もう一歩、いや数歩の民主党
民主党のマニフェストは評判がいい。自民党の「コレコレをやります」というだけの120の公約とは異なり、8つのポイントに絞って、「いついつまでに、コレコレをやります」と期限を明記している。ホームページの使い方も自民党と比べて圧倒的にセンスがいい。マニフェスト発表記者会見の動画は、なんか画面が小さくて、これはナニかと思ったが、ウェブでのマニフェストの説明はよくまとまっていると思う。
今回、民主党のホームページをつらつらと見ていて、民主党の公式ホームページの方でネット献金をやっていること気がついた。これはアメリカの政治ではよく見られる献金方法で、日本の政治にも早く導入されないかと思っていたのであるが、民主党はこれを行っていたことは知らなかった。先の大統領選挙での民主党のトップランナーであった(マスコミによって失脚させられた)ハワード・ディーンの特徴は、ネットを最大限に使い、オンライン献金によって政治資金を得るシステムを作ったということだ。ウェブページにディーンの主義主張が書いてあり、クレジットカードで献金ができるボタンがついていて、ディーンに賛同する人はカンタンに献金ができるようになっていた。これにより、これまで政治献金をしたことはない人々が数多くディーンに献金したという。民主党のネット献金では、クレジットカードは使えず、郵便振り込みになっているようだが、これはもっと大々的にアピールしてもいいと思う。ディーンは、ブログでのメッセージを重視し、またディーンを支持する若者たちも自分のブログで政治について活発に議論をしていった。2004年の大統領選挙は、インターネットが政治に影響を与えるようになった初めての選挙であった。
日本の民主党も、もっと積極的にネットを使うべきだと思う。誰のために政党なのかと言えば、それは当然、国民のための政党である。岡田党首は、小泉総理との討論を要求しているようであるが、そんなものはもはや茶番であってどうでもいいことだと思う。実質的に、あの小泉総理と「討論」なるものができるかどうか、わかりきったことではないか。つまり、民主党は政治的ショーとして小泉総理との討論を要求しているのである。このへん、岡田党首はなにか勘違いをしているように思う。話すべき相手は、国民であり、特に若い世代ではないか。極端なことを言えば、今、日本国民というのは、大別するといくつかのグループに分けられる。年収2000万円以上の高額所得者などが自民党を支持するのは当然であって、そうした人々に民主党を支持して欲しいと言うもムダであろう。あるいは、某宗教政治団体支持者に民主党を支持して欲しいというのも意味はない。むしろ、民主党は、無党派が多い40代以下の中間階層世代に焦点を絞り、そうした人々にもっと情報を発信するべきであろう。
その意味では、民主党のマニフェストでも改革による明るい側面しか書いていないのが気になった。「8つの約束」と書いてあるが、その内容をさらに読んでみると、自民党の120の公約と同じような「やります」式の内容になっている。これを読んでいると、やるのはいいけど財源はどうするのかと思うことばかりであった。12月までに、イラクから自衛隊を撤退させるとあるが、このことによる日米関係の悪化はどう対処するのか。そのことについては書いていなかった。イラクから自衛隊を撤去させて、アメリカとイギリスがどう思うかは、カンタンに想像がつくであろう。だからこそ、アメリカとイギリスに対する外交というものが重要になってくる。しかしながら、そうしたことは全く存在しないかのように書かれているのだ。そうしたリアル感のなさが、民主党の欠点であろう。
つまり、マニフェストとは、政策の内容と、その実行期限を明記するだけではなく、その政策によるネガティブな部分も明記する必要があると思う。明るい未来だけではないはずだ。負の側面もある。社会政策として、それは当然である。そうした負の側面について、どう対処していくか。そこまで記載しているマニフェストであれば、おおっこれは!!と高く評価したい。
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» 「野党第一党に投票せよ」 [アッテンボロー]
かつて歴史学者の羽仁五郎氏は、選挙の際に「野党第一党に投票せよ」と言ったそうだ [Read More]
はじめまして。
さすがアメリカ通の言われることは違いますね。確かにマニフェストなるものはポジテイブなものばかりではないですよね。
その点、日本のマニフェストはすべて落第です。まあ、だんだん仰るようなものになっていくのでしょうね。勉強になりました。
Posted by: hitoriyogari | September 02, 2005 04:51 PM
はじめまして。
いえいえ、アメリカ通というわけではありません。アメリカは広いです。自分の知るアメリカは、アメリカのごく一部であるとつくづく思います。アメリカの政治家も都合のいいことばかりいいますが、マスコミがマイナスの側面もあることを指摘します。このやりとりがうまく働いていると思います。
Posted by: 真魚 | September 03, 2005 01:48 AM