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November 17, 2005

とにかく、自由、自由、そして自由

 16日のブッシュ大統領の京都会館でのスピーチを読んでみた。ざっくばらんに見てみると、

"And at the end of World War II, some did not believe that democracy would work in your country. Fortunately, American leaders like President Truman did not listen to the skeptics and the Japanese people proved the skeptics wrong by embracing elections and democracy."

 太平洋戦争が終わった時、日本に民主主義など根付くはずはないと言われていたが、トルーマン大統領はそんな懐疑論者の声に耳を傾けなかったし、日本の人々は選挙と民主主義を「抱きしめて(embracing)」(?)(日本史家John Dowerの本から持ってきたのか)そうした懐疑論者が間違っていたことを証明したと言っている。相変わらず、戦前の日本には民主主義はなかったと思っているのであろう。

"you showed that democracy helps governments become more accountable to their citizens. "

 ワタシはさっぱり今の日本政府が"accountable"とは思えないのであるが。

"Free nations are peaceful nations, free nations do not threaten their neighbors and free nations offer their citizens a hopeful vision for the future. "

 このへんはもう演説のタワゴトだと思いたい。そうスか、Free nationsはそうなんスか。

"South Korea transformed itself into an industrial power at home and a trading power abroad."

 これは、いかにも演説文という感じで、英文の用法として覚えておきたいフレーズですね。

"In this new century, China, Japan and Russia have joined with the United States and South Korea to find a way to help bring peace and freedom to this troubled peninsula."

 中国、日本、ロシア、アメリカ、韓国が協力して朝鮮半島に平和と自由をもたらそうという考えは間違いではないと思う。アジアにおけるアメリカの強みは、アメリカはアジアから見れば部外者であるが、部外者であるがゆえに、アジア諸国間の調停者になることができるということだ。そして、アジアという区分けではアメリカは部外者であるが、環太平洋の国という枠組みで見れば、アメリカは「同じ環太平洋の一国」ということになる。今のアメリカの東アジア外交は、このへんをうまく使い分けていると思う。中近東政策ではひたすら泥沼にはまりこんでいるが、東アジア外交はそれなりにうまくいっているのではないか(韓国での反米感情は高いけど)。うまくいっている最大の理由は、日本がいるからであろう。

 であるのならば、その点を逆にとって、日本が主体的に日米関係を活用していくこともできるはずだ。つまり、日本にとって、アジア外交は対米関係にとっても重要なカードになりうるのである。かつて橋本総理がやったような「アメリカの国債を売るぞ」という脅しの手ではなく、そうした方法で日本が日米関係をリードしていくことは可能だと思うのであるが。

 この演説は、言ってみれば可もなく不可もなく、東アジアの平和と自由のために、アメリカは日本と共にアジアに関与していくと語っているだけである。ただ、自由と平和という観念的なスローガンを掲げて、他国に積極的に介入していくというところは、いかにもブッシュ政権らしい。ただし、これでアメリカは未来永劫アジアに積極的に介入していくのかというとそうでもなくて、政権が変わればまたガラッと変わるであろうことは十分予測できる。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

Comments

私の理解では、元々は自由のための積極介入を訴えていたのは民主党の方ではと思えるのですが。ウィルソンしかり、JFKしかり。

そこで真魚さんに伺いたいのですが、こうしたリベラル大統領の積極介入と現ブッシュ政権の積極く介入はどこが違うと考えますか?

中国、北朝鮮の脅威へはリベラルの立場からはどのように対応するのでしょうか?

Posted by: 舎 亜歴 | November 18, 2005 at 09:01 AM

<<相変わらず、

と、いう事は、以前”戦前の日本には民主主義は無かったと”ブッシュが言ったって事ですよね。Show me?

<<戦前の日本には民主主義はなかったと思っているのであろう。

そう人が言っていたがなぜそう思っていると解釈されるのだろう?

リベラルな人達はなぜ、他人をこけにして初めて自分の意見を言えるのかなと思わせる文面
ですね。

MikeRossTky

Posted by: マイク | November 18, 2005 at 09:26 PM

舎さん、

私はこの演説文を読んでまず感じたことは、こうして自由主義のイデオロギーを掲げることは、誰が大統領になっても言うだろうなということです。この点では、ブッシュであろうが、民主党の誰であろうが同じです。

次に思ったことは、テレビのSF番組の「スタートレック」のPrime Directiveでした。惑星連邦の宇宙艦隊の規約のひとつであり、他の知的生命体の社会に介入することを禁じたものです。内政不干渉の原則です。しかしながら、「スタートレック」では、こうした規則がありながらも、なおかつ、時にはこの規則を破ることをしてしまいます。「スタートレック」シリーズの中でもっとも内容が高かった「ネクスト・ジェネレーション」では、艦長のピカード大佐が、この規則と現実の間で常に苦悩し、そして判断を下します。

このピカード大佐の苦悩に、例えばキューバ危機でのJFKの苦悩を見ます。彼は、一方でアメリカの自由の理念を高く掲げながら、もう一方でソビエトとの核戦争の危険を常に感じていました。"ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man."と世界に向かって語るその一方で、JFKはアメリカの軍事力の限界を知っていたと思います。ソビエトという敵がいたのですから。冷戦の下で、アメリカもまた世界の諸国の中の一つの国にすぎないということを、JFKは知っていたと思います。

冷戦が終わり、ソビエトが崩壊した後、アメリカは世界最強の軍事力国家になりました。しかし、その反面、アメリカは、かつて持っていた国際社会のバランス感覚を失ったと思います。「アメリカもまた世界の諸国の中の一つの国にすぎない」ということを忘れたようです。外国に積極的に介入することより、重要なのは、どこまで介入し、どこからは介入すべきではないということです。ここを間違えたから、ベトナム戦争は泥沼化しました。今のブッシュ政権にも、それがあるように思えません。

思想的に言えば、外国への積極介入は保守主義の考え方ではありません。保守主義は不必要な外国介入は避けます。舎さんのご指摘の通り、これは民主党リベラリズムの考え方です。しかし、現代のリベラルは基本的に「スタートレック」のPrime Directiveの考え方をするのではないか。これがベトナム戦争で学んだ考え方だと思います。

ご承知のように、この現代のリベラルの内政不干渉の考え方についていけず、民主党支持から離れて共和党支持に走った知識人がネオコン第一世代であり、このネオコンの考え方がブッシュの外交政策になっています。仮に外国への積極的介入はよしとしても、(くりかえしますが)どこまで介入し、どこからは介入すべきではないというラインを明確に持つということです。かつてローマは、領土を拡張し、戦線をただ拡大していったために、国力が疲弊し、やがて帝国は崩壊しました。

Posted by: 真魚 | November 19, 2005 at 02:47 AM

<<、なおかつ、時にはこの規則を破ることをしてしまいます。「スタートレック」シリーズの中でもっとも内容が高かった「ネクスト・ジェネレーション」では、艦長のピカード大佐が、この規則と現実の間で常に苦悩し、そして判断を下します。>>

そしてクリントン大統領はリベラル民主党の主として判断を下さなかった。ケリー、ケネディー、Ms.クリントンなども判断をくだそうともしないし、また、泥沼化を引き立たせる発言や行動を行っている。

アメリカはイラクが自分でテロリスト達と互角で戦える事ができる日から撤退をはじめる。

過激イスラム思想も共産思想もその考えを支えるお金と権力がなくなれば広まらない。

MikeRossTky

Posted by: マイク | November 19, 2005 at 08:32 PM

Mike,

クリントンには、「スタートレック」の艦長のような判断の深さはありません。クリントンの外交には、policyもstrategyもありませんでした。あの人は、なんでもかんでも中途半端でした。ソマリア介入でも、ああした介入は間違っていました。指導者が考えもせずに軍隊を投入すると、いつもろくな結果になります。結局、ソマリアでも数多くのアメリカの若者の命が消えていきました。アメリカの外交がおかしくなったのはクリントンからです。

テッドは、最後まで金持ちのケネディ家のボンボンとして終わるでしょう。ケリーも同じようなもんです。ヒラリーが合衆国大統領になるのはnightmareですね。

Posted by: 真魚 | November 20, 2005 at 12:28 AM

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