深夜の『花とアリス』
先々週あたりから、休みなしの働くだけの日々になっている。先日の連休もノンストップで働き続け、今週も連日連夜の深夜帰宅である。常日頃から働き過ぎはイカンと思っているのであるが、イカンと思っていても、ワタシ個人がイカンと思っているだけで、世の中はそうした個人の思惑とは別に慌ただしく回っていく。自分もまた、好むと好まざるとに関わらず、その慌ただしさの中に巻き込まれていく。やれやれと思いながら、毎日が過ぎていく。気がついたら、夏は終わって秋になっていた。これから一歩一歩、秋が深まっていく。
このところ、夜中にDVDで岩井監督の『花とアリス』を見ている。もう何度も見てきた映画であるが、ここんとこずっとDVDを出してくることはなかった。しかしまあ、今の仕事だけの毎日に対する反動からなのか、こうしたほのぼの学園ものを見たいとムショーに思うようになって、それで『花とアリス』をひっぱり出してきて見ている。見ながら、つくづく、あー高校の頃は楽しかったなあと思ったり、思い出したくないことを思い出したり(笑)。大人になってしまった我が身を省みると、やっぱりあの頃は自由だったと思う。
ハナとアリスの2人を見ていると、「人」に対する自然な関心と好奇心があるよねえと思う。なんでもない、ある意味、ごくありふれた平凡な日常なのに、なぜあの頃はそれでも楽しく充実感があったのだろうか。歳をとっていくと、「社会とはこういうものだ」とか「人とはこういうものだ」とか「仕事とはこういうものだ」とか「生きるとはこういうものだ」みたいな固定観念がますます強固になっていくだけだ。それらはいわゆる、社会人としての経験や蓄積なのであろう。しかし、そうしたものが、毎日の「楽しさ」や「おもしろさ」をなくしているのだ。
夜中にオジサンがこうした映画を見ているというのは、なんかそれはそれで「良くない!」という気がしないでもないが、まー別にあやしげなDVD(って何?)を見ているわけではないし。そうやって、秋の夜は更けていくのであった。
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はじめまして、通りすがりのものです。
私もいいオジサンなのですが、ときどき
岩井監督の『花とアリス』のDVDを
出してきては見ています。
ハナやアリスを見てると自分もあんな感じで
嫌なことも少しはあるんだけど
やっぱり高校の頃はなんか楽しかったよなと
感慨にふけっています。
あの頃は親の保護下におかれていて
早く大人になれば誰にも文句もいわれず、
自由で楽しいんだろうなと
思っていたのですがそれほどでもなくて
やはり子供の頃が一番自由で
楽しかったように思います。
小学生の頃なんか、走ってるだけで
楽しかったのを覚えています。
最近では『岸和田少年愚連隊』も良く見てます。
いわゆるヤンキーの話です。
内容といえば、ケンカばかりですが
見てるとなんかみんな勝手で楽しげです。
Posted by: buchiblo | September 29, 2005 03:08 PM
はじめまして。
岩井監督の『花とアリス』については、昨年の10月15日の記事にも書きましたので、よろしければお読み下さい。
自分は学生時代、後の人生がかくも仕事だけの毎日になるとは想像だにしませんでした。高校の頃は、テストとか受験とかありましたけど、楽しくて充実した毎日だったと思います。やはり友人ですね。ハナやアリスにも「ケンカしちゃだめだよ」という友達が出てくるではないですか。文化祭で写真展を開いた子です。ああいう子って、確かにいたよなと思います。この歳になると、仕事で毎日、人間関係の中にいますが、やっぱり同じ職種というか、同じ業界関係が多くて、人のつきあいが多いようで狭いですね。高校の頃は、いろんなヤツが回りにいたなあと思います。
あと、何をするにしても「コストはいくらか」とか「納期はいつまでか」とかを意識しなくてはならない。これは、当然と言えば当然です。しかし、そういうことばっかりやっていると、世の中のすべてがそういうもんなんだと思ってしまいます。でも、そうじゃあないです。仕事なのだから、そうなのであって、世の中のすべてがそうではないです。ハナとアリスのあの自由で屈託のなさを見てそう思います。楽しい日々は失ってみて初めて気がつくものなのでしょう。あの頃から遠く離れてしまった自分を感じます。
Posted by: 真魚 | September 30, 2005 01:39 AM