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November 12, 2005

やっていることはブッシュと同じだった

 イラク戦争が始まる前、国連で歴史的に重要な討論があった、と今僕は思っている。アメリカがイラクに軍隊を送ることに真っ向から反対したのが、フランスの当時外務大臣であったドビルパンであった。もともと詩人でもあるという彼の国連での演説は、パウエル国務長官の言葉より説得力があった。ドビルパンは、正論を語っていた。大国アメリカを前にして、正論を正論として語るドビルパンの姿は感動的ですらあった。カントの永久平和の理念を掲げるヨーロッパ。うーむ、やはりフランスは違うと僕は思った。さすが自由・平等・博愛の国ではないかと思った。ヨーロッパはやはり違う。同じヨーロッパでも、フランスはブッシュ追従のブレアのイギリスとは違うと思っていた。

 ところが、である。ところがだ。今回の暴動事件を見て、なんかフランスもやっていることは、ブッシュと同じではないかと思う。

 1968年5月、ソロボンヌ大学への警官隊の導入をきっかけとして、パリで学生たちが大規模なデモとバリケード闘争を起す。これに共産党系と非共産党系の労組が加わり、全国規模でのストライキを行った。これがド・ゴール体制を崩壊させたフランス現代史上最大の反体制運動の始まりであった。そして、ここからポスト・スターリニズムの左翼運動は、ユーロ・コミュニズム、構造主義、マオニズムなどといった現代思想の影響を受け、新しい社会主義思想へと展開していった。2001年に、アメリカの大統領が民主党ゴアではなく共和党ブッシュになり、アメリカは急速に保守化・右翼化する。そこでイラク戦争である。この右翼化するアメリカに真っ向からノー、じゃなくてノンを突きつけたのがフランスであった、ドビルパンだったのある。

 そのフランスでさえも、やっていることはブッシュと同じであった。かつての5月革命は、そこから未来への展望が開けたように思う。本当に、5月革命が未来への展望を開いたのか。21世紀の今そう思う。そうであったのかどうかわからない。しかし、新左翼は間違ったことを言っていたわけではないと思う。ところが、何度も書くが、そのフランスでさえも「やっていることはブッシュと同じ」であった。5月革命のフランスはどこへ行ったのだああと大声で叫ぼうと思ったが、近所迷惑になるからやめた。フーコーやデリタやガタリが生きていれば、この暴動をどう論じたであろうか。

 過激な暴動に対しては、強権をもって弾圧するしかないのは理解できる。考えなくてはならないのは、これほどの暴動に至ってしまった背景であろう。この暴動は、1992年にロサンジェルスで起きた大規模な暴動事件と重なるところもあれば違う側面もある。ドビルパン首相は、今後の政策として「(1)貧困地域で社会活動に携わる団体への財政支援増(2)学業不振者に対する職業訓練の前倒し(16歳→14歳)と、優秀な生徒への奨学金の3倍増(3)6月に発足させた国の反差別機関に懲罰権限を与える――などの方針も表明した。 」という。

 日本は、このフランスの暴動事件を遠い国の出来事として見ているが、人口が少なくなれば、いやでも移民を考えざる得なくなる。その時、日本もまた「やっていることはブッシュと同じ」になるのかどうか。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

Comments

ということは、民主党政権でもやることは同じとも言えます。知事選や中間選挙がどうあれ、テロに対しては強い態度で臨むことにかわりはありません。民主党は今後のアメリカと世界の安全保障により良い対案が出せるのでしょうか?もはや、テロの問題は党派やイデオロギーを超えた脅威として対処する必要があるということが、今回の事件にあらわれていると思います。

もっとも日本の馬鹿なブロガーが民主党政権になるとアメリカが日本より中国に接近すると言うことにも賛成はしません。対日開戦をFDR民主党政権のせいにするのは愚の骨頂です。

私は別に徹底したアンチ・リベラルではありません。脅威には断固とした対処が必要だと思っているだけです。

Posted by: 舎 亜歴 | November 12, 2005 11:15 AM

舎さん、

暴動に対してこれを断固鎮圧するのは当然です。しかし、民衆の暴動にせよテロにせよ、なぜこれが発生したのかを考えることが必要です。真の意味での暴動対策、テロ対策とは、起きてしまった暴動やテロをいかに鎮圧するかではなく、起こることそのものをなくすことです。テロや暴動に対して、断固弾圧するだけでは、逆によりエスカレートしたテロや暴動を招くだけです。

これについては、戦前の日本の満州国運営や朝鮮統治は参考になります。日本の間違いは、現地人の反感を受けることをやってきたということです。この反感が今でも日本の足を引っ張っています。シンガポールを見ても、イギリス統治はまるで良かったかのように扱われ、日本の統治は悪とされています。その反面、台湾では日本をさほど悪いイメージになっていません。これは台湾総督の後藤新平や児玉源太郎らの手腕によります。

Posted by: 真魚 | November 13, 2005 02:41 AM

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