか?
貧乏でもいい、と言ったほうがいいんじゃないですか?

アメリカから独立する、ということを考えていくと、どうしても日本の核武装論に行き着いてしまうような気が私はします。

やはり、アメリカの軍事に関しては、規模も戦略の能力も日本は足元にも及ばない、のであれば、アメリカ主導にならざるを得ないのではないかと思います。「しかたがない」「どうしようもない」の世界なんじゃないかなあ。だめでしょうか、こんなことを言っていては。

>議会と国民の知ることなく、いわばアメリカと日本の政府間で決められたということについて、我々は深刻に受け止めるべきだと思う。<

こういうことも私はよくわからないのですが、「戦略上、民は知らぬほうが」ということもあるのではないんですか? こんな情けないこと言ってちゃだめなんでしょうか。

Posted by: robita | November 07, 2005 at 12:12 PM

横レスですいません。ん~。どうなのでしょうね。十数年後に隕石がぶつかるって学者さんがいってたのは取り下げてしまったのか・・・そんな事を言われても地球脱出もできないし・・・。十年以上なすすべもなくパニくってないなくてはいけないわけで。隕石を回避するシステムを使うとしても、そんなシステムを公表したら大変な事になりますものね。独立するといっても経済的に変わりはあまりないような守る義務がなくなるからなぁ。でもお互い収益は必要みたいな。公表してもあまり変わらないような。最終的には国民は守ってもらえるところまでは個人では出来ないような力で守ってもらえるのだからいい子にしてようと思うのです。「社長に逆らえよ!!」っていう家族にもなれないのです。失礼しました。

Posted by: ayumi | November 07, 2005 at 08:04 PM

ayumiさん、こんにちわ。

京都の豆腐のソフトクリームは僕も食べたことがあります。豆腐のドーナツもありますね。京都ももうだいぶ長い間行っていません。

人類も地球の生命として、この惑星に出現してきた意味があると思うんです。人が生きていく以上、環境を破壊せざる得ないところがありますし。その反面、環境をそのものをすべて破壊すれば人は自滅します。そのバランスをどうやってとっていくかですね。

Posted by: 真魚 | November 08, 2005 at 02:43 AM

robitaさん、

いえ、アメリカから独立すると、今の繁栄がなくなるという考え方そのものが、「経済的繁栄はアメリカに依存していなくてはできない」という発想に捕らわれているんです。そうではなく、経済の観点から見ても、アメリカ一辺倒ではダメなんです。例えば、北海道はロシアとどんどん関係を結んで、ロシア・中国・北海道を結んだ独立した経済圏を作ればいいし、新潟などもそうです。永田町しか見ていないから、その背後にある赤坂のアメリカ大使館とかの支配を受けなくてはならなくなるんです。国境なき経済の時代とは、アメリカ一辺倒よりもアメリカ以外の国々と多極的に関係をもった方がリスクが分散されますし、利益も上がります。

robitaさんの言われる通り、戦後60年の日本は、まさにお父さんですね。アメリカの言うことになんでも我慢して従う。本心は自尊心があるのだけど、家族のためにひたすら耐える。しかし、妻も子供たちそんな仕事だけの父親を軽蔑する。定年になり、やっと家族と一緒に過ごそうと思っていても、もはや妻も子も離れてしまっているという悲劇的結末。結局、このお父さんの人生とは一体なんであったのか。

つまりは発想の転換ですね。アメリカへの従属関係をやめるといっても、なにも国交断絶するわけでもないですし。日本人が日本人の手で、必要だと思う外国の国々と連帯し、本当の豊かな社会を求めるようになればいいだけです。

軍事技術について言えば、アメリカと手を組む以外他に手段はありません。指揮権が自衛隊にあるようでは米軍は従わない、つーか動かないでしょうねえ。

>>「戦略上、民は知らぬほうが」ということもあるのではないんですか?

本来はですね。庶民はむずかしいことを考えなくてもいいわけですし、知らなくてもいいんです。庶民なんですから。そうしたことは、大学出のエリートがやればいいんです。そもそも、そうであったはずなんです。しかしながら、そうであったのは遙かな昔の話であって、今はそうではありません。

明治の頃はそうではなかったかと思います。国民の大多数は小学校を卒業して、すぐに働きましたし(なかには赤ん坊を背負って学校に通っていた小学生もいたそうです。なにしろ、庶民はどの家にも子供がたくさんいましたから)。中等学校へ進学するのは金持ちの家ですし、軍の学校へ行くのはよほど成績のいい子でした。ごく一部の人々が政府の役人や士官軍人になりました。そうした「選ばれた人々」は(もちろん、悪い人もたくさんいましたが)おおむねエリートとしての使命感を持っていたと思います。彼らは給料は安くても、国家を背負っているという意識を持って働いていました。明治時代はまだ江戸時代の倫理が残っていましたから、侍の気風がありました。しかしながら、こうした明治時代でさえも、国家が情報を独占して、民衆に何も伝えることがなかったということの弊害がありました。さらに、こうしたエリートだけが国家を動かしていくというのは、昭和になって大きく破綻していきます。

なんでもかんでも民衆に伝えなくてはならないことはありません。国家には国家機密がありますし。しかし、今回の米軍再編は決まってから沖縄県や神奈川県に話しをするのは理解できません。もちろん、事前に話しをして沖縄がOKするわけはありません。しかしそうであったとしても、広く国民の前にこの問題を提示すべきです。そうでないと、この問題はいつまでも沖縄だけの話になってしまいます。在日米軍の基地問題は沖縄だけのことではなく日本全体の話です。

Posted by: 真魚 | November 08, 2005 at 02:48 AM

ayumiさん、

伝えたら民衆はパニックになるという情報はそうですね。ただ、大地震がくるとかいった情報は必ず漏れると思います。隕石と衝突するとかもですね。無数にいる全世界のアマチュアの天文家を全員を束縛することはできませんし。科学の情報は必ず誰かが発見して、それが伝わります。

Posted by: 真魚 | November 08, 2005 at 02:57 AM

>結局、このお父さんの人生とは一体なんであったのか<

私は、この家族は恩恵にあずかってきたくせに、勝手な連中だな、と思います。

>アメリカから独立すると、今の繁栄がなくなるという考え方そのものが、「経済的繁栄はアメリカに依存していなくてはできない」という発想に捕らわれているんです<

経済的にアメリカとリンクしているから、ということでなく、アメリカから独立すると、(国防的に)日本の脆弱性が増し、世界からの日本への投資が激減する、という意味で書きました。以前これは民主党の前原さんの言葉として私のブログに書きましたけれど。
これについては真魚さんも、「軍事技術について言えば、アメリカと手を組む以外他に手段はありません」、このように書いていらっしゃるので理解は共有してると思います。

>沖縄

私は沖縄、つまり、基地問題のことを考えると、もうアメリカから独立して、死ぬ時はみんなでいさぎよく死のうよ、という気持ちになります。

>ayumiさん、

>「社長に逆らえよ!!」っていう家族にもなれないのです<

たいていの人はそうですね。(笑)

Posted by: robita | November 08, 2005 at 10:23 AM

robita様と真魚様、こんばんは。こんな拙い私の書き込みにお返事ありがとうございました。んっと「社長=アメリカ」「日本国家=お父さん」という設定で、社長に逆らえよとはいえなかったのです。人間が存在する意味・・・地球にとってのがん細胞なんだと思ってました。それよりは、良い細胞になりたいとおもっていたのです。でも、いさぎよくみんなで死ぬのは・・・大事な人達を道づれにして死ぬのは避けたいです。

Posted by: ayumi | November 08, 2005 at 09:28 PM

ayumiさん、

細胞は自分のDNAに従うことしかできませんが、人は意識を持っていてDNAの命令以外のこともできます。それが環境破壊を招いているわけですが、意思はまた、そうした人間の癌細胞的行動をやめさせることもできるわけですし。

このブログはなんかコムズカシイことを書いていますが、やっている本人はアニメオタクがそのまま大人になっただけの人ですから。別に気にせず、これからも気軽るに書き込んでください。

Posted by: 真魚 | November 09, 2005 at 01:58 AM

robitaさん、

お父さん(戦後日本)の話を続けます。(笑)

このお父さんは家族(国民)のためを思って一生懸命働いてきたわけですが、そろそろ定年になりかけています。ところがですね、このお父さんは莫大な借金を抱えていたんです。お父さんは働き続けて、確かに家族の暮らしは豊かになったんですけど、あまりにも働きすぎていて給料が良かったんです。で、そのあまったお金でなにをしてきたのかというと、アメリカの国債を買ったり、意味もない家の修繕とか屋根の増強とか壁の塗り替えとかやってきたんです。これらが巨大な借金になっています。借金なので返済しなくてはなりません。この返済は息子や娘たちが負うことになります。だから息子や娘たちは、自分たちに明るい未来があるようには思えないのです。

お父さんは家族のために良かれと思って、アメリカのいいなりになってきたんです。それがこの結果になりました。これはアメリカが悪い!!というわけではありません。アメリカもまた自国の利益中心であったという当然のことであったわけで、それをあたかも平等な相互利益があるかのように思ってきたのはお父さんの方です。そう思うように占領時代にGHQに操作させられたのかもしれませんが、あくまでもそう思ったのはお父さんです。あまりにも、お父さんは世界の現実を知らなかったと言えます。

アメリカが世界を支配して、全世界の人々がハッピーになるのならばそれでいいんです。ところが、現実は貧富の格差と不平等が広がっています。つまり、アメリカが人類のために良いことをしようと思ってくれればいいわけですが、実際のところ自分たちだけが利益を得よう(このへん、さらに言うと、アメリカの利益といってもアメリカ国民の利益ではありません。アメリカの中のごく一部の権力者たちの利益です)と思っていますから、そうはなりません。

アメリカは日本だけに対して、だまくらかして儲けようとしているわけじゃあありません。ドイツに対しても、イギリスに対しても同じようなことをやっています。しかし、ヨーロッパはそのへんの「だまくらかし」がわかるので、その罠から逃れることができるのですが、日本はその「だまくらかし」に乗っちゃうんです。ですから、日本が本当に独立するには、国民が(国民がです)この「だまくらかし」を見抜くことができるようにならなくてはなりません。国民がアメリカのだまくらかし、政府のだまくらかし、マスコミのだまくらかしを見抜くことができるようになって初めて、日本の本当の独立ができます。

Posted by: 真魚 | November 13, 2005 at 01:38 AM

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